虐待のない明るい家庭
 この10年で経済も社会も大きく変化し、そしてそれに伴い個人個人の価値観も変わりつつあります。この流れの中、子育てに関しては、家族制度の変遷、社会全体の子育て機能の喪失などにより従来の子育てがうまく機能しなくなり、新しい子育ての形態を模索しなければならない段階にあります。これらの変化のなか、子どもたちがこの影響を最も強く受け、虐待、不登校、いじめという形で現れてきています。虐待、いじめは社会全体の問題ではありますが、その萌芽はやはり家庭にあります。特に乳幼児期の家庭での子育てが重要なことは皆さん理解できることと思います。以下は新潟大学小児科の田中篤先生が、虐待に関する講演で話された中で「虐待のない明るい家庭」作りのポイントとなる言葉がありますのでご紹介いたします。

「「家庭の機能には様々なものがあるが、子どもの心身の成長にとって、乳幼児期に最も大切なものは、最大の安心感と安全感を与えられて、ありのままで生きていい、このままでこの世界から受け入れられていると保障されることであると思われる。ここをしっかりと通過できると、子どもを樹木にたとえると大地にしっかりと根が張った状態となり、その後の成長をしっかりと支える土台が出来あがる。この機能を失っている家庭とは、よく怒りが爆発する家庭、冷たい愛のない家庭、他人や兄弟姉妹といつも比べられる家庭、期待が大きすぎてなにをやっても期待に添えない家庭、親が病気がち、留守がちな家庭、両親の仲が悪く喧嘩の絶えない家庭、嫁舅の仲が悪い家庭などである。」」