LIGHTNING & THUNDER '98 HYBRID
1998.10.30 新潟PHASE


 

***注***
俺様、この二ヶ月前、九八年八月に初めてGARGOYLEのライヴに参戦している。ので、レポの要所要所に初心者故の思い違いやら勘違いやらが見えるが、その辺は無視していただくとよろしいかと思われる。
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二年に一度のペースになっているLIGHTNING & THUNDER、今年はドサ回りもやってくれることになって、新潟が初日。
会場はGARGOYLEに余裕で対応できるCLUB JUNK BOXではなく、音楽向きじゃないせいで音がむちゃくちゃ悪い多目的ホールのPHASE。しかもJUNKでも大丈夫そうなくらいしか客がいない……。バンド側も不幸だなぁ、などと考えつつ会場入り。外で並んでる間に、新潟限定販売なはずのビッグサイズの「きのこの山」を持ってるお姉さんがいて、「誰にプレゼントするんだ?」と困惑したりして。
会場のロビーでは、幾つも並んだモニターで、いつだか不明なGARGOYLEのライヴ映像が流れていた。俺らが見た時は「風の街」。牙様の頭上にミラーボールが映っていたけど、それがどこの会場なのかは謎。Break Outでもお馴染み、新潟ライヴマスター・本間げん氏がしっかりGARGOYLEのブルゾンだか皮ジャンだかを着てるのを見て、うっかり気合が入ってしまったり。

五時半、定刻にライヴスタート。オープンは遅れたのにスタートが定刻。いかに客が少ないかっつー……ね。
トップはオープニングアクトとして指定済みのBEAST。見なくていいと思ったのか、やたら人が少なかった。しかもg.がトラブルでほとんど音が出てなかった。更にインディーズなせいだかなんだかスタッフがロクに姿を見せず、ギタリスト本人とDJさん(Tシャツがポカリスウェットだった)が自ら機材に向き直って調整していた。かなり気の毒だった。
やはり会場が爆音に不向きにできてて、vo.も聴き取りにくかったが、ノリ的には嫌いじゃなかった。

続いてYOUTHQUAKE。この日の彼らはメンバーチェンジ後初のライヴだったそうで。屍忌蛇脱退→与太郎・KENTARO加入を経たGARGOYLEの国内初ライヴがやはり新潟だったことを受けて、それにあやかろうとオープニングアクトを除いた四バンドのトップを譲ってもらったとvo.HIYORIくんが話していた。外見と音に反して、はにかんだ笑顔が妙に可愛らしかったのはまぁ置いといて。
変拍子や細かいキメが多い上に音が悪いので、曲をほとんど知らない俺にはノリづらかったが、客の反応を見つつ一所懸命に吠えるHIYORIくんが妙に健気で、応援したくなった。
ちなみに、どうも得意技らしいHIYORIくんのマイク回し。シールドを持ってマイクをがすがす振り回し、手から手へ投げてはキャッチしたり、というあのマイク技はかなり好きだ。時折格闘技系のアクションが入るのもかっこよかったのだ。曲よりむしろ彼の存在感の方がインパクトあった。そういう人はやはり真ん中に立っててほしいやね。

お次は東京YANKEES。「出たぁ!」と後ずさりしてしまったよ……怖いんだもん(笑)。
前出のHIYORIくん同様「俺ら、こんなだけど、怖い人たちじゃないんで」としきりに言うvo.UMEちゃん。でも、リーゼントに全身レザーってなアナタにそんなこと言われても……怖いよぅ(泣)。
YANKEESも個人的にはツボにくる曲が多かった。なればこそ音の悪さが悔しいんだが。
しっかし、YOUTHQUAKEにせよYANKEESにせよ、野郎どもが暴れてない!
お姉さん方がアタマ振り過ぎてフラフラになってるのを恐ろしげに見てるだけって人が多かった気が。いや、楽器隊の手元をじーっと見てる人とかはいいんだけどさ。そもそもこんなハードなバンドばかり集まってるイベントで、女性客の方が圧倒的に多いというのはナニゴト?

さて。お待たせしましたのゲストバンド、SEX MACHINEGUNSの登場。俺はまだ1stアルバムを買ってないので、曲が「みかんのうた」と「鉄拳II」と「FIRE」しかわからんのだが、その他にもう二曲しかやらんかった。(注:その二曲の片方は、今思えば「ファミレスボンバー」だった)しかし、たった五曲中二曲とは言え、アルバムを買わなかったことが悔やまれた。そのくらい、面白かった。
ドラムはやはりサポートさん。果たしてサイパンは復帰するのか。MCでも彼のことに触れなかったのが気になる。
それはさておき、演奏したのが前述の通り五曲だったのに、メジャーデビュー後のシングルナンバーをやらない(やってない、と思った…たぶん)ことには驚いた。メジャーデビューアルバム発売記念のツアー日程に今日のライヴがしっかり組み込まれているのに、メジャーデビューしたことを必要以上にアピールしないんだよ。思いっきり賭けに出てる感じがして好感が持てた。今まで嫌いだったわけじゃなく、むしろ興味津々ではあったが、潔かったので今までよりちょっと好きになった。
途中、vo.ANCHANGが「アルバム買ってない人ー?」と聞いてきた時、ほんの数人が手を挙げてるのが見えたんだが、ANCHANGは「うっそ、マジ? ほんとにみんな買ってくれたの? うわー、大好きだ新潟ー」と素で喜んでいた。アルバム買ってないのに手を挙げなかった俺はちょっと良心が痛んだ。
だってそれまでは「今日はハードなバンドばっかりだから」ってわざわざdeath声作って喋ってたのに、この時はすんごい素だったんだよー……ANCHANG、ごめん。

さあさあ、そーんなわけでとうとうやって参りました、本日最高にして最後のお目当てGARGOYLEの登場。一緒に行ったふじむら嬢なんて、MACHINEGUNS終わって一息ついたらすぐ「じゃ、行ってきます(拳)!」だもんなぁ。GARGOYLEの前に彼女に惚れたよ、俺は。
「ナウシカレクイエム」の前に幕が開いて、dr.KATSUJI→黒Tシャツ、g.KENTARO→スナフキン、b.TOSHI→長袖シャツにベスト、g.与太郎のみ忘れてしまったが、そんなスタイルで登場。そんな中、vo.KIBAはアルバム『我意在』のモスグリーンの衣装バージョンアップって感じの、黒地をシルバーで飾りつけた……甲冑。だって、胴体覆ってるのと腰周りのスカート部分、布じゃなくて板だよ、どう見ても。あれは服と言うより甲冑。またねー、後ろ向いて腰振るたびにそのスカート部分が左右にちゃらちゃらすんのが妙に可愛いんだー。ちなみに甲冑の下は白だか黒だか忘れたけどワイドパンツだったはず。
既に記憶がトビつつあるオープニングナンバーは「Meditation」辺りではなかったかと。GARGOYLEの出番前に、他のバンドの曲数やイベントのオムニバスアルバムの収録曲等から今日のセットリストを予想してたんだが、そこから見事にハズれた曲だったことは覚えている。
続く「永遠の連続」で、♪おっおー生命がトリップすーる♪の後の「オイオイオイオイ!」の指導が入る(笑)。SHAZNAの「LOVERS」じゃないんだからさーと思いつつ、思わず一緒に手を挙げてしまっている自分。
煽りのみのMCから、早くも来てしまった「偶然と必然の途中」。オムニバスアルバム収録の新曲なので、ライヴでは初。やはりナマ音だと曲の持つパワーが違って、問答無用でかっこよかった。
これが終わったところでやっと本格的にMCタイム。初めてGARGOYLEを見る人のことも考えた牙様のお言葉の後、「今やった曲も(オムニバス)CDに入ってる曲ですが、これも入ってます」という前フリから「Purple Heaven」。
牙様の舞に見惚れているうちに、曲はそのまま「やがてひかる」へ。この曲、ギターソロの時の牙様がむっちゃくちゃ可愛かった……。自分の左側に来てソロを弾き始めたKENTAROをずーっとじーっと見つめてて、KENTAROが離れると同時に今度はマイクを持った両手を左頬に当てて首を左に傾けて……文面と牙様の写真を一緒に見るとどこが可愛いのか分からないだろうが、ナマで見ると可愛いんだから謎だ。実際、俺もナマで牙様を見るまでは怖そうな印象しかなかったのに、ナマで見てすぐ可愛いと思えてしまったのだよ。ほんとに謎。
そしてこの曲のエンディング、最後の音を出したその姿勢のまま、全員フリーズ。牙様は右手を左胸に当ててお辞儀したまま、TOSHI兄さんは弦を弾いた右手を額の辺りまで振り上げたまま。かっこよかった。
そこからわずかの間を置いて、かーなーりびっくりな選曲の「月下濫觴」。いやー、初めて見たけど、良い! 元々この曲は個人的にとても好きだったので、見られて良かった。幸せ。
怒涛の勢いで「月下濫觴」が終わった辺りで記憶が切れてるので、この後は更に曖昧だが、たしか「baby cat」が後に続いたと思う。しかし「baby cat」のイントロで、ドラムが入ったわずか一秒後に演奏ストップ(笑)。なにがあったか知らんが、誰か間違えたとか? だが、それで逆に盛り上がる辺りがGARGOYLE、さすが。そう言えば八月もラストの「ヂレンマ」のアタマで止まってたけど、それも盛り上がったもんなぁ。その八月も客席で見た覚えのある若いお嬢ちゃん三人組。この時は俺の目の前にいたんだが、「月下濫觴」ではおとなしかったのが嘘のように、「baby cat」に入った瞬間から踊る踊る(笑)。♪まわぁってまーわあって♪のとこで、自分たちがその場でターンするんだよ(笑)。可愛かった。
その後はもうハードナンバー連発。「baby cat」だったかもしれない前の曲が終わった次の瞬間、牙様に「我々は!」と叫ばれたら反応しない方が嘘。来てしまいましたの「完全な毒を要求する」。それに続けて「HALLELUYAH」なんてやられちまった日にゃあ、もう……メンバーもステージが奥行・幅ともにJUNK BOXの倍ほどもあるもんだから、走る走る。大騒ぎで本編終了。

ふじむら嬢と「月下濫觴」の感動を語り合ううちに、「これをやるためのイベントだろ!」というくらいのあの名曲を求めて、客席からアンコールの声が上がる。いくらも経たないうちにKATSUJI登場。いっぱい喋っていっぱい煽って、とっても楽しそうなKATSUJIを見てると妙に幸せな気分になるんだよなぁ。二ヶ月後のJUNK BOX公演の宣伝もしつつメンバーがステージに揃うのを待ってると、まずKENTAROが赤いロゴの我意在Tシャツで登場。頭にはタオル。全開の笑顔がかわえー……とか思ってる場合じゃなくて。与太郎のは八月のJUNK BOXでも見てたんだが、年長組まで見たのは初でした。
特攻服。
……びっくりした。いや、ほんと。牙様は頭に黒のバンダナ巻いて登場。
そして、まずは東京YANKEESのUMEちゃんとYOUTHQUAKEのHIYORIくんを呼び込み、その二バンドのメンバーも呼び、SEX MACHINEGUNSもBEASTも呼び込んで……ステージに揃った兄さんらの大半が、KENTAROと同じくタオル巻き。しかもなぜか同じ色(爆笑)。
勢揃いしたところでとうとう来ました「東京YANKEESのテーマ」!
GARGOYLE以外の方々はほとんどが楽器を持たずに、vo.三人の後ろ、ドラムセットの前に横一列に並んで……踊ってましたがな(爆笑)。ちょうど俺の正面にSEX MACHINEGUNSのvo.ANCHANGがいたんだが、隣を見ながら一所懸命に「T・O・K・Y・O」をやっている姿はあまりにも、あまりにも楽しかった(笑)。
それと、ギターソロだかアウトロの辺りだか忘れたが、東京YANKEESのg.かb.の人だと思うんだけどその人が、どっかから箒と塵取り持ってきてステージフロントを掃除してたんだよ(爆笑)。どこから持ってきたんだ、ほんとに。
更に、曲がスタートした辺りから終わるまで、客席最前ど真ん中にBEASTのvo.GOさんがいて、周りに担がれて転がってましたわ。一曲丸々ずーっと。いやー、楽しそうだった(笑)。

こうして大騒ぎのうちに終わった……はずが、客の方がおさまりつかなくて、またもやアンコールかけ始めちまって。俺の近くで、GARGOYLEのサイン入りTシャツ着て黒のハチマキしてる兄ちゃんなんかが、かなり頑張ってアンコールかけていた。いや、正直その兄ちゃんのスタイルがあまりに懐かし過ぎた上に、とてもとても熱い人だったので、ちょっと笑っちゃったりもしてたんだが。ごめんよ兄ちゃん。
業を煮やした係員が「清掃始めますので退場してくださーい」とか言い始めた辺りで、「天才てれびくん」でダンプ松本から逃げてた時のよーな走り方で牙様登場! すごすご引き下がる係員なんぞすでに眼中外。だって「さっきので終わったらかっこええなぁって思ってたから、もう服脱いでたんよー」って、一所懸命バンダナ引っ張ったり上げたりしながら照れ臭そうにそんなこと言うんだもん、牙様。
「待って。ちょっと待ってな。曲、なにやるかも決めてないねん。なにやろう」とKATSUJIの方を向いたりしてるなーと思ったら、いきなり始まったのが「NO GAS」。これで騒がなかったら嘘だ。曲の前に「あのー、他のバンドの皆さんも、ヒマやっていう人、出てきてくださーい」なんて言ってたから、お祭り騒ぎ系の曲で平和にくるかなーと思ってたらこれだもんなぁ……。
他のバンドのメンバーさんもここまで来ると半ばヤケ? 下手側から一人ずつダッシュしてきて牙様の後ろでジャンプ(妙なポーズ取る人多数)して、上手側のステージ袖に消えるというのを、いったい何人やったことやら(笑)。楽器持ってきて一緒に弾く人も出現する中、ギターソロではKENTAROが後頭部にギター抱えて弾いてて、TOSHI兄さんが「俺もやるー!」ってあの満面の笑みで対抗、あげく二人で楽器取り替えっこ。これも初めて見た光景で、うわーうわー楽しそうだーと見惚れてたんだけど……ふと気がつくと牙様がいない。ギターソロの間にどこへ!? と思ったら、客席後方が突然盛り上がる。
振り返るとそこには、本間げん氏に肩車された牙様の姿が。そのまま客席前方へと進んできたので、俺の近くにも来て。間近で揺れる牙様の髪に手を伸ばしつつ、なんか触っちゃいけないような気がして距離を置いたのは俺です。なんかね、叫んでる時のこの人は近寄りがたいよ。うん。

MCで皆さん、「このイベント、ずっと続けていきたい」としきりに熱く語っていた。俺個人としてはGARGOYLE目当てで参戦したんだが、いいイベントなんだよ、ほんと。馬鹿だし。続けていきたいのはこっちも一緒。いいモン見させてもらいました。