マスターオリオン
イクリプス、輝く星が欠ける時。遥か昔、この銀河を支配していた帝国が滅び、その文明が失われて悠久の時が流れた。しかし今、新たな息吹きたちが目覚めの時を迎え、そして出会う。メカネマ(下の子)は、製造と改良に秀でた工学の民。ヒドラの発展(上の子)は、知性と探求の理学研究者。オリオンの覇権(私)は、戦うことこそ全てであった。欠けた星は再び満ちるのか?
戦闘は強くとも指揮系統が未熟なオリオンは、まず古代艦隊が固く守る内周の2星域奪取に専念した。そして低い技術力ながら採掘技術を進め、資材を量産した。これはこれからの軍拡にも施設建設にも良い兆しとなる。
一方メカネマは、当初植民に適する星域を見つけられず出遅れた。しかし遺跡から古代技術をを掘り起こし、さらに後にはようやく理想の星域を見つけると、次々と植民そして攻略し、急速にその版図を拡大していった。
またヒドラも外周探査こそ不発に終わったものの、やはり技術力を生かして発展し、ロボットの進化と船体の改良という重要な技術を先んじて開発したのだった。
こうして時を同じくして勃興した種族たちは、生産力でもまた皆同じく伸びていた。そして最も巨大な艦隊を持つのは、意外にもオリオンではなく、先んじてドレッドノートを建造したメカネマだった。しかしオリオンのクルーザーには、古代遺跡から発掘された最強の船体とコンピューターが搭載され、ドレッドノートにも劣らぬ強さを持っていた。そしてヒドラは軍事力こそ劣るものの、技術力の高さからこれからの伸びは最も大きなものとなろう。(3)
最早3つの種族は皆、旧帝国帝都のある銀河中心に迫っていた。だがこれを手にするには、強力な帝都防衛システムを打ち破らなければならない。それは強化されたドレッドノート無しには不可能なことと思われた。
そしてここへ真っ先に乗り込んだのは、なんとまだクルーザーしか持たないオリオンの覇権。失われた超硬船体と高効率コンピューターを持つとはいえ、大丈夫なのか。繰り広げられる激しい戦い。そしてオリオンは艦隊の半数を失いながらも、戦闘種族の本領を銀河に見せつけたのだった。
オリオンの旧首都奪還は、他の種族たちを驚愕させた。ここを支配することは大帝国復活の第一歩でもあるのだ。だがメカネマも進化採掘技術の開発に成功し、資材生産力を3倍近くまで伸ばす飛躍的進歩を遂げる。工業力に優れるメカネマはまさに水を得た魚となり、オリオンの独走を許さなかった。そしてヒドラはヒドラで経済革命に成功する。これによって植民強化も実施した結果、生産力ではついにトップに躍り出たのだ。各者一歩も譲らぬ互角の形勢が続いた。(4)
世界の中心に立ったオリオンだったが、進撃を続けるには、軍事力はともかく彼らの指揮系統は脆弱過ぎた。そこでオリオンは、ここで体制の強化へと方向転換することにした。まず銀河中心から発見された技術遺産を使い、永らく無理と言われていたクォンタムグリッドを開発して、指揮系統を飛躍的に強化した。もちろん防衛システムとの戦闘で失った艦隊も増強し、以前よりも巨大な艦隊を完成させた。そしてもっと驚いたことには、研究所を超高度化した結果、なんと〜銀河に鳴り響く知性〜ヒドラのさらに2倍もの技術力を獲得したことだ。これによってオリオンは、Master Orion〜オリオン先生〜の異名を取ることとなった。
しかしオリオンの攻撃を免れたこの隙に、メカネマはすばやく艦隊の近代化に成功し、さらに古代艦隊を倒すことで多くの資材も手に入れていた。そしてここでオービタル=人口惑星を開発できたことにより、その工業力と資材生産力の強力な相乗効果が発現したのだ。これが世に言う黄金の道であり、ここからメカネマの成長は止めども無く加速していくことになる。
そしてヒドラもオリオンに続き、世界の支配には必須のクォンタムグリッドの開発に成功した。さらに新たな植民も順調に進めて生産力を伸ばし、銀河中心を手にしたオリオンにこそ届かなかったものの、工業王者メカネマには決して引けを取らなかった。一方で発掘した古代遺跡は全て名声とし、着実に勝利に向けて歩を進めていた。(6)

銀河中心占領による緊張の後は、ひとときの平穏が流れていた。しかし各者国内体制が整った今、誰もが皆もはや避けえぬ戦争を意識し、軍拡の道へと傾倒していくのを止めることはできなかった。
ヒドラは貯めてきた資材を一気に放出し、大艦隊を組織した上で、ポジトロンコンピューター、タキオンドライヴ、そしてアウトレンジの超兵器〜プラズマミサイルを満載した。
一方これまで順調だったメカネマが、ここに来て2個の古代艦隊が守る星域で二度に渡ってドレッドノートを撃退されるという不運に見舞われた。ポジトロンコンピューターと改良船体で強化されていたというのに。とは言えその凄まじい工業力は健在である。その後には反物質砲とグルーオンコンピューターを開発し、全艦種に積み込んで銀河最強最大の恐るべき艦隊を作り上げ、周りのものたちを大いに畏怖させた。
そしてオリオンは、プラズマミサイルとグルーオンコンピューターという最強装備を開発したものの、ミサイルの開発が遅れたためドレッドノートには積み込む余裕が無く、最後の戦いには不安を残す。だがその反面モノリス技術の独占に成功しており、大量に資材を貯めこんでいた他種族の名声荒稼ぎを食い止めたのは大きかった。(8)
そして果てしない軍拡が溜めに溜めた火薬庫は、ついに火を噴く時が来た。しかしここで世界を遠く見渡してみても、皆それぞれ強みと弱みがあり、どこが勝ちそうなのかどこを攻めるべきなのか、皆目見当がつかなかった。メカネマとオリオンはワームホールジェネレーターを開発し、他者の脇腹を突くことが可能になっていたが、皆資材に余力があり、攻めこんだとしてもそこに新造艦隊を造られ攻めきれそうにはない。また最大の争点になりそうな銀河中心も、互いにミサイルを持つメカネマとオリオンのクルーザーは、先制力が全く互角なので攻めた方が確実に負ける。
戦いは始まったものの、結局誰も侵略戦争に活路を見いだせなかった。そのためヒドラはメカネマの艦隊にドレッドノートで突っ込み、ミサイルの先制攻撃で倒せるだけ敵を倒して、名声を稼ぐことだけを目指すことにした。そして最後に動いたオリオンは、このヒドラの攻撃を逆用し、そこに先制を取れるクルーザーを送り込んで、ドレッドノートを一方的に倒して名声を稼ぐのに成功した。そしてそのオリオンクルーザーもメカネマの大艦隊には全く歯が立たず、討たれて塵と消えた。ただ同時にオリオンは、残る資材をはたいて1つだけモノリスを建て、時の流れを閉じることとなった。

戦いは終わった。そしてこれまでの支配と名声によって銀河の盟主を決める協定が結ばれた。銀河の知恵者ヒドラの発展は、遺跡の発見で名を上げたものの、最後の無理な戦争継続で星域支配に失敗したり支配領域が反乱したりし、戦闘での名声も伸びずに25VP。造物主メカネマはやはり黄金の道を歩んだのが大きく、戦闘の名声も高くて35VPだった。そしてバーバリアンから賢者へと豹変したマスターオリオンは、銀河中心を押さえて技術名声も高く38VPで、銀河の盟主の座を得ることとなった。メカネマとオリオンの差は僅かで、最後の最後に明暗を分けたのはたった一つのモノリスであった。
インデックスへ