M.Hiroi's Home Page

Puzzle DE Programming

スライディングブロックパズル (2)

Copyright (C) 2001-2022 Makoto Hiroi
All rights reserved.

問題の説明

今回は「15 パズルの変形版」を解いてみましょう。

[問題]
次に示す局面から始めて、最長手数となる配置を求めてください。何手になるでしょうか。
 ┌─┬─┬─┬─┐  ┌─┬─┬─┬─┐
 ││○││  ││
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 │●│●│●│●│  ││
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 │●│●│●│●│  ││
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 ││●│●│  │  ││  │
 └─┴─┴─┴─┘  └─┴─┴─┴─┘ 
       (1)              (2)

               図 : 問題

(1) の場合、赤、青、黄色、水色、桃色、空白の場所がひとつずつで、残りが 10 個が黒ですから、駒の配置は 16 * 15 * 14 * 13 * 12 * 11 = 5,765,760 通りあります。(2) の場合は、空白の場所が 16 通りあり、緑の駒の配置は \({}_{15} \mathrm{C}_5\) = 3003 通り、赤の駒の配置は \({}_{10} \mathrm{C}_5\) = 252 通りあるので、駒の配置は 16 * 3003 * 252 = 12,108,096 通りあります。

最近のパソコンは高性能でメモリの搭載量も多いので (M.Hiroi の PC は 8 G byte)、問題 (1) は単純な幅優先探索でも解けそうです。問題 (2) は、もしかするとメモリが足りなくなるかもしれません。そこで、問題 (2) は「11パズル」と同じく、盤面に 0 から 12,108,095 までの番号をつけて、無符号バイト配列 (Python の bytearray) を使って同一局面をチェックすることにします。

●問題 (1) の解法

それでは、問題 (1) から解いていきましょう。いつものように、空いている場所を 0 で表し、ほかの駒を 1 から 6 までの数字で表すことにします。そうすると、初期状態は下記リストのようになります。

リスト : 初期状態

start = (
    1, 2, 3, 4,
    6, 6, 6, 6,
    6, 6, 6, 6,
    5, 6, 6, 0
)

幅優先探索で最長手数を求める関数 solver_max() は次のようになります。

リスト : 最長手数の局面を求める

def solver_max():
    xs = [(start, start.index(0))]
    check = {}
    check[start] = True
    move = 0
    while True:
        ys = []
        for b, s in xs:
            for n in adjacent[s]:
                a = move_piece(b, n, s)
                if a in check: continue
                ys.append((a, n))
                check[a] = True
        if not ys: break
        xs = ys
        move += 1
        print(f'手数 : {move}, 個数 : {len(xs)}')
    print('最長手数 =', move, '個数 =', len(xs))
    for b in xs: print_board(b[0])
    print('状態の総数 =', len(check))

solver_max() は今まで作成した最長手数の局面を求めるプログラムとほとんど同じなので、説明は不要でしょう。詳細はプログラムリスト1をお読みください。

●実行結果 (1)

それでは実行してみましょう。

>>>> s = time.time(); solver_max(); print(time.time() - s)
手数 : 1, 個数 : 2
手数 : 2, 個数 : 3
手数 : 3, 個数 : 4
手数 : 4, 個数 : 5
手数 : 5, 個数 : 9
手数 : 6, 個数 : 16
手数 : 7, 個数 : 30
手数 : 8, 個数 : 53
手数 : 9, 個数 : 88
手数 : 10, 個数 : 148
手数 : 11, 個数 : 257
手数 : 12, 個数 : 428
手数 : 13, 個数 : 721
手数 : 14, 個数 : 1177
手数 : 15, 個数 : 1905
手数 : 16, 個数 : 3006
手数 : 17, 個数 : 4713
手数 : 18, 個数 : 7101
手数 : 19, 個数 : 10676
手数 : 20, 個数 : 15648
手数 : 21, 個数 : 22718
手数 : 22, 個数 : 31964
手数 : 23, 個数 : 44562
手数 : 24, 個数 : 60335
手数 : 25, 個数 : 80518
手数 : 26, 個数 : 104756
手数 : 27, 個数 : 133863
手数 : 28, 個数 : 167088
手数 : 29, 個数 : 204303
手数 : 30, 個数 : 243989
手数 : 31, 個数 : 284329
手数 : 32, 個数 : 323927
手数 : 33, 個数 : 358730
手数 : 34, 個数 : 387168
手数 : 35, 個数 : 405207
手数 : 36, 個数 : 412001
手数 : 37, 個数 : 405674
手数 : 38, 個数 : 386345
手数 : 39, 個数 : 354788
手数 : 40, 個数 : 312524
手数 : 41, 個数 : 264743
手数 : 42, 個数 : 214554
手数 : 43, 個数 : 166690
手数 : 44, 個数 : 123144
手数 : 45, 個数 : 86432
手数 : 46, 個数 : 57801
手数 : 47, 個数 : 36391
手数 : 48, 個数 : 21682
手数 : 49, 個数 : 11897
手数 : 50, 個数 : 6353
手数 : 51, 個数 : 2999
手数 : 52, 個数 : 1410
手数 : 53, 個数 : 563
手数 : 54, 個数 : 230
手数 : 55, 個数 : 65
手数 : 56, 個数 : 22
手数 : 57, 個数 : 3
手数 : 58, 個数 : 1
最長手数 = 58 個数 = 1
[ 0 6 6 5 6 6 6 6 6 6 6 6 4 2 3 1 ]
状態の総数 = 5765760
26.044363260269165

実行環境 : PyPy3 (ver 7.3.1), Ubunts 20.04 (WSL1), Intel Core i5-6200U 2.30GHz

実行時間は PyPy3 で約 26 秒でした。結果を図で表すと次のようになります。

 ┌─┬─┬─┬─┐  ┌─┬─┬─┬─┐
 ││○││  │  │●│●││
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 │●│●│●│●│  │●│●│●│●│
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 │●│●│●│●│  │●│●│●│●│
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 ││●│●│  │  ││○││
 └─┴─┴─┴─┘  └─┴─┴─┴─┘ 
     START           58 moves

            図 : 問題(1) 解答

ちなみに、生成した局面は全部で 5,765,760 個あります。しがたって、このパズルは駒をランダムに配置しても、必ず START に到達できることがわかります。

●組み合わせに番号をつける方法

問題 (2) を解く前に、N 通りある組み合わせに 0 から N - 1 までの番号を付ける方法を簡単に説明しましょう。たとえば、6 個の中から 3 個を選ぶ組み合わせは 20 通りありますが、この組み合わせに 0 から 19 までの番号を付けることができます。1 1 1 0 0 0 を例題に考えてみましょう。次の図を見てください。

5 4 3 2 1 0
─────────
0 0 0 1 1 1    ↑
0 0 1 0 1 1    │
0 0 1 1 0 1    │
0 0 1 1 1 0    │
0 1 0 0 1 1    │
0 1 0 1 0 1   5C3 = 10 通り
0 1 0 1 1 0    │
0 1 1 0 0 1    │
0 1 1 0 1 0    │
0 1 1 1 0 0    ↓
─────────
1 0 0 0 1 1    ↑
1 0 0 1 0 1    │
1 0 0 1 1 0    │
1 0 1 0 0 1   4C2 = 6 通り
1 0 1 0 1 0    │
1 0 1 1 0 0    ↓
  ────────
1 1 0 0 0 1    ↑
1 1 0 0 1 0   3C1 = 3 通り
1 1 0 1 0 0    ↓
    ───────
1 1 1 0 0 0    19 番目
─────────

  図 : 6C3 の組み合わせ

最初に 5 をチェックします。5 を選ばない場合は \({}_{5} \mathrm{C}_3\) = 10 通りありますね。この組み合わせに 0 から 9 までの番号を割り当てることにすると、5 を選ぶ組み合わせの番号は 10 から 19 までとなります。

次に、4 をチェックします。4 を選ばない場合は、\({}_{4} \mathrm{C}_2\) = 6 通りあります。したがって、5 を選んで 4 を選ばない組み合わせに 10 から 15 までの番号を割り当てることにすると、5 と 4 を選ぶ組み合わせには 16 から 19 までの番号となります。

最後に、3 をチェックします。同様に 3 を選ばない場合は 3 通りあるので、これに 16 から 18 までの番号を割り当て、5, 4, 3 を選ぶ組み合わせには 19 を割り当てます。これで組み合わせ 1 1 1 0 0 0 の番号を求めることができました。

では、0 0 0 1 1 1 はどうなるのでしょうか。左から順番にチェックしていくと、最初の 1 が見つかった時点で、その数字を選ばない組み合わせは存在しません。つまり、残りの数字をすべて選ぶしかないわけです。したがって、これが 0 番目となります。

このように、数字を選ぶときに、数字を選ばない場合の組み合わせの数を足し算していけば、その組み合わせの番号を求めることができるのです。詳しい説明は拙作のページ「Algorithms with Python: 再帰定義」の「組み合わせ」をお読みくださいませ。

●パスカルの三角形

ところで、今回のプログラムでは「組み合わせの数」が必要になります。このような場合、公式を使っていちいち計算するよりも、あらかじめ値をテーブルに格納しておいて参照した方がいいでしょう。そこで、「パスカルの三角形」を利用してテーブルを作成することにします。次の図を見てください。

                1                                 0C0
              /  \                              /  \
            1      1                         1C0    1C1
          /  \  /  \                      /  \  /  \
        1      2      1                 2C0    2C1    2C2
      /  \  /  \  /  \              /  \  /  \  /  \
    1      3      3      1         3C0    3C1    3C2    3C3
  /  \  /  \  /  \  /  \      /  \  /  \  /  \  /  \
1      4      6      4      1 4C0    4C1    4C2    4C3    4C4

                        図 : パスカルの三角形

パスカルの三角形は、左側の図のように両側がすべて 1 で、内側の数はその左上と右上の和になっています。これは \((a + b)^n\) を展開したときの各項の係数を表しています。そして、その値は右側の図のように組み合わせの数 \({}_{n} \mathrm{C}_r\) に対応しています。

プログラムはとても簡単です。

リスト : パスカルの三角形

def make_comb_table(n):
    table = [[1], [1, 1]]
    for i in range(1, n):
        buff = [1]
        for j in range(i):
            buff.append(table[i][j] + table[i][j + 1])
        buff.append(1)
        table.append(buff)
    return table

パスカルの三角形をそのままプログラムしただけなので、とくに難しいところはないと思います。それでは実際に試してみましょう。

>>>> for x in make_comb_table(15): print(x)
[1]
[1, 1]
[1, 2, 1]
[1, 3, 3, 1]
[1, 4, 6, 4, 1]
[1, 5, 10, 10, 5, 1]
[1, 6, 15, 20, 15, 6, 1]
[1, 7, 21, 35, 35, 21, 7, 1]
[1, 8, 28, 56, 70, 56, 28, 8, 1]
[1, 9, 36, 84, 126, 126, 84, 36, 9, 1]
[1, 10, 45, 120, 210, 252, 210, 120, 45, 10, 1]
[1, 11, 55, 165, 330, 462, 462, 330, 165, 55, 11, 1]
[1, 12, 66, 220, 495, 792, 924, 792, 495, 220, 66, 12, 1]
[1, 13, 78, 286, 715, 1287, 1716, 1716, 1287, 715, 286, 78, 13, 1]
[1, 14, 91, 364, 1001, 2002, 3003, 3432, 3003, 2002, 1001, 364, 91, 14, 1]
[1, 15, 105, 455, 1365, 3003, 5005, 6435, 6435, 5005, 3003, 1365, 455, 105, 15, 1]

正常に動作していますね。

●問題 (2) の解法

それでは問題 (2) を解きましょう。空き場所を 0 とし、駒を数値 1, 2, 3 で表すと、初期状態は下記リストのようになります。

リスト : 大域変数の定義

start = (
    1, 1, 2, 2,
    1, 1, 2, 2,
    1, 3, 3, 2,
    3, 3, 3, 0
)

# 組み合わせの数
comb_table = make_comb_table(15)

組み合わせの数は大域変数 comb_table に格納します。

盤面を数値に変換する関数 to_num() は「組み合わせに番号をつける方法」の応用です。駒 1 の場合、空き場所は無視して 2 と 3 を同じ駒と考えれば、配置は \({}_{15} \mathrm{C}_5\) = 3003 通りになります。駒 2 の場合、駒 1 と空き場所を無視すると、配置は \({}_{10} \mathrm{C}_5\) = 252 通りとなります。これをプログラムすると、次のようになります。

リスト :  盤面を数値に変換

def to_num(b):
    space = value1 = value2 = 0
    n1, n2 = 15, 10
    r1 = r2 = 5
    for i, p in enumerate(b):
        if p == 0:
            space = i
        elif p == 1:
            if n1 > r1 and r1 > 0:
                value1 += comb_table[n1 - 1][r1]
                n1 -= 1
                r1 -= 1
        elif p == 2:
            if n2 > r2 and r2 > 0:
                value2 += comb_table[n2 - 1][r2]
                n2 -= 1
                r2 -= 1
            n1 -= 1
        else:
            n1 -= 1
            n2 -= 1
    return space * 3003 * 252 + value1 * 252 + value2

n1, r1, value1 が駒 1 用の変数で、n2, r2, value2 が駒 2 用の変数です。配列 comb_table は「パスカルの三角形」を表しています。最初に、空き場所の位置を space にセットします。どちらの駒も空き場所は無視するので、n1 と n2 の値はそのままにします。

駒 1 の場合、駒 2 と 3 を同じ駒として扱うので、n1 の値は駒 2 だけではなく駒 3 の場合も -1 します。駒 2 の場合は駒 1 を無視するので、n2 の値は駒 1 ではそのままとし、駒 3 のときに -1 します。これで、駒 1 と駒 2 の配置を数値に変換することができます。

それでは実際に試してみましょう。

>>>> to_num((0,3,3,3,3,3,2,2,2,2,2,1,1,1,1,1))
0
>>>> to_num((1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,0))
12108095
>>>> to_num((1,1,2,2,1,1,2,2,1,3,3,2,3,3,3,0))
12077097

正常に動作していますね。

●最長手数の局面

最長手数の局面を求める関数 solver_max() は次のようになります。

リスト : 最長手数の局面を求める

def solver_max():
    b = bytearray(start)
    xs = [b]
    check = bytearray(12108096)
    check[to_num(b)] = b.index(0) + 1
    move = 0
    while True:
        ys = []
        for b in xs:
            s = check[to_num(b)] - 1
            for n in adjacent[s]:
                a = b[:]
                a[s] = a[n]
                a[n] = 0
                v = to_num(a)
                if check[v]: continue
                ys.append(a)
                check[v] = n + 1
        if not ys: break
        xs = ys
        move += 1
        print(f'手数 = {move}, 個数 = {len(xs)}')
    print(f'最長手数 = {move}, 個数 = {len(xs)}')
    for b in xs: print(tuple(b))
    print('状態の総数 =', 12108096 - check.count(0))

盤面はタプルではなく bytearray で表します。start を bytearray に変換して変数 b にセットします。xs は move 手の盤面を格納するリストで、[b] に初期化します。check には大きさ 12,108,096 の bytearray をセットします。bytearray の要素は 0 に初期化されます。新しい盤面が生成されたとき、check には 空き場所の位置 + 1 をセットします。

次の while ループで、手数を 1 手ずつ増やしながら幅優先探索を行います。xs から盤面 b を取り出し、check[to_num(b)] から空き場所の位置 s を求めます。2 番目の for ループで駒を動かします。このとき、盤面 b をコピーして変数 a にセットします。bytearray は mutable なデータ構造なので、リストに変換する必要はありません。to_num(a) で a を数値 v に変換し、check[v] が 0 (偽) ならば新しい盤面です。リスト ys に a を追加し、check[v] に n + 1 をセットします。

あとは今まで作成した最長手数を求めるプログラムとほとんど同じです。説明は省略しますので、詳細はプログラムリスト2をお読みくださいませ。

●実行結果 (2)

それでは実行してみましょう。

>>>> s = time.time(); solver_max1(); print(time.time() - s)
手数 = 1, 個数 = 2
手数 = 2, 個数 = 4
手数 = 3, 個数 = 9
手数 = 4, 個数 = 17
手数 = 5, 個数 = 31
手数 = 6, 個数 = 53
手数 = 7, 個数 = 91
手数 = 8, 個数 = 166
手数 = 9, 個数 = 310
手数 = 10, 個数 = 540
手数 = 11, 個数 = 915
手数 = 12, 個数 = 1542
手数 = 13, 個数 = 2522
手数 = 14, 個数 = 4006
手数 = 15, 個数 = 6333
手数 = 16, 個数 = 9795
手数 = 17, 個数 = 14808
手数 = 18, 個数 = 21860
手数 = 19, 個数 = 31708
手数 = 20, 個数 = 45038
手数 = 21, 個数 = 62808
手数 = 22, 個数 = 86118
手数 = 23, 個数 = 115907
手数 = 24, 個数 = 152799
手数 = 25, 個数 = 197455
手数 = 26, 個数 = 250687
手数 = 27, 個数 = 312167
手数 = 28, 個数 = 380582
手数 = 29, 個数 = 453785
手数 = 30, 個数 = 530437
手数 = 31, 個数 = 605770
手数 = 32, 個数 = 675832
手数 = 33, 個数 = 736970
手数 = 34, 個数 = 784429
手数 = 35, 個数 = 812871
手数 = 36, 個数 = 819168
手数 = 37, 個数 = 802369
手数 = 38, 個数 = 762545
手数 = 39, 個数 = 702108
手数 = 40, 個数 = 624494
手数 = 41, 個数 = 535325
手数 = 42, 個数 = 441749
手数 = 43, 個数 = 349908
手数 = 44, 個数 = 264275
手数 = 45, 個数 = 190116
手数 = 46, 個数 = 129405
手数 = 47, 個数 = 82963
手数 = 48, 個数 = 49902
手数 = 49, 個数 = 28137
手数 = 50, 個数 = 14942
手数 = 51, 個数 = 7306
手数 = 52, 個数 = 3226
手数 = 53, 個数 = 1233
手数 = 54, 個数 = 409
手数 = 55, 個数 = 119
手数 = 56, 個数 = 27
手数 = 57, 個数 = 2
最長手数 = 57, 個数 = 2
(3, 0, 3, 3, 2, 3, 3, 1, 2, 2, 1, 1, 2, 2, 1, 1)
(3, 3, 3, 3, 2, 2, 3, 1, 2, 2, 1, 1, 0, 2, 1, 1)
状態の総数 = 12108096
23.243242979049683

実行環境 : PyPy3 (ver 7.3.1), Ubunts 20.04 (WSL1), Intel Core i5-6200U 2.30GHz

実行時間は PyPy3 で約 24 秒でした。bytearray を使うことで、省メモリで解くことができました。結果を図で表すと次のようになります。

 ┌─┬─┬─┬─┐  ┌─┬─┬─┬─┐  ┌─┬─┬─┬─┐
 ││  ││  ││  ││
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 ││  ││  ││
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 ││  ││  ││
 ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤  ├─┼─┼─┼─┤
 ││  │  │  ││  ││
 └─┴─┴─┴─┘  └─┴─┴─┴─┘  └─┴─┴─┴─┘ 
     START           57 moves            57 moves

                      図 : 問題(2) 解答

ちなみに、生成した局面は全部で 12,108,096 個あります。しがたって、このパズルは駒をランダムに配置しても、必ず START に到達できることがわかります。

なお、メモリがもっと多ければ bytearray を使わずに解くことも可能です。実は M.Hiroi の環境でも今までと同様のプログラムで解くことができたのですが、途中からスワッピングが発生し、実行時間は 1 分以上と遅くなってしまいました。興味のある方はいろいろ試してみてください。


●プログラムリスト1

#
# sllide15a.py : 15 パズル変形版 (駒が六種類)
#
#                Copyright (C) 2022 Makoto Hiroi
#
from collections import deque
import time

# 状態の総数
# 5,765,760

#  盤面
#  0  1  2  3
#  4  5  6  7
#  8  9 10 11
# 12 13 14 15

# 隣接リスト
adjacent = [
    [1, 4],          # 0
    [0, 2, 5],       # 1
    [1, 3, 6],       # 2
    [2, 7],          # 3
    [0, 5, 8],       # 4
    [1, 4, 6, 9],    # 5
    [2, 5, 7, 10],   # 6
    [3, 6, 11],      # 7
    [4, 9, 12],      # 8
    [5, 8, 10, 13],  # 9
    [6, 9, 11, 14],  # 10
    [7, 10, 15],     # 11
    [8, 13],         # 12
    [9, 12, 14],     # 13
    [10, 13, 15],    # 14
    [11, 14]         # 15
]

# 問題
start = (
    1, 2, 3, 4,
    6, 6, 6, 6,
    6, 6, 6, 6,
    5, 6, 6, 0
)

# 駒の移動
def move_piece(b, n, s):
    a = list(b)
    a[s] = a[n]
    a[n] = 0
    return tuple(a)

# 盤面の表示
def print_board(b):
    print('[', end= ' ')
    for i, p in enumerate(b):
        print(p, end=' ')
    print(']')

# 最長手数の局面を求める
def solver_max():
    xs = [(start, start.index(0))]
    check = {}
    check[start] = True
    move = 0
    while True:
        ys = []
        for b, s in xs:
            for n in adjacent[s]:
                a = move_piece(b, n, s)
                if a in check: continue
                ys.append((a, n))
                check[a] = True
        if not ys: break
        xs = ys
        move += 1
        print(f'手数 : {move}, 個数 : {len(xs)}')
    print('最長手数 =', move, '個数 =', len(xs))
    for b in xs: print_board(b[0])
    print('状態の総数 =', len(check))

●プログラムリスト2

#
# sllide15b.py : 15 パズル変形版 (駒が三種類)
#
#               Copyright (C) 2022 Makoto Hiroi
#
import time

# 状態の総数
# 12,108,096

#  盤面
#  0  1  2  3
#  4  5  6  7
#  8  9 10 11
# 12 13 14 15

# 隣接リスト
adjacent = [
    [1, 4],          # 0
    [0, 2, 5],       # 1
    [1, 3, 6],       # 2
    [2, 7],          # 3
    [0, 5, 8],       # 4
    [1, 4, 6, 9],    # 5
    [2, 5, 7, 10],   # 6
    [3, 6, 11],      # 7
    [4, 9, 12],      # 8
    [5, 8, 10, 13],  # 9
    [6, 9, 11, 14],  # 10
    [7, 10, 15],     # 11
    [8, 13],         # 12
    [9, 12, 14],     # 13
    [10, 13, 15],    # 14
    [11, 14]         # 15
]

# 問題
start = (
    1, 1, 2, 2,
    1, 1, 2, 2,
    1, 3, 3, 2,
    3, 3, 3, 0
)

#
# 組み合わせに番号を付ける
#

# 組み合わせの数を生成
def make_comb_table(n):
    table = [[1], [1, 1]]
    for i in range(1, n):
        buff = [1]
        for j in range(i):
            buff.append(table[i][j] + table[i][j + 1])
        buff.append(1)
        table.append(buff)
    return table

# 組み合わせの数
comb_table = make_comb_table(15)

# 盤面を数値に変換
def to_num(b):
    space = value1 = value2 = 0
    n1, n2 = 15, 10
    r1 = r2 = 5
    for i, p in enumerate(b):
        if p == 0:
            space = i
        elif p == 1:
            if n1 > r1 and r1 > 0:
                value1 += comb_table[n1 - 1][r1]
                n1 -= 1
                r1 -= 1
        elif p == 2:
            if n2 > r2 and r2 > 0:
                value2 += comb_table[n2 - 1][r2]
                n2 -= 1
                r2 -= 1
            n1 -= 1
        else:
            n1 -= 1
            n2 -= 1
    return space * 3003 * 252 + value1 * 252 + value2


# 最長手数の局面を求める
def solver_max():
    b = bytearray(start)
    xs = [b]
    check = bytearray(12108096)
    check[to_num(b)] = b.index(0) + 1
    move = 0
    while True:
        ys = []
        for b in xs:
            s = check[to_num(b)] - 1
            for n in adjacent[s]:
                a = b[:]
                a[s] = a[n]
                a[n] = 0
                v = to_num(a)
                if check[v]: continue
                ys.append(a)
                check[v] = n + 1
        if not ys: break
        xs = ys
        move += 1
        print(f'手数 = {move}, 個数 = {len(xs)}')
    print(f'最長手数 = {move}, 個数 = {len(xs)}')
    for b in xs: print(tuple(b))
    print('状態の総数 =', 12108096 - check.count(0))

初版 2001 年 5 月 2 日
改訂 2022 年 11 月 12 日