第2話 クラシックギターは爪が命

前回のフラット雑記から早数年・・・というのは言い過ぎですか、ようやく連載2回目に至りました。
全国のフラット雑記ファンの皆様、大変お待たせいたしました(隣で弟が、「誰も待っていないよ」とつぶやく声が)。
長らく筆が進まず、周囲にせかされヒイヒイ言いながら書いていますが、周囲に応援してくれる人がいるというのは、
本当にありがたいことです。そうでなければ、きっと前回の連載が最終回になっていたことでしょう。

さてそんなふうにぐうたらの私ですが、趣味であるクラシックギターの練習はほぼ毎日行っています。
練習というと、いろんな練習がありますが、今はひたすら基礎練習に励んでいます。

以前の私(3年位前まででしょうか)は、練習と言えばとにかく曲を通して弾くというものでした。
それでどうなるかというと、楽譜を見ずに曲を通して弾くことができるようになります。
そうなると自分は弾けた・上達したと勘違いし、次の曲に進みます。次の曲を通して弾けるようになる頃には、 きれいさっぱり忘れているわけです。

そんなこんなで年数の割には一向に上達しないことを嘆いていましたが、ある先生のワンレッスンを受けたことで 状況が一変しました。
簡潔に言うと、左手の形が出来ていて、右手の爪がきれいに磨けていれば、いい音楽が自然と出てくるというものです。
その先生のレッスンを受けたとき、まず右手の爪を削ってもらいました。それにより、魔法のように弦に爪が引っかからなくなり、
非常になめらかに右手が動くわけです。
そして左手の形が出来ていないことを指摘され、それを直す練習方法を教えてもらいました。
「スポーツ選手が筋力トレーニングをして身体を作る。ギターについても、音階練習やアルペジオ、スラーといった基礎練習 がそれにあたる」と。


確かに左手の形が出来ていなければ、ポジション移動の際おかしな間が生じたり、音階を弾いてもそれぞれ音価が違ったりと
、非常にでこぼこな演奏になってしまいます。テンポも非常に不安定なものになるでしょう。
右手の爪に問題があれば、爪が引っかかった際に雑音を生じたり、音色にも影響してきます。
そしてギターは左手で弦を押さえ、右手で抑えた弦を弾いて音にしるわけですから、どちらも欠けてはならないものです。

そのことに十数年気付いていないわけですから、大分遠回りしてしまいました。ですがそのことに気付けたことは本当に幸せなことでした。
一緒にその先生のレッスンを受けたある方は私に、「君は30代でそのことに気付けたから良かったじゃない。私は50半ばでやっとだよ。
でもそのことに今気づいた瞬間からが始まりだから、遅いも早いもないんだよ」と声を掛けて下さいました。

イタリアのことわざで、「ゆっくり行く者のほうが遠いところまで行ける」というのがあるそうです。一緒にギターデュオを組んでいる大切な
相棒から教えてもらいました。

基礎というの一朝一夕で身につくものではないでしょう。何年単位で続けなければ身につかないものだと思います。
ですが、それが身についた時には、きっと一皮も二皮も剥けた自分がいるのではないか。そんな期待が日々の練習に励む原動力になっています。

次回は、行っている基礎練習の中身について、お話できればと思います。それでは全国にファンの皆様がいることを信じて、またお会いしましょう。 (2019,2,19)

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