その昔奈良朝の頃、大陸から朝鮮半島を経て日本に渡来したといわれるうどんの原型は
小麦粉を練って好みの
もので、丸くてコロコロしているところから混沌と呼ばれたらしいが、さらに熱く煮て食べた
ので温飩となり更に転じて饂飩となったといわれますが、文献によりますと
こんとんと称するものは室町時代末期(16世紀)迄あったとあります。
紐状のものがいつ生まれたかははっきりしないのですが
現在のように細く切るうどんは、室町時代には既にあったといわれ切り麦と称しました。
熱したものを熱麦(あつむぎ)冷やしたものを冷麦(ひやむぎ)と呼び、
総括してうどんと呼ぶようになったのは江戸時代のことといわれます。
以上のことからうどんの語源はいわゆるこんとんでは無く
【うどんの先祖とこんとんは別のものである】と言うことができます。
美味いうどんとは、程よくもちもちとした麺の腰の強さと、とろけるような舌触り、
麺自体からにじみ出る甘み、つるつるとした喉越しのうどんを言います。
ですから本場讃岐では【うどんは喉で食え】という言葉がございます。
このような旨みはどのようにして作られ引き出されるのでしょうか?
それは小麦粉、水、塩等の材料の吟味、そしてその材料に加えられる技術が
一体となって初めて作られるのでございます。その中でも昔から
*【
気温に応じた塩加減と【包丁三日、打ちが三月、茹で三年】と言われるように
茹で加減が最も重要な技術でございます。
以上の様にして作られたうどんの最も美味しい召し上がり方は、
茹でたての麺を冷たいざるか温かい釜揚げ、もしくは湯溜めで頂くのが
最高かと存じます。
*【塩1杯に対して水が土用の頃は3杯、寒の頃は6杯、春秋は5杯入れる】
(当時の製法による自然塩で現在の精製塩とは違うものです)
うどんの腰はどこから出るのでしょうか?
腰のあるもちもちとしたうどんと硬いうどんは別のものです。うどんの硬さは
タンパク質の含有量によって決まります。小麦粉はタンパク質の含有量によって
薄力粉、中力粉、強力粉に分かれます。
タンパク質の多い粉はスパゲティのような硬い食感になってうどんには向かないため
中力粉を使いますがうどんの腰のもちもち感はその粉に含まれている澱粉の性質
によって決まります。うどんに向かない中力粉の腰が足りないからといって
強力粉を混ぜても硬いうどんになるだけでもちもち感は出ません。
茹で揚げた温かいうどんのもちもち感と腰の強さの両方を求める事は
出来ないのです。そのような方は冷たいうどんを召し上がるのがよろしいかと存じます。