LOFT presents SATURDAY NIGHT R&R SHOW 2002 Vol.8
2002.12.21 新宿LOFT


本年二度目にして締めのTHE TRANSFORMER@LOFTである。年に二度も見られるなんて幸せだー。遠征せにゃならんのが辛いとこではあるんだけどねー(落涙)。

整理番号が人生初の二十番台でかなり良い方だーと思ってたら、チケットの種類(会場売り・プレイガイド売り)を問わず番号順と言われた。従って、一つの番号につき同一番号の人が三人前後いる状態。おかげで俺が入った時には軽く五十人以上入ってた。まぁよし。
出演順が不明のまままったりと開演を待ち、定時を数分回ったところでスタート。

トップは今日唯一のソロ、小久保淳平。バックバンドが不思議な顔ぶれだったんだよねー、顔だけ見たら若いのとベテランが混ざってる感じなんだが、実は若く見えるリズム隊の方が誠実堅実な音を出してて、一番年増に見えたギタリストが一番やんちゃな音だったという。謎だ。
のっけから最後までいい感じに飛ばしっ放しの曲ばかりを並べた小久保くん。いい声してます。通りも伸びもいい声を持っています。あとは曲の幅が問題かなー、イベントだから持ち時間短くて仕方ないんだけど、バラードだとどうなるのか聴いてみたい感じ。
自宅帰還後に調べてみたら、サポートメンバーがなにやら楽しいことに。
とりあえずギターが。井上慎二郎。チロリンのサポートで名前を聞いたことのある人だった。この人が凄まじかったんだが、それは後述。
ベース。これが個人的に最も驚きの人。ex.Gallaの篠田さんじゃないですか。ドラムがわからないんだけど(大竹ハヤトさんというお名前らしいが、違うハヤトさんかもしれない)、ドラムも割と骨太のいい音出してたなぁ。芯がしっかりある感じで。そこに乗るベースも、Gallaの彼と考えれば納得のいく音だった。
で、ギター。井上。
二曲目辺り、中央でスポット浴びまくりの小久保くん本人もまだ額に汗が浮いた程度の頃合で、うつむいた顎から水滴が滴り落ちていた。

後で発覚した。
鼻血だったらしい(大爆笑)。
よく見たら、アンプ上に置かれた白いタオルに赤いものが付着してるし。
同行のお嬢さんがチロリンのライヴでこの井上を目撃していたというので詳しく聞いてみたら、どうやら飲兵衛らしい。さては年甲斐もなく開演前から飲んでて血行よくし過ぎたね(笑)?

そんなこんなを含みつつ小久保くん終了。ここで客席がぎゅぎゅっと詰まる。十数分後に理由がわかった。二番手がBLADEだった。
武田真治と石垣愛の新バンドで、サポートのリズム隊がHIROKIとFURUTON。このHIROKIがナニモノなのかわからなかったんだが、ベースのメーカーと弾き方で確信。ex.Media-Youthの彼でした。グレコのベースを3フィンガーで弾いててあんなに音がぶっとくなる男を俺は他に知らない。
今日は自分がヴィジュアル系バンドにハマった当時、前線にいた方々に出会える日だったんだね。

で、そのBLADE。まだまだです。MCで喋ったのが驚異的なことに石垣一人だったんだが(武田真治が無言だったのよ)、その石垣曰く「まだペーペーなんで」。うん、ほんとにまだまだな音でした。
なまじリズム隊に実力のある人を起用してるから、ボトムはえらくしっかりしてるし、上に乗る二人も楽器の音はいいんだよ。ちなみに石垣は当然g.(フェンダーのシルバーのテレキャスに、アンプは恐らくジャズコ)、武田真治はsax.だ。そしてメインがsax.の曲だと石垣が、sax.じゃない曲だと武田真治が歌うわけだが、二人ともその歌が。歌が!
……えーと、すみませんけれどもとりあえず、ヴォイトレ半年くらいやってきていただけますか。声量なさ過ぎです、二人とも。ついでにシャウト決めんのは慣れてからにしてください。無理にカッコつけたってハマりが悪いです。
対照的に、sax.はかっこよかったのだ。g.もよかったのだ。なればこそ余計に歌が切なかったわけだが。
曲はいいものが揃ってるんだよな。色付けでホーンセクション使うバンドはあっても、ロックバンドでsax.がメインにくる曲を持ってるバンドはまずいない。それが、BLADEの場合はvo.すらも脇に退けてsax.がメインのロックナンバーがあるのだ。それはとても大変にもの凄く面白いと思う。sax.が、BARBEE BOYS並にイントロ・間奏・アウトロで使われるだけ〜っていうタイプの曲もあるけど、それでもちゃんとsax.が引き立つアレンジになってるし、かと思うとg.が出るとこはちゃんと出てるのだ。面白い。
ただ、後になって思えば、爆音過ぎて各パートのバランスがいまいち取り切れてない感じがあったんだよね。sax.とg.の歪み系サウンドが混ざって聴こえちゃったりしてたし、歪みをかけたvo.がg.の歪みサウンドに食われてたり。
その辺は、レコーディングを一度きちっとやり遂げると激変しそうな気が。ライヴで鍛えるのも必要だけど、音源制作で得られる感覚もあると思うので、このバンドはまずレコーディングを一度経験してほしい。
あと、余計なことではあるんだが……武田真治が喋らないから仕方ないのか、あるいは率先して俺がやると言ってるのかは不明だが、石垣。喋るならもちっと上手に喋る練習してくれ。頼む。他のなによりも実は石垣のMCが一番微妙だったんだよー……

視覚的に目を引かれたのは武田真治の肩から腕のラインの筋肉。黒のノースリーブから覗く肩からのパーツの綺麗なことったらないね。美しき筋肉美って感じ。綺麗なんだよほんとに。
ヘアタイルと顔はどうかと思ったが。せっかく綺麗な顔してんだからヒゲ(しかも剃り残しっぽくしか見えない)とドレッドヘアはどうかと思うよ、さすがに。あそこまで整った顔してると、汚そう崩そうとしてもなかなか難しいと思うんだが。
そしてもう一つ。Hiroki、動き過ぎ(爆笑)。サポートメンバーにしてあそこまで動く人を久々に見たよ。
一度ベリーショートにしたのが伸びました的な長さの金髪を、最初こそちょっとだけかっこつけセットになってたのが、わずか三十分ほどのステージの後半に入る頃にはすでにばっさばさ。そのくらい、ベドバンしまくり。あと、立ち位置からの横移動はほとんどなかったけど、武田真治の背後でFURUTONに向き合ってアタマ振りながらがすがす弾いてたり、メイン二人が立ち位置から動いてないタイミングでも平気で自分の前のモニターに足かけて上半身乗り出したり。
んなことされたら惚れるじゃねぇかちくしょう(笑)。
あと、回数としてはそんなに視界に入ってこなかったけど、初めてナマで聴いたFURUTONの音は抜け具合が気持ちよくて楽しかった。生き残るだけあって、いいドラマーなんだなーと実感。

BLADEが引っ込むと、客席後方へ移動する集団がいくつか。年齢層高めの方々が次々と離脱して、前が空くかと思ったらそれはそれでちゃんと詰まった(笑)。締めにTHE TRANSFORMER登場である。
SEが、BLADEのもけっこう近未来的重低音型だったんだが、こちらも相当。ていうかSEで使われてるノイズだけでけっこう耳痛くなった……
メンバー登場後、始まったのは「ギリリラ」。のっけからこれかよー! と思ったのも束の間、ちょっとした違和感に首をひねる。サビに入った辺りでその理由に思い当たった。テンポがちょっと遅めだった。なんでだろう? と更に首をひねることしばらく。間奏でvo.桐嶋直志が動いた。マイクスタンドにあるものとは別のマイクを手に、どこからか取り出したブルースハープを用意。吹き始めたその姿はそれなりに様になってるんだが、困ったことにテンポがギリギリ。これのせいか、これなのか!? と思ってたら、アウトロでもう一回ブルースハープが登場。えーと……かっこいいんですけどもー……吹く前に一所懸命マイク持つ手を握ったり緩めたりとか、客席そっちのけで吹く穴を確認したりとか、さぁやるぞというその一瞬に腕を伸ばして袖を払ってから吹きはじめるのはどうかと。まだまだ余裕がないのがバレバレです、桐嶋さん(笑)。
ブルースハープをスタッフに預けるのに微妙に手間取ったものの、すぐに持ち直して間髪入れず「Shut up」。ただ、曲に入る前にg.本郷信にスタッフさんが何事か耳打ちしていた。ギターアンプの陰を出たり入ったりしてるスタッフさんだったため、この時点ですでにトラブルの兆候があったものと思われる。アンプはいつものマーシャルだったんだがなぁ。なにが悪かったんだが。
それを知ってか知らずか大騒ぎの客席を尻目に「Shut up」が終わると、ここで本郷さんがギターを持ち替え。更に桐嶋さんもなにやら機材に向き直ったりギター持ち替えたりと、曲間が妙に空く。しかし、それで客もステージ上もテンション落ちないからいいバンドだよなぁ。
桐嶋さんのタイトルコールから「新世界」。初めて見たよー(感涙)。CDではベースがほとんど入ってないアレンジで、それはそれでメリハリあって大変好きな曲なんだが、ライヴでは最初からドラムもベースも入ったアレンジ。これも好きだー。
そこからタイトルのわからない新曲が二曲続く。先にやった方は「月光となんたらかんたら」っていう言葉の並びがサビにやたら出てきたからたぶんそれ。ブレイクの多い遊びまくりアレンジの曲だった。もう一曲もブレイクの多いナンバーだったが、俊くんのベースから入ってドラムが混ざって、延々二人で真面目にやってんのに、その上にギターをほんの1フレーズ乗せた本郷さん、唐突に弾くのをやめて腰に両手を当てて桐嶋さんを見やってニヤリ。遊ぶなよ(笑)。桐嶋さんも笑ってたしなー、ここ。各自好き放題にやってる印象の強いバンドだったから、ちょっと意外だったけど楽しかった(笑)。
新曲が終わった辺りでまたギター二台持ち替え。ほんと調子悪そうだなー。下げられたギターも、ステージ袖でスタッフさんが必死に調整してたっぽいし。メンバーとスタッフとで耳打ちしまくりだし。心配。
だったんだが、心配してる場合じゃなかった。やっと客席に向き直ったと思ったら、来たのが「Nothing to lose」。この曲で、このライヴアレンジでこのバンドに落ちただけに、この曲やられると無条件にトリハダ立ってしまう俺様、あんまり曲のパワーに押され過ぎて、思わず瞬きを忘れる。
で、このバンド、瞬きを忘れるとどうなるか。

vo.桐嶋直志とどこまで瞬きせずに目ぇ見開いていられるか競争できるんだな。(←実際やった/爆笑)

おかげで、瞬きしてる間に見落としてしまうであろう一瞬の光景まで見えるからいいんだけど、やっぱり目は疲れるのだよ(苦笑)。
アウトロから間髪入れずに俊くんが別のフレーズを叩き込んで、最後は「あるがままに」。大変残念なことにこの曲のサビ辺りで、今度は俊くんのベースの音が出なくなってしまったりした。この曲だとAメロBメロはベース大フィーチャーでギターがほとんど入らないので、1コーラス目のサビで音が出なくなった瞬間、2コーラス目が心配になってしまったが、これもなんとか2コーラス目に入る手前で持ち直し。
ひよっこバンドだとギター、ベース共にこんだけトラブル三昧だったらどうにもならなくて止まってしまいそうだけど、THE TRANSFORMERの場合絶対そんなことがないので嬉しい。
最後に残ったノイズ担当・本郷信、ギターを放棄したところでナマ声で雄叫びを残して退場。この人の雄叫びは好きだー。

とまぁそんな感じでライヴ終了。本年締め。お疲れ、俺。