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日経の経営記事2001年   No1(5・01〜5・15)


  生活シーン別に売り場を構成  経済新聞 01.4.26 31面

 生活雑貨専門店「無印良品」を展開する良品計画は生活の各場面に合わせた売り場作りに乗り出す。二十七日に開業する二子玉川店(東京・世田谷)で「スリーピング」など六つのシーン別に売り場を編成、消費者にとって選びやすい売り場作りに取り組む。六つの場面はスリーピング(ベッド、布団、パジャマ)、アット・ホーム(ソファ、カーテン、部屋着)、キッズ&スクール(子供服、がん具、子供家具)、ハウスキーピング(ランドリー、家電)、フード&キッチン(食品、台所用具)、ソーホー(デスク、文具)。従来は、衣服、生活雑貨、食品という品目ごとに売り場をくくってきた。同店での反応を見て、他店の売り場構成を見直すことも検討する。

  コメントー生活シーン別に売り場構成
 コーディネートの視点でみて充実している売り場はまだまだ少ない。なぜもっと早く変化が進まないのか、不思議に思う。なぜそうしないのか。詳しい事情は知らない上で推測するが、恐らくそうしても売り上げが増えないからだろう。もしそうやって売上がどんどん拡大するのなら、誰もがやっているはずだ。簡単にコーディネートと言っても、顧客からの売上という形で十分に支持されるには、相当のノウハウが必要なことは確かだ。それだけの陳列技術が日本の小売業者にあるかと言えば、かなり疑問だ。
 今回の記事の場合でも、従来の売り場のくくりに慣れ切った消費者にとって、新たな売り場構成に、かえって戸惑うかも知れない。記事には「消費者にとって選びやすい売り場作りに取り組む」とある。しかし売り場構成が従来のものから大きく変われば、少なくとも当初は選びにくく感じる可能性が高いだろう。それに、そもそも日用品を買うのに、生活シーンやコーディネートにこだわる消費者の割合はどれほどのものなのだろうか?それを意識してのことかどうかは知らないが、「無印良品」の取り組みは、まずは二子玉川店での消費者の反応をみるということになっている。まだ実験段階に過ぎない。
 いくら提供者側がよかれと思っても、必ずしもそのまますんなりと市場に受け入れられるわけではない。消費者側の購買行動に強い「慣性」が働いている場合、それを変えていくべく、啓蒙をしていくことが必要になるのだ。 新しい売り方・買い方を提案する場合は、顧客はかつての売り方・買い方に対する「慣性」を持っているということを忘れてはならない。顧客が間違っていると、いくら主張したところで、どうにもならない。

  再編より技術革新  日経01・04・27 13面

 中外製薬の長山治社長は「M&A(企業の合併・買収)に成功すれば勝ち残れるというのは大学生レベルの議論だ」と語る。
製薬業界では欧米勢が合併を重ねて巨大化しているが、同社は「小さくとも得意領域を絞り込みそこで必要な規模を確保していく」再編より重要なのは技術革新という。「全く新しい技術を他社開発すれば、当社の設備が持つ価値が一夜でゼロになりかねない」。よって、開発力を磨くだけでなく「臨機応変に他社の新技術を取り入れた設備や体制に切り替えるため、資金を常に用意しなければ」と財務体質の重要性を強調していた。

  コメント − チャンスを生かせないというリスク

 M&Aで規模の拡大を追求する企業もあれば、得意領域を絞り込んでいく企業もある。戦略の選択肢はさまざまだが、「価値が一夜でゼロになりかねない」という危機意識は常に必要だ。今回の記事で、中外製薬の永山社長は財務体質の重要性を強調している。その理由のキーワードは「臨機応変」だ。いざっていう時の自社にとって直接的に脅威となることばかりがリスクなのではない。せっかくの機会をモノにすることができないというリスクもある。不測の事態はその両面で考えておくのがよい。


  有料老人ホーム 入居金抑制型を拡充  経済新聞 01.5.1 19面

 介護大手が入居時の金額負担を大幅に抑えた有料老人ホームを相次いで拡充する。ベネッセコーポレーションの子会社、ベネッセケア(東京・渋谷)は入居金が無料の施設を2001年度中に2倍以上に増やす。ライフコミューン(東京・港)は一律500万円に設定した施設を大幅に増やす。入居金は通常2、3千万円程度かかるが、入居時の負担を軽減して施設の稼働率を引き上げるのが狙い。ベネッセケアは4月中旬に大阪府豊中市と岡山市でそれぞれ1カ所開設し、全国12カ所とした。今年度中に合計15カ所を追加、27カ所に増やす。定員数は昨年度末に比べ約2.5倍の1400人になる。月額利用料は家賃や食費、介護サービスの自己負担分などすべて含めて30万円台でやや高めだが、入居金は無料。ライフコミューンは入居金を一律500万円に設定。入居率は約75%と高水準になっている。17カ所を24カ所に増やす。定員数では前年度比約6割増の1100人となる。
 サニーライフ東京(千葉県君津市)の有料老人ホームの入居金は200万−750万円。現在は都内と千葉県に1カ所ずつで展開しており、拡充に向け首都圏を中心に物件の選定を進めている。大企業を中心に経費削減のため福利厚生施設を削減する動きが相次いでいる。施設を入手・改装すれば新築に比べ低コストで有料老人ホームを開設できる。

  コメント − 供給者の論理から利用者の論理への進化

  入会金・入学金・入居金として、利用の早い段階で多額な費用を徴収する仕組みは、初期費用を回収する上でうまいやり方だ。しかしそれは供給者側の論理であり、運営費以外に募集費や建設費を別途負担するというのは、利用者にとって必ずしも納得のいくものとは言い難い。しかもそれが著しい高額となれば、支払う余裕があるのは高額所得者層に限られる。特注品ならともかく、工業製品なら、製品単価にプラスして設備費を別建てで請求することはない。設備費は限界利益の範囲内でカバーするのが普通だ。となれば、ベネッセケアのように、月額利用料は割高でも、入居金を無料にした方が、まだ納得はいくし、費用負担もしやすい。加えて、多額な入居金のために入居率(稼働率)が低いとなれば、経営的にも合理性を欠くことになる。既存施設の改装による開設など、合理性を追求すれば、利用者にとって納得のいく料金体系の設定は可能となるし、市場の成熟化はその方向への進化を促進していくのだとも言えるだろう。
 供給者側の論理による料金設定は、顧客側からみれば合理性を欠き、利用のハードルが高過ぎてしまうかも知れない。自社の設定する商品価格・サービス料金の設定基準を顧客の視点から見直してみよう。

  ネット利用の社員研修 進行状況、常に管理  経済新聞 01.5.2 12面

 日本電信電話(NTT)グループの地域通信会社のNTT東日本は今年度から、インターネットを利用した新しい社員研修システムを導入した。「メンター」と呼ばれる社員が、受講者一人一人の学習状況をリアルタイムで管理するシステムで国内では珍しいという。本社や支店など77拠点に学習スペースを設置しており、年間2千人以上の社員対象に実施する。新システム「MINE」はネット利用の教育・研修システムであるeラーニングの一種。昨年夏からの試験期間を経て、今年4月に本格導入した。営業、設備、総務系などの若手、中堅社員を対象に、最長2日間の研修を実施。1クラスの受講者は約30人。本社の研修センターと支店などに分散する受講者をネットで結んで実施する。新システムでは1クラス当たり2人のメンターがパソコンを通じて受講者の進ちょく度合いを管理し、質問にも即座にこたえられるようにした。年間80クラスの開設を予定している。同社にはeラーニングを使った従来型の研修制度がある。ただ受講者側には途中で行き詰まった場合に自分で解決できずに、挫折してしまうケースが少なくなかったという。

  コメント − 尻叩き役がいないと挫折する
 企業組織も人の集まりである以上、誰かが尻を叩く、あるいは音頭をとる必要がある。経営計画を立てても思うように進捗しないという悩みはよく聞かされるが、その大きな原因の一つが、尻叩き役が不在であったり機能していなかったりすることだ。経営計画を立て、それを各部門・部署に落とし込めば無事進捗するものと考えがちだが、現実はなかなかそうは行かない。
 今回の記事と同様、進捗させる尻叩き役が必要だ。ある中小企業では、「経営企画室長」がその役割を担う。企業の全責任を負うのは社長だから、経営計画の進捗についても社長が尻を叩けばよいと考えるかも知れない。しかし社長はむしろ社外との接触を増し、今後の戦略方針を打ち出すことに重きを置くべきだ。社内の計画推進に多くのエネルギーを割いているようでは困る。だから、社長の右腕クラスの経営企画室長が必要だ。決まった事を決まった通りに、自己を管理しながらやる。簡単なようで難しいことだ。組織にも人間にも、尻叩き役が必要なのだ。
 物事の進捗がうまくいかないとすれば、その理由は尻叩き役がいないからかも知れない。決めさえすれば物事はスムーズに行くとは考えない方がよい。


                パソコン販売 初心者狙え     日本経済新聞2001.5.8 31面
 総合スーパーや百貨店がパソコン販売に再び力を入れている。ブームは一段落し市場の伸びは鈍ったものの、主婦や中高年などの間にはまだまだユーザー予備軍がいる。こうした初心者を取り込むには家電専門店などよりも、生活に身近なスーパー、百貨店に分があるとの読みがあり、周辺機器の品ぞろえやサポート体制を充実させるなど工夫を凝らす。
 イトーヨーカ堂は昨年後半以降の新店を中心にパソコン売り場を開設、現在二十七店で展開している。今年度中には既存店改装に合わせて、さらに取扱店舗を三十店増やす計画だ。店あたりの売り場面積は二百平方メートル前後。ソニーの「VAIO」など最新機種を主体に十五品目前後をそろえ、プリンターやデジタルカメラなど周辺機器類も陳列している。同社は九六年にいったんパソコン販売を縮小したが、主要顧客の主婦層などの需要にこたえる狙いで“再挑戦”に踏み切った。すでに十五店に設けているパソコン教室は「駅前などの教室は専門的で気後れがする」という主婦、中高年の受講が目立ち、今後は基本的にパソコン売り場に併設していく。料金は一回二時間月四回のコースで一万二千円。子供が自由にインターネットで遊べる「キッズコーナー」も増やす。
 ジャスコも九九年度末に十六店だったパソコン売り場の設置店を現在六十八店まで増やしており、今年度中には百店以上まで拡大する。四店に導入した売り場面積六百六十平方メートル規模の「デジタルワールド」は、初心者向け機種やデジカメ、ゲームソフトなどを一堂に集めた。パソコンのディスプレーには、ビデオカメラで写した店内の映像などを流し、「デジタルライフ」の一例を提案している。
 西武百貨店は昨年末、池袋西武(東京・豊島)にNTTエムイー(NTT―ME、東京・千代田)が運営するパソコンショップ「インターネットスタジオ」を開設した。需要拡大が予想される中高年層を取り込む狙いで、丁寧な商品説明や自宅に出向いてのインターネット接続など充実したサポート体制が売り物。これまでに主婦を中心に数十台を販売した。外商の得意客にパソコン購入を促しているほか、カード会員に対しても販促キャンペーンを検討中だ。

  コメント − 競争のルールは一つではない

 今回の記事によれば、スーパーや百貨店は、当然のことながら、「生活に身近」等、家電量販店とは異なる競争ルールで戦おうとしている。主婦層という常連顧客資産を持つ強みも活かしている。また、パソコンという商品が、専門店で扱われる製品(プロダクト)から、スーパーなどで普通に売られるありふれた日用品(コモディティ)へと急速に位置付けを変えているという見方もできる。既にコモディティ化しているテレビや冷蔵庫、エアコンなどの家電製品は、スーパーで普通に売っている。家電量販店がパソコン販売で業績を伸ばしてきたのは、むしろ今までスーパーがパソコンをまともに扱っていなかったからではないだろうか。コモディティの販売ならスーパーの得意分野のはずだ。価格競争に勝ち残るために規模を追求し、再編が進んでいく家電量販店業界。一方、別次元の競争ルールでパソコン市場への食い込みを狙うスーパー、百貨店。企業の戦略は多元的に展開される。それが面白いと思う。
 業界全体が一つの方向に進んでいくように見えても、別の道がないわけではない。競争のルールは一つではないし、戦略の選択肢も多様だ。唯一の正解は存在しないと考えよう。

  社員の主体性、富を生むみなもと        日本経済新聞 2001.5.9 1面

 【コミットメント】達成すべき目標。…未達成の場合は具体的な形で責任をとる。【ターゲット】コミットする目標よりさらに高い目標。
 「日産用語辞典」 日産自動車にはカルロス・ゴーン社長の指示で作られた「用語辞典」がある。会社再建に欠かせない約40語の定義が社内の情報ネットに流れる。新型車が不発でも技術部門、営業部門が責任を押しつけ合い、だれも責任をとらない。そんな体質の打破のためゴーン氏が重視するのがコミットメントとターゲットだ。
 日産の従業員は目標達成度で報酬や処遇が決まるが、ゴーン氏の狙いは従業員を追いつめることではない。能力の発掘だ。「商品企画のプロになる」「新しい宣伝に挑戦する」。目標を定め自らの責任と正面から向き合うことで、従業員には能動的に仕事にかかわる意識が芽生えてきた。
 ヤマトは我なり――。ヤマト運輸の社訓には、顧客と直接、接するドライバー一人ひとりが会社を代表するとの哲学が埋め込まれている。各従業員がサービスを通じて日々自分なりの「ヤマト運輸」を探り、実感する。その手ごたえが個人の能力を呼び覚ます。「絵画や彫刻を運ぶノウハウを生かしてお仏壇の運送や、企業の精密機械の入れ替えを始めました」(大阪の美術品営業所)。社内報には独自に編み出した事業を誇らしげに語る全国の拠点からの便りが並ぶ。スキー宅急便や時間帯指定など、成長を支える高付加価値サービスは、多くが現場の提案で生まれた。3万5千人のドライバーはすべて社員。営業費用に占める人件費比率は約55%で、30%程度の日本通運などに比べ突出する。だが、前期の売上高営業利益率(推定)は日通の1.8%に対しヤマトは5.6%と収益力は群を抜く。

  コメント − 組織における人間観の変化

 企業組織のあり方は、社員の主体性を生かし、最大限の能力発揮を促すものへと進化していくだろう。もしヤマト運輸が、上意下達的な組織運営をしていたら、これほどの高収益は実現できなかったはずだ。そもそも組織が形成されたのは、指示・命令の効率的な伝達や組織目的の達成へ向けての役割を分担するためであった。組織を構成する「部分」としての人間観に基づいている。しかし「ヤマトは我なり」という言葉は、人間は「部分」ではなく、組織「全体」の縮小版だとでもいうべき考え方になる。指示命令の受身的な実行者から能動的で主体的な行動者へ、また、部分ではなく全体を体現する存在(組織理念の具現者)へ、といった人間観が、企業組織のあり方をも変革していくのだろう。
 あなたの企業ではどのような人間観に基づいて社員を処遇しているだろうか。そのやり方で、能動的・主体的な行動のできる社員や、企業理念を具現化している社員を抱えた企業に勝てるだろうか。

  継続は悪、果敢に見直し  日本経済新聞 2001.5.11 1面
 
 スズキの鈴木修会長は工場に行くと、プロ野球の打撃コーチさながら身ぶりを交えて従業員を指導する。「部品の棚をこっちに置けば、こんなに腰をひねらなくても部品が取れる」。さらに「窓を付ければこの蛍光灯は不要」など、コスト削減を陣頭指揮する。<付加価値最大に>最近は工場の食堂も点検する。「人員を合理化したと報告が来るが、作業を協力会社に移しただけかもしれない。食堂は協力会社の従業員も利用するから、ここに聞けば本当にコストを減らせたのかわかる」
 対照的なのがコネクター専業メーカー、ヒロセ電機の酒井秀樹会長だ。「工場視察は行き帰りの時間が無駄。部屋で事業戦略を練った方がよほど有益」と現場主義を切り捨てる。毎日午後1時過ぎから3−4時まで、製品の売り上げ、利益率の推移などに目を通し、数字を追いながら有望な製品分野やコネクター以外の新事業を探る。
 両極端に見える二人だが、共通点が二つある。まず、いつも考えているのは「経営資源を最も効率的に使い、最大の付加価値を生むこと」。企業の目的を語る二人の表現はまったく同じだ。ヒロセ電機の連結売上高営業利益率が2000年3月期に33.4%と高く、自動車業界でスズキの業績が順調なのは、こうした経営哲学が源にある。
 酒井会長の理念は「企業を付加価値を生み出すものだけで構成する」。競争力ある新製品開発に人材を重点配置する姿勢は群を抜く。生産の八割は外部委託し、600人の社員のうち技術陣の比率は40%強に達する。営業社員には全員にアシスタントをつけて事務作業を任せる。
 <すたれる仕組み>鈴木会長の発想も単なるコスト減らしではなく、戦略的だ。工場で一番目を光らせるのは従業員の歩数。「歩くこと自体はなんら価値を生まない」。膨大な歩く時間を別の仕事に振り向け、もっと利益を生もうと模索する。2002年には湖西工場(静岡県湖西市)の組み立てラインを低公害車生産に対応できるよう刷新する。投資額は150億円。スズキとしては大型投資だ。
 そして二つ目は、二人の根っこにある「継続は悪」という信念だ。付加価値を生む仕組みをいったん作ってもすたれるのは早い。同じことを漫然と続けては衰退する。企業が常に価値を創出する組織であるように、絶えず改革を続ける。

  コメント − 目的は何ですか

 今回の記事の例で言えば、スズキの鈴木会長のように現場を点検して回ることも、ヒロセ電機の酒井会長のように数値資料に詳細に目を通すことも、「最大の付加価値を生む」という「目的」を果たすための手段に過ぎない。両会長共、「最大の付加価値を生む」ために、現在のやり方よりも良い方法があると判断すれば、ためらうことなく経営スタイルを変えることだろう。
 なぜあなたはその手段を選ぶのだろうか。その「目的」は明確だろうか。「目的」を常に自問自答し、「目的」志向の行動を習慣化しよう。


 フィットネスクラブ各社 有料プログラム拡充  日経新聞 01.5.14 19面

  フィットネスクラブ各社が月会費とは別に、一回500〜2000円程度の有料プログラムを相次ぎ導入している。ダイエットや生活習慣病予防などのテーマに沿ってよりきめ細かく指導する。各種ダンスや空手など特殊な技能を習得したり、少人数でより専門的なトレーニングを施すメニューも目立つ。多様化する個人会員のニーズを満たし、付帯収入を増やす狙い。
 日本体育施設運営(東京・千代田、NAS)では、昨春に全体の約一割だった有料プログラムが現在は約三割を占める。 ディックルネサンス(東京・墨田)は一月から主要店の一つ、ルネサンス住道(大阪府大東市)で実験的に有料プログラムを提供、本格導入へ向けて会員の反応を調べ始めた。フィットネスクラブ各社は利用時間を限定する分、月会費を安く抑えた「限定会員」を多く設定し、会員数を増やしてきた。しかし設備に限りがあるなかで「時間の切り売りも限界に達している」(セントラルスポーツ)といい、この先、会員数や収益を伸ばしにくい事情があった。また、企業が福利厚生コストを圧縮するなかで、法人会員数は低迷。特色のあるメニューづくりで個人会員をつなぎ止める必要に迫られるなど、フィットネスクラブを取り巻く経営環境の変化も有料プログラム拡充の背景にありそうだ。

  コメント − 軸足を移動させると発展性が広がる

 収益拡大のためにサービスを拡充していくという手法はしばしば使われる。

 記事は、フィットネスクラブが有料プログラムを拡充しているというものだ。この有料プログラムは、会員から会費(本質は施設使用料)以外の追加収益を獲得する手段として位置付けることができる。その場合、収益の柱はあくまでも施設使用料であり、軸足はそこにある。既存事業の継続を前提としたプラスアルファ売上追求型の発想だ。会員に売れるものがあれば、フィットネスに無関係なものでもよいかも知れない。
 一方、自社が会員に提供するフィットネスという価値を最大化するためには、自分自身のフィットネスを実現することだ。それは、「いかにして施設からの収益を拡大するか」ではなく、「いかなる企業になるべきか」という本質的な命題に取り組むことを意味する。将来的には施設の所有にすらこだわらなくてよくなるかも知れない。

 過去からの延長にとらわれず、むしろ現状を否定し、生まれ変わることをビジョンとして考えている。ビジネスとしての「発展性」も、後者の方がはるかに大きく広がるだろう。同じことをやるにしても、軸足を移して事業の再定義を行なうことまで念頭に入れれば、ビジネスの発展性は拡大する。

     実力主義で戦力確保      日経新聞 2001.5.15 1面
   
 ライバル企業の仕事を請け負っても構わない――。日本IBMは来年にも就業規則にある兼職禁止規定を見直し、二万人強の全社員に「二足のわらじ」を認める。社員が他社の仕事に就くのを禁じた兼職禁止規定は日本企業の間で一般的。同社が原則自由に改めると先駆的な事例となる。
 <複数企業で仕事>情報技術(IT)産業を中心に、自分の腕を頼りに独り立ちして複数企業の仕事を受け高収入を得る技術者も多い。「優秀な人材ほど活躍の舞台を外に求め、当社に縛りつけようとすると辞めてしまう。兼職を認めて自由度を広げた方が流出を防げる」(人事部門)と発想を転換する。

    コメント − 自己実現

 経営環境が厳しい中、年収が減額されたり、リストラや倒産の不安を抱えていたりすれば、何らかの生活防衛策を講じなければならない。一つの会社に依存した人生から、自立した人生へとシフトすることも考える必要があろう。今回の記事によれば、日本IBMは兼職禁止規定を見直すとのことだ。「二足のわらじ」も認めるという。会社に既に勤務時間を拘束されているとしたら、それ以外の時間については自由に使わせるのが筋というものだろう。

 日本企業では、他社の仕事に就くのを禁じているのが一般的だ。ならば、自分で事業を起こすのならよい、という理屈になる。世の中、ベンチャー起業がもてはやされているが、実際に会社を飛び出して起業しているのはほんの一握りの人たちに過ぎない。成功者はさらに少ない。収入のことを考え、ましてや養うべき家族を抱えていれば、それは大変勇気のいることだ。

 経営環境が厳しくなる中、社内でしか通用しない人材ばかりで構成された企業は絶対に生き残れない。それでも、企業は企業としていろいろと手を打っていくだろう。問題は個人だ。「社内でしか通用しない」かどうか、自己の存在価値を確かめてみてはどうだろうか。