ASL優劣判定法
 
 ASLをやっていると、どう考えても片方が圧倒的に有利なシナリオや、シナリオアーカイブのROARバランスが実際にやった感じと食い違うものが、時々あります。そこでシナリオのバランスを計る指標を考えてみました。
 これは今までの経験則から、歩兵の強さは防御側が1.5倍、戦車の強さは防御側が2倍になるというのをベースに、両軍戦力の優劣を評価するものです。そのため両者が攻撃する攻防不明のシナリオでは、防御補正をせず、戦車・その他優勢は両者とも3倍で歩兵換算してください。


1 歩兵優勢

分隊数
 初期配置、増援を含めて攻撃側、防御側それぞれ、以下の分隊相当数で計算して分隊数を求めます。
・分隊 1、半個分隊 0.5、余剰歩兵操作班(持つべき砲、日本MG,ATRが無いもの) 0.5
・−3修正指揮官 2(攻撃側) 3(防御側)、−2修正指揮官とヒーロー 2(攻撃側のみ)、−2修正指揮官 0.5
・火炎放射器 1、爆薬 0.5
・鉄条網 0.2、パンジス 0.1、AP地雷1戦力 0.1、AT地雷1戦力 0.3
その後以下の補正を順に行います。

質補正
 攻撃側、防御側それぞれ、1.0に以下の値を増減したものを、分隊数に掛けます。
 ・ドイツSSエリート、イタリアエリート、又は、アメリカ海兵隊で火力6、7のものが、80%以上 +0.2
 ・ドイツSSエリート、イタリアエリート、又は、アメリカ海兵隊で火力6、7のものが、40%以上80%未満 +0.1
 ・上記どちらにも該当せず、エリートが80%以上 +0.1
 ・新兵が80%以上 −0.1
 ・徴募兵が80%以上 −0.2(攻撃側で、ソ連か中国なら−0.5)
 ・徴募兵が40%以上80%未満 −0.1(攻撃側で、ソ連か中国なら−0.3)
 ・徴募兵が20%以上40%未満、且つ攻撃側で、ソ連か中国 −0.1
 ・攻撃側で、防御側よりELRが3以上高い +0.1
 ・攻撃側で、防御側よりELRが2以上低い −0.1
 ・全て隠匿配置される防御側 +0.1
 ・完全建物へクスを持つ建物1つだけを守る防御側 +0.1
 ・フィンランド軍 +0.1
 ・ソ連軍(80%未満のパルチザンがいても) −0.1
 ・イタリア軍、パルチザン(3-3-7)が80%以上 −0.4
 ・イタリア軍、パルチザン(3-3-7)が40%以上80%未満 −0.2
 ・中国軍が80%以上 −0.3
 ・枢軸中小国軍が80%以上 −0.2
 ・中国軍、枢軸中小国軍が40%以上80%未満 −0.1

防御補正
 防御側の分隊数を1.5倍します

攻撃補正
(困難地形)
 2本以下の橋・平地・禿丘に向かって攻める場合、攻撃側の分隊数を0.5倍します。禿丘には茂み・麦畑があるものを含みますが、以下のものは含みません。
・レベル1の丘
・両者とも禿丘にいる場合
・丘を大きく迂回できる場合
・雪の無い尾根の短い正面を攻める場合
ただし以下の場合は0.25倍を加えます。(橋・禿丘の条件が両方該当なら1倍になる)
・2本の橋を攻める場合
・防御側の約半数が橋の手前に置けない場合
・平地で、攻撃側に戦車優勢が有り、且つ70ミリ砲以上か火炎放射器戦車を含む場合
・禿丘で、攻撃側に盤外砲が有り、防御側に洞窟が無い場合
・禿丘で、攻撃側盤外砲が120ミリ以上か、100ミリともう1つの場合
 また以下の場合は、攻撃側の分隊数を0.75倍します。
深雪・泥濘の場合(市街戦を除く)
ジャングル・クナイ・竹林が主な地形の場合
複合洞窟がある場合
 複数の困難地形に該当する時は、低い方一つだけを適用します。
(容易条件)
a.防御不全
・防御側の方が不利な地形で守る場合や、丘の細長い面を挟撃される場合(不防地形)
・態勢が整っていない防御側に、攻撃側が近距離から高火力で奇襲して始まる場合(近接奇襲)
・攻撃側が間に入るなどで分断される二箇所を、防御側が両方保持しないと負ける場合(分割防御)
・その他これらと同程度の攻撃側に有利な配置制限や特別ルールがある場合
は、困難地形の補正を打ち消した上で、攻撃側の分隊数を1.5倍します。
b.広域突破
 また勝利条件が突破(攻撃目標が横幅一杯にあり、その半分以下の場所をどこでも支配すればいいなど、実質突破であるものも含む)で、
・突破正面が、通常マップの長辺1つ分か短辺3つ分以上
・突破正面が、突破に必要な前進距離の2倍以上
のどちらかの場合、攻撃側の分隊数を1.5倍します。
ただし
・橋(3本以上の場合も含む)や平地を攻める場合、それらが防御不全で打ち消されていない限り、広域突破の補正は適用しません。
・それ以外の困難地形の補正は、広域突破の補正がある時には適用しません。
 防御不全と広域突破の両方に該当する時は、合わせて2.5倍とします。
(高火力市街戦)
 市街戦(建物密集地内での戦闘)において、分隊と機関銃で32火力以上の高火力スタックを相手より2個以上多く作れる側は、分隊数を2倍します。ただし防御側のスタック1つは30火力でも高火力スタックとみなします。
 また火炎放射器戦車は、以下のように高火力スタックとして数えます。
・火炎射程が2へクスのもの、どの敵兵器でも正面から倒され得ないもの 1両につき1個相当(両方満たすものは2個相当)
・それ以外のもの 2両で1個相当
 容易条件と重複する場合は、こちらの補正を優先します。

 最後に攻撃側から防御側を引いたものが歩兵優勢です。


2 戦車優勢

戦車数
 初期配置、増援を含めて攻撃側、防御側それぞれの戦車数を合計し、該当する場合質補正を行います。
 ここでの戦車とは、
  〜甲がある
  ∨ぁ頁撃砲を除く)または火炎放射器または歩兵火力相当を持つか、完全装軌式で4火力以上のMGがあるか、中国軍のみに対する日本武装車両
の´⇔省を満たすものとします。

質補正
(劣後戦車)
・全味方戦車がどの敵戦車も倒し得ない場合
・防御側戦車を倒し得る攻撃側戦車(倒され得ないなら2両に数える)が、防御側増援戦車より早くその半分の数以上到着し、その攻撃側戦車を倒し得る防御側の砲や戦車がそれ以前にいない場合の防御側
攻撃側なら戦車数を0.5倍し、防御側なら戦車数を0.25倍します。
 もしそれに及ばず、
・全味方戦車が敵戦車の4分の1以下しか倒し得ない場合
・味方戦車の4分の1以下しかどれかの敵戦車を倒し得ない場合
・先に居る防御側砲(迫撃砲は除く)と戦車数の3倍以上の攻撃側戦車が、防御側増援戦車より早く到着し、先に居る防御側戦車(あれば)を倒し得る攻撃側戦車がいる場合の防御側
攻撃側なら戦車数を0.75倍し、防御側なら戦車数を0.5倍します。
 それにも及ばず、
・全味方戦車が敵戦車の2分の1以下しか倒し得ない場合
・味方戦車の2分の1以下しかどれかの敵戦車を倒し得ない場合
防御側のみ戦車数を0.75倍します。
味方戦車が敵戦車を倒し得ないとは、
・味方戦車の主兵装のAPおよびHEで最も高い修正前TK#から、敵戦車で最も低い前面装甲値を引いたものが、4以下の場合(ただし全敵戦車がどの味方戦車も倒し得ない場合は、火炎放射器戦車でも敵戦車を倒し得るものとします。)
・またはその味方戦車がFT-17Cである場合
とします。
(無敵戦車)
 逆に攻撃側の全戦車が側面でもどの敵兵器にも倒され得ず、防御側に戦車がおらず、勝利条件ヘクスとその近辺に林、建物がほとんど無い場合、攻撃側の戦車数を1.5倍します。
(深雪・泥濘)
 また深雪・泥濘の場合(市街戦を除く)、攻撃側は戦車数を0.75倍します。ただし歩兵優勢の攻撃補正(容易条件)で、深雪・泥濘による補正が打ち消されている時は、こちらの補正も適用しません。
 複数該当する時は、低い方一つだけを適用します。

防御補正
 次に防御側には、砲数(非車載)を加え、合計を2倍します。

 そして攻撃側から防御側を引きますが、歩兵と違って優勢値に防御補正を残さないので、結果がマイナスなら2で割ります。
 最後に歩兵相当に換算するため、3倍したものが戦車優勢です。


3 その他優勢

 初期配置、増援を含めて攻撃側の砲数、盤外砲数、航空支援機数を合計し、2倍します。
 初期配置、増援を含めて防御側の盤外砲数、航空支援機数を合計し、3倍します。
 ただし相手をほとんど撃てないものは数えません。
 攻撃側から防御側を引いたものがその他優勢です。


4 優勢率

 1、2、3を加えたものが総優勢(分隊相当)です。
 次に、
 ・攻撃側の分隊数
 ・防御側の分隊数の1.5倍
 ・攻撃側の砲数、盤外砲数、航空支援機数の合計の2倍
 ・攻撃側の戦車数の3倍
 ・防御側の戦車数、砲数、盤外砲数、航空支援機数の合計の3倍
を全て加えたものを、総兵力(分隊相当)とします。
 最後に総優勢を総兵力で割ったものが、優勢率です。プラスは攻撃側有利、マイナスは防御側有利です。


5 集計結果

 以上の方法により、我が家でこれまでにやった73のシナリオの対戦結果を集計してみました。優勢率が0の場合や、1勝1敗の場合については、0.5勝と計算します。また攻防不明のシナリオ10は、攻防補正無しで計算しました。
 その結果、優勢率の絶対値が、
・10%未満の場合 優勢側の勝率60%(35サンプル)
・10%以上20%未満の場合 優勢側の勝率71%(24サンプル)
(特に15%以上20%未満の場合 優勢側の勝率83%(12サンプル))
・20%以上の場合 優勢側の勝率100%(14サンプル)
となりました。
 ASLのシナリオは状況や勝利条件など様々違うものがあり、シナリオを作った人もいろいろバランスを考えているのでしょうが、この結果を見る限りそういったものよりも、結局は兵力が勝敗を分けているようです。
 ただプレイスタイルの違う人だと、この勝率も違ってくる可能性はあります。例えば我が家では防御側は基本、有利な場所を選んで最終的にそこに兵力を集め、決戦することが多いです。これにより我が家で防御側の勝率は6割を超えています。しかしネットでリプレイを見ると、防御側に十分な戦力があるにも関わらず、兵を分散配置した縦深防御を行い、結局各個撃破されて負けている例を見かけます。このような違いがあれば、戦力優勢が意味をなさない場合もあるでしょう。

2021.11.15追加
 片方の戦車が強すぎて、戦車優勢の評価が適切でないと思われることがたまにあるので、戦車に質補正を加えて今までの115シナリオを再集計してみました。
 優勢率の絶対値が、
・10%未満の場合 優勢側の勝率54%(51サンプル)
・10%以上20%未満の場合 優勢側の勝率84%(45サンプル)
・20%以上の場合 優勢側の勝率100%(19サンプル)
 前回に比べて10%以上20%未満で優勢側の勝率が大きく上がりました。これは戦車の質補正や歩兵の攻撃補正改良で評価の精度が上がったというのもありますが、主な原因は
戦力の優勢を生かす戦術が近年確立されてきたことです。遡って結果を見てみると、10%以上の優勢を持つ側は、この2年半以上ずっと勝ち続けています(39シナリオが該当)。
 また5%刻みの集計は以下の通りで、今後はこれをシナリオの予想勝率とします。
 優勢率の絶対値が、
・5%未満の場合 優勢側の勝率5割(50%)(29サンプル)
・5%以上10%未満の場合 優勢側の勝率6割(59%)(22サンプル)
・10%以上15%未満の場合 優勢側の勝率8割(81%)(26サンプル)
・15%以上20%未満の場合 優勢側の勝率9割(89%)(19サンプル)
・20%以上の場合 優勢側の勝率10割(100%)(19サンプル)
 それから歩兵の防御係数1.5と戦車の防御係数2.0は、経験による勘で決めたものでしたが、それが本当に最適なものか0.05刻みで係数を変えて検証してみました。するとやはりこの値が、最も優勢率が高いほど勝率が高くなる適切な係数だと確認できました。
 なお高い優勢率絶対値では優勢側が勝つ可能性が高いですが、低い優勢率絶対値の場合どちらかが有利とは言えないというだけで、必ずしもバランスのいいシナリオとは限らないことに注意してください。全体で優勢側の勝敗が半々というだけでは、個々のシナリオが互角なのか、同数ある有利なシナリオ不利なシナリオの1つなのかは分からないからです。
 またデータが少ない、ブレが大きい、戦車評価が大まか等により、極端に大きいまたは小さいシナリオやAFVが多いシナリオでは予想勝率の誤差が大きく、AFVのみやAFVが突破するだけで勝てるシナリオではほとんど参考にならないでしょう。

 集計データは以下に置いておきます。
ASLバランス
 分隊数に色が付いているのは、指揮官補正が付いており、濃い方が+2、薄い方が+1されています。戦車数に色が付いているのは、質補正がついています。
 もしデータや式の誤りに気付いたときは、教えていただけると助かります。

 
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