中川歯科医院

無防備なオーラルセックス注意


 性感染症、厚生労働省
 
 オーラルセックスは、口や舌を使って相手の性器を刺激する行為。
10代後半〜30代の性交経験者のうち約7割が経験しており、その際のコンドーム使用率は約2割という報告がある。
オーラルセックスで感染する主な病原体は、淋菌、クラミジア、ヘルペス、梅毒トレポネーマなど。
これらが咽頭に感染しても自覚症状が乏しいことから、気がつかないまま性行為を行い、感染の蔓延につながる可能性があると説明している。実際に、性器淋菌感染症者の10〜30%、性器クラミジア感染症者の10〜20%の咽頭から菌が検出されている

淋菌感染症とは
疫 学
 淋菌感染症は世界中に存在しており、最近増加している。米国の淋菌感染症はCDC の報告(Sexually Transmitted Disease Surveillance 1997 )によると、性感染症対策の成果として1975 年以来減少を続けてきたが、1996 年から減少が横這いとなった。そしてその後、1998 〜99 年にかけて一部の地域で増加に転じている。我が国でも、1985 年以降のエイズ啓発活動により顕著に症例数が減少していたが、最近の感染症発生動向調査によると、1999 年4 月以降連続して増加傾向にある。我が国での感染者は20 歳代の年齢層に最も多い。なお、報告数の中で女性の数が男性より極端に少数であることについては、女性は自覚症状に乏しく受診の機会が少ないことも要因の一つと考えられる。
 最近の疫学的研究によれば、淋菌感染によりHIV の感染が容易になると報告されており、その意味でも重要な疾患であ

病原体
 淋菌感染症は淋菌Neisseria gonorrhoeae(gonococci)の感染による性感染症である。淋菌と似た菌に髄膜炎菌Neisseriameningitidis(meningococci)があり、DNA の相同性は70%である。
 両菌種ともヒトに病原性がある。ナイセリアは直径0.6 〜1 μm のグラム陰性双球菌で、腎臓形をした球菌はそれぞれがくぼんだ面で接している。 両菌種による感染の臨床症状には著しい違いがあり、淋菌は尿路性器感染症、髄膜炎菌は上気道感染の後に中枢神経系感染症(髄膜炎)をおこす。しかし、オー ラルセックスによる淋菌性咽頭炎や髄膜炎菌による膣炎もときにみられる。したがって、確実な診断のためには検体の鏡検だけでなく、菌の培養と同定検査が必 要である。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失う。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはまれである。日光、乾燥や 温度の変化、消毒剤で簡単に死滅す
るので、分離培養が必要な場合には検体の取り扱いに注意を要する。


臨床症状
 男性は主として淋菌性尿道炎を呈し、女性は子宮頚管炎を呈する。
 男性の尿道に淋菌が感染すると、2 〜9 日の潜伏期を経て通常膿性の分泌物が出現し、排尿時に疼痛を生ずる。しかし最近では、男性の場合でも症状が典型的でなく、粘液性の分泌物であったり、場合によっては無症状に経過することも報告されている。
 女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、また、上行性に炎症が波及していくことがある。米国ではクラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっている。
 その他、咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる。
 淋菌感染症は何度も再感染することがある


治療・予防
 淋菌では耐性菌が増えているが、その出現や検出率には抗菌薬の投与方法や使用頻度が関 している。国や地域により、治療で多く使用される抗菌薬やその使用方法が異なるため、耐性菌の検出率も異なってくる。治療として、スペクチノマイシン(筋 注)、セフィキシム(経口)、オフロキサシン(経口)、ビブラマイシン(経口)などが用いられている。セフトリアキソン(静注)も有効であるが、我が国で は現在保険適用とはなっていない。近年、ニューキノロン系薬に対する感受性の低下が著しくなってきている。
 予防対策としては、性的接触時にはコンドームを必ず使用することを教育する。また、患者だけでなくその接触者を発見し、早期診断と治療を行うことが重要である。

 

感染症法における取り扱い(2012年7月更新)

定点報告対象(5類感染症)であり、指定届出機関(全国約1,000カ所の泌尿器科、産婦人科等の性感染症定点医療機関)は月毎に保健所に届け出なければならない。

届出基準はこちら


オーラルセックス(口腔性交)による性感染症に関するQ&A

Q1 オーラルセックス(口腔性交)とはどんな行為ですか。
A1 口又は舌を使って相手の性器を刺激する行為です。


Q2 オーラルセックス(口腔性交)で性感染症に感染したらどうなりますか。
A2 オーラルセックスにより性感染症に感染するということには2つの意味があります。ひとつは、「性器にいる病原体がオーラルセックスにより口腔内に感染を起こす」という意味、もうひとつは「口腔内にいる病原体が性器に感染を起こす」という意味です。どちらの場合も、自覚症状がある場合とない場合とがあります。 特にオーラルセックスで、性器から口腔に感染した場合は無症状のことが多いので、自分が感染していることに気付かないままに、更に別の性交渉相手にオーラルセックスを介して性器に感染させてしまうことがあります。


Q3 オーラルセックス(口腔性交)によりどんな性感染症に感染するのですか。
A3 オーラルセックスで感染する性感染症には淋菌感染症、クラミジア感染症、ヘルペス感染症、梅毒などがあります。
 これらの病気の概要を説明します。
    (1) 淋菌感染症:淋菌という菌が引き起こす病気です。男性では尿道炎(尿の出始めの痛み、陰茎の尿道口からの黄色で粘い膿)、女性では子宮頸管炎(帯下増、約半数で無症状)が起こります。潜伏期間(感染機会から症状が出るまで)は2〜7日ですが、女性では、自覚症状がないまま、骨盤腹膜炎で発症し、強い下腹部痛をきたすことがあります。更に上腹部まで感染が進展すると肝臓周囲炎を起こし、激烈な上腹部痛をきたします。治療には抗菌薬が用いられ、単回投与(注射)で尿道炎や子宮頸管炎は治る場合が多いのですが、腹膜炎になると入院治療が必要となる場合があります。

   (2) クラミジア感染症:クラミジア・トラコマティスという菌が引き起こす病気です。淋菌感染症と同様の感染部位ですが、潜伏期間は1〜3週間ですが、男性の尿道炎でも症状は弱く、半数が気付かないまま保菌しています。より深部の精巣上体炎(陰嚢内容が腫れて痛くなる)で発症することもあります。女性でも7〜8割が子宮頸管炎の状態では気付かず、腹膜炎症状で発症することも少なくありません。症状がないままに卵管癒着等が起こり不妊症の原因となることもあります。治療は深部感染に至っていなければ、抗菌薬の内服で治すことができますが、精巣上体炎や腹膜炎では、かなり長期の投薬が必要です。

   (3) ヘルペス感染症:単純ヘルペスウイルスは口唇や口腔内に水疱・潰瘍をきたし、この感染症は痛みを伴い、治っても再発を繰り返します。症状がない時でもウイルスの排泄は続いているといわれ、オーラルセックスでこのウイルスが性器に感染し、2〜5日の潜伏期を経て性器ヘルペスとして男性では亀頭や包皮に、女性では陰唇を中心に水疱・潰瘍・痛みをもたらします。治療には抗ウイルス薬の投与が行われます。

   (4) 梅毒:口唇・口腔内にも梅毒病変ができることがあり、梅毒トレポネーマという菌がオーラルセックスによって、性器に病変を作ります。性行為後約3週間の潜伏期を経て男性では陰茎亀頭部やその上の包皮、女性では陰唇部に初期硬結という痛みのない硬い病変ができ、次第に崩れ、硬性下疳と呼ばれるやはり無痛の潰瘍となります。この病変は自然に吸収され良くなりますが、病気が治ったわけではなく、そのあと全身感染となり、約3か月後にはU期病変と呼ばれる手のひら・足の裏を中心に乾いた発疹が現れ、進んでいきます。治療には抗菌薬が使われます。


Q4 オーラルセックス(口腔性交)による性感染症はどのくらいあるのですか。
A4 性交渉の際にオーラルセックスを行うカップルは特に若い世代に多く、調査の結果では7割以上で行われており、その際にコンドームを使用するのは2割程度という調査報告があります。
 また、性器に淋菌をもっている人の10〜30%、クラミジアをもっている人の10〜20%で、口腔内にもこれらの菌が認められると報告されています。
 このため、オーラルセックスにより性感染症が拡がることが懸念されています。


Q5 オーラルセックス(口腔性交)による性感染症の心配があった場合はどこに受診すればよいですか。
A5 性感染症は一般的に男性では泌尿器科又は皮膚科、女性では産婦人科で診察されており、また、口腔内の性感染症に関しては耳鼻咽喉科で診察している場合もあります。予め電話してから受診することをお勧めします。


Q6 オーラルセックス(口腔性交)による性感染症の検査はどんな検査をするのですか。
A6 最近では、男性なら初尿と咽頭擦過検体の両方を、女性なら子宮頸管擦過検体と咽頭擦過検体の両方を検査することが多くなってきています。咽頭擦過検体の代わりに咽頭うがい液で口腔内に菌がいないかどうかを調べることの方が菌を見つけやすいという報告もあります。


Q7 オーラルセックス(口腔性交)で性感染症に感染しないためにはどうすればよいですか、予防方法はありますか。
A7 男性用コンドームを陰茎に装着することや、女性の性器にラップ等を使用することで感染のリスクを低くすることができます。ヘルペス感染症のように皮膚と皮膚の接触でも感染するものについては、コンドームやラップ等で防ぎきれない場合もありますので、性器や口腔周囲に異変を感じる時は、オーラルセックス(口腔性交)を含めた性行為を差し控え、早期に医療機関を受診することが望まれます。


Q8 キスだけでも性感染症はうつりますか。
A8 仮にパートナーが口腔内に淋菌やクラミジアを有していても、通常のキス程度であれば感染が成立するほどの暴露がないため、感染リスクは極めて低いと言えます。ただし、ヘルペス感染症のように皮膚と皮膚の接触でも伝播するものについては、キスする際に皮膚が接触することで感染する可能性があります。


Q9 性感染症について相談できる機関はありますか。
A9

 性感染症については、全国の保健所で相談することができます。「性感染症について相談したい」旨を伝えれば担当者につながります。

 保健所の連絡先:http://www.phcd.jp/HClist/HClist-top.html(全国保健所長会HP)

 また、厚生労働省では性感染症も含めた感染症全般について相談をお受けしています。
 電話番号:03(5299)3306
 受付時間:午前9時〜午後5時(土日祝日及び年末年始を除く)

  • ※2013年4月1日から電話番号が変更することがあります。
  • ※行政に関するご意見・ご質問は受け付けておりません。

(このQ&Aは、厚生労働科学研究の「性感染症に関する特定感染症予防指針に基づく対策の推進に関する研究班(代表研究者:荒川創一教授)」の協力により作成されました。)







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