救急病院受診が必要な子ども

最近の夜間の救急病院はコンビニ化の傾向があり多くの軽症患者が集まるため、忙しさと医師不足でてんてこ舞いの状況となっており、本来の救急患者への対応がうまくいっていません。この点を考慮していただき受診するようにお願いいたします。

救急の対象で重要な症状は、ケイレン(ひきつけ)、頻回の嘔吐、40度以上の高熱、ぐったりして元気がない、喘息などによる呼吸困難、強い腹痛などです。これらの症状にはいろいろな病気が隠されていますのでぜひ救急を受診してください。個々については後述します。

けいれん(ひきつけ)(救急時の対応)

救急で最も重要な症状が痙攣です。

痙攣(ひきつけ)を起こしたら

1)  まずあわてないこと。
2)時計で時間を確認。ほとんどのケイレンは5分以内にとま る。
3)舌をかむ心配はないので口に強引にものを詰め込まない。4)吐き気がある場合は吐いたものが気管に入らないように顔 を横に向ける。
5)着ているものをゆるめて5分間様子を見る。
6)けいれんが5分を超えてり、半身のけいれん、けいれんを 繰り返すようなら救急車などで病院へ急行してください。
7)けいれんが収まっても初めての方は病院へ。

けいれんの鑑別

けいれんの原因は様々ですが、年齢と発熱の有無より簡単な鑑別ができます。

新生児期の有熱のけいれんは、重症感染症になり易いため、化膿性髄膜炎、敗血症、肺炎、破傷風、ヘルペス脳炎などが原因となり、無熱では分娩時の障害、先天的な要素より脳出血、硬膜下出血、核黄疸、テタニー。低血糖などが原因となる。

乳幼児期の有熱のけいれんは、ほとんどが熱性けいれんで、その他には脳炎、髄膜炎、脳症が原因として多く、無熱のけいれんでは点頭けいれん、憤怒けいれん、脳変性疾患、てんかんなど。

学童期の有熱のけいれんは、脳炎、髄膜炎、脳症、破傷風などで熱性けいれんはこの年齢ではなくなる。無熱では、てんかんが多く、脳外傷、脳腫瘍、ヒステリー、低血糖、失神、高血圧性脳症などが原因となる。

熱性けいれん

「熱性けいれんは、通常38度以上の発熱に伴って乳幼児期に発症する発作性疾患で、中枢神経感染症、代謝異常、その他の明らかな発作の原因疾患のないのも」と定義されます。 原因ははっきりしておりませんが、乳幼児期は脳の循環代謝が盛んで神経の接続が混沌としており、電線に例えると、絶縁のない電線がめちゃくちゃに張りめぐらされ、水の中に浸かった状態で、すぐにショート、放電しやすい状態にあります。これに加え遺伝的要素、発熱、感染などの要因が加わることにより熱性痙攣が発症すると考えられています。
 けいれんを起こしやすい年齢は生後10ヵ月から3才で、45才で発作を起こさなくなる。
 熱性けいれんの約7080%はウイルス感染に伴って起きてきますが、特にインフルエンザウイルス、ヒトヘルペスウイルス67型(突発性発疹)、ロタウイルスなどが要注意です。
 発作の持続時間は、90%が10分以内で、なかでも5分以内のことが多い。

けいれんへの対処は前述してあります。

けいれんの予防 熱性けいれんを繰り返す可能性のある子どもが熱を出したら、37.5から38度に上がった時点でダイアップ坐薬を挿入してください。約10分で効き目が出ます。その後も高熱が続くようでしたら体を冷やしたり解熱剤を使ってください。高熱持続の場合、8時間後に二個目のダイアップ坐薬を挿入してください。これで二日間は有効血中濃度が維持され、けいれんを起こす確率は少なくなります。

*熱性けいれん児の予防接種

最終発作から2から3ヵ月後に接種。状況により主治医の判断で1ヵ月でも接種可能。


発熱時の対処法


発熱の対応については、熱を下げることばかりに熱心な時代もありましたが、発熱の基礎的研究が進むにつれ「発熱は生態防御反応の一つであり、生体に有利に働いている」ということが明らかとなってきています。解熱剤の使用に関しても、以前使われた解熱鎮痛消炎剤(ボルタレン、アスピリンなど)は使われなくなり、現在は主にアセトアミノフェン(アンヒバ坐薬)が使われていますが、乱用を避ける傾向になってきています。
 発熱時の一般的対処法をお示しします。
まずあわてないこと。熱があっても(41度以下)元気で、からだをよく動かして、食欲もまあまあなら以下の対処をして次の日、小児科を受診して下さい。(特に夜間の場合)
 病気と戦って発熱している子どもの看護は、「エネルギーを消耗させない」「過ごし易くさせる」「十分な水分を与える」「ぬるま湯のおしぼりで体を拭いて体温を下げてやる」具体的には部屋の温度を適温にし、暑ければクーラーをつかい、あまり厚着にしないで、熱の上がりかけのガタガタした状態から、上がりきって真っ赤な顔になったら水枕、ぬるま湯のおしぼりで体温をある程度下げ、湯冷ましなどの水分を十分与え、子どもの消耗を防いでやってください。