DR125 CDIの解析 その1(全面改定 2016.12.21)

以前測定したデーターは不正確だったので再度測定しました

CDI全滅後オークションにて3個入手
3個とも入手時は動作したのですが1個壊れて2個になってしまいました
そろっとやばい  ということで 再度測定

ちなみに壊れた2個はキック時にプスプスいうことがあるが、点火が続かない
2個目は内蔵している電解コンデンサ部分のみ開封して新品に交換してみたが症状は変わらず・・・・
このCDIはキック始動時とエンジン始動後では別の回路が動作するため、
エンジン始動後のタイミング調整回路がダメになったものと推測


基板画像(裏側)
CDIユニットをバラして基板を取り出したところです。
この反対の面に部品が付いています。
(画像を無くしてしまいました・・・・)

バラスのに半日かかった〜

犠牲者
ニッパー 1ヶ
カッター 1本分の刃
オラの 根性(ストックがそこをついた)






CDI回路図

回路図にしてみました。


コイル
火花を飛ばすためのコイルL1とCDI回路を動かすためのコイルL2は一つの鉄心に巻いてる(推定)
L2の電圧が上昇して8Vに達するとSCRが動作(ショート)し、L2両端は短絡されます
その電圧でC1を充電し、CDIを動かす電源として供給されます

またL2とL1は一つの鉄心に巻かれているため両コイルの電圧は比例します
このためL2両端電圧を8Vに制限しているため約200Vに制限されます
(注)コイルの発電電圧は回転数に比例します
   L2電圧は2000RPM時に8Vとなります
   制限しないと12000RPM時には48Vとなり
   L1電圧は1200Vに達してしまいます
   補助電源回路のSCRはこの電圧を制限する機能も持っています

   また L1L2はフライホイール一回転につき4サイクル発電します

L3は進角タイミングを調整するための信号発生用です。
フライホイール一回転につき1サイクル発電します
キック時(2000RPM以下)ではD8、TR1を経てSCR2のゲートをトリガします
2000回転以上ではIC経由でタイミングを調整します

動作説明
L1に発生した電圧はD1→D2→C4→D3→D4と流れて、C4を200Vに充電します

その後L3の電圧が上昇しD8→TR1→SCRのゲートと流れSCR2をONし、SCR2のA-K間をショートします
C4に充電された電圧はC4→SCR2→イグニッションコイル→C4のルートで流れます
その結果L4のプラグ側に高電圧が発生しプラグで火花放電を発生させます

エンジンの回転数が2000回連を超えると進角調整用のICが動作を開始し
TR1のコレクタをグランドに接地します。その結果L3→D8→TR1のベース→TR1のコレクタ→GNDと電流が流れSCRはONできなくなります
2000回転以上では点火時期にICがTR1のコレクタをオープンします
その瞬間SCR2がONします
この時にTR1のベースは10uFのコンデンサに蓄えられたエネルギーでON状態を維持しています


クリックでPDFファイルが開きます




点火時期とL3電圧の関係



点火時期とL3電圧の関係を測定しました
サービスマニュアルでは 13度/1950RPM と記載されていますが1950RPMに保つのが難しかったため2013RPMでの波形です
黄色が下に下がったところが点火時期
水色はR7 750Ωの両端電圧波形 (L3両端電圧波形と上下逆の形になります)GND基準で測定しています
この電圧が反転する部分は回路のミソでうまく考えられています






2013RPM時の点火時期とL3電圧のピーク間は1.86ms(22.47度)
L3ピークから22.47度遅れた点が進角-13.5度となります
以降の進角測定はこれを基準とします

タイミング波形の詳細



L3波形の詳細測定



進角の測定結果

実際に測定した進角のグラフを示します
2000RPMから4000RPMにかけて直線的に進んでおり
それ以降は一定値を保っています


感想  もっと複雑に調整されているかと思いきやシンプルな進角でした。
     公開展示の進角を緩やかに進めたらもっと高域でパワーが取れるかも・・・




L3両端電圧のプラス側、マイナス側のピークのグラフを示します


太線は補完したライン  細線が実測値
2500RPMから3600RPM間は電圧が上昇気味で3600RPMから5000RPMでは下降気味です
原因は不明

進角の測定データーサンプル













キック始動時の波形

キック始動時にどれくらいのタイミングで点火するか測定しました

キック時は1000RPM位から点火が始まります















以上がCDIを実測したデーターです



クリックすると全波形データーのPDFが見られます



次回は再設計した回路図&シミュレーション   へ続く・・・・