日経の経営記事 2001年 NO4(6・16〜6・30)
走行距離課金方式の自動車販売 日経産業 2001.6.18 21面
新技術開発のヴイ・ファクトリー(東京、村上誠社長、03・3981・1571)はホンダ系販社の協力で、走行距離に応じて課金する新しい自動車販売を始める。十八日から申し込みを受け付け、来春までに千二百台の販売を見込む。新しい販売手法「Revo―CAR」は独自仕様のナビゲーションシステムを搭載し、新車価格から三年後の残価を差し引いた金額を月間走行距離に応じて課金する。使用頻度により月間走行距離五百キロ、七百キロ、千キロの三種類から選んで申し込む。車種はホンダ系販社が扱う「NSX」「新型ステップワゴン」「オデッセイ」「ストリーム」「レジェンド」「アコードワゴン」「シビック」で、グレードと色は限定される。九月にもホンダ系販社を通じ、カーナビシステムを設置して納車する。専用カーナビ装置には広告を配信、広告試聴・アンケート回答に協力すれば、一定額を還元するという。車両価格二百五十四万五千円のオデッセイの場合、諸費用含めた新車価格は約三百万円。これを月間走行距離五百キロのプランで購入(申込金なし、ボーナス時十二万円の支払い)すると、毎月の支払額は三万七千円強。アンケート回答に協力すれば、さらに割安になる。傷などを付けなければ、三年後の引き取り時に査定により最高十万円が還元されるという。ローンやリースより割安で使い勝手が良い点を売り込み、二〇〇三年三月期には三万台の販売を目指す。
コメントー リスクフリーのビジネスモデルを考える
どうすれば顧客にとってリスクフリーになるかという仕組みを考えることは、新たなビジネスモデル構築にあたっては欠かすことのできない観点だ。考える切り口として、顧客のリスクを最小限にするものを考えみる。
郊外・小規模は苦戦 日経産業 2001.06.19 15面
千葉、埼玉の鉄道支線に位置するような郊外の50戸程度の中小マンションで、モデルルームの来場者数が減ってきている」と三井不動産販売の清水隆雄社長は心配する。「昨年までは一部屋当たり15組くらい来場者がいたが今は10組程」という。「マンション価格の値下がりが続き、住宅ローン減税の期限も延長。客はじっくり選んでいる」と分析する。
景気の雲行きが一段と怪しくなっているだけに、「共働き夫婦向けなどを中心に都心の物件は当面、好調が続く」と都心型マンションに販売の下支え役を期待していた。
コメントー 特定ターゲットセグメントを絞る
ターゲット顧客像が明確にならなければ、どうやってその商品・サービスを売ればよいのかもわからない。何が欲しいのかがわからなければ、何をしてよいのかもわからない。
人材バンク登録 簡単な経歴だけ 日経新聞 01.6.20 15面
インテリジェンスの子会社で、若年層専門の人材紹介を手掛けるインサイトパートナーズ(東京、新居佳英社長、03・5321・5801)は簡単な経歴だけ登録しておけば、企業からの求人情報が得られる転職支援サービスを始める。従来の人材登録バンク型と比べると、転職希望者は登録前に必要だった職務経歴書の作成や面談などの手間が省ける。新サービスは同社のサイトttp://www.incite.co.jp/hunting/)から登録する。転職希望者が経歴、希望職種・業種などの情報を入力すれば、その希望条件に合う求人情報が得られる。希望者は気に入った案件があれば、インサイトの担当者と面談をして、職務経歴書を作成し企業に応募する。従来の人材登録バンクは登録時点に面談や職務経歴書作成が必要で、強い転職希望がある人しか登録しない傾向が強かった。最初の手続きを簡単にすることで、潜在的な転職希望者を囲い込む狙い。2千人程度の登録を目指す。
コメントー 情報の簡単さをどこまでか
情報と言えば詳細であればあるほど良いようにも思うが、現実問題として、最初から必要だとは限らないということもある。例えば月次の業績を検討するにあたっては、締め日から最短で大体のことが把握できれば良い。すなわち「速報値」という考え方だ。今回も登録者を増やし、求人情報の送信先を増やすことが重要だろう。
無料ネット接続 モスが試験実施 日経 2001.06.22 35面
モスフードサービスは21日、店内に無線構内情報通信網(LAN)を設置し、来店客が無料で高速インターネットに接続できるサービスを7月3日から試験実施すると発表した。神田北口店(東京・千代田)など首都圏の5店で行う。200人のモニターに無線LANのPCカードを無償で提供、カードを接続したパソコンを店に持ち込み、インターネットを楽しんでもらう仕組み。また5店のうち、都内の渋谷道玄坂店と門前仲町店では店内にパソコンを3台配置し、だれでもインターネットが楽しめるようにする。
コメントー 非日常と日常で・・・・・
娯楽産業のように、自宅では絶対にできない経験を味あわせるという極がある一方、自宅にいる時のような快適さを提供するという他の極も存在する。非日常と日常の対比だ。自社の商品・サービスが、「非日常」「日常」のどちらの価値を提供するものなのかは、キチンと見極めることが必要だ。
機械各社 モジュール生産導入 日本経済新聞 2001.6.25 13面
機械業界で、機能ごとのモジュール(複合)部品をあらかじめ組み上げておき、需要に応じて最終製品に組み立てる生産方式が広がってきた。三菱重工業が射出成型機で、九州松下電器が電子部品実装機で導入する。一カ所で一つ一つ部品を組み上げていく従来方式と比べ、組み立て期間が短いため需要変動に対応しやすく、生産コストも低減できる。三菱重工は産業機器事業部の工場(名古屋市)に、プラスチックを金型に注入する射出部や金型を押さえつける押し出し部など3つのモジュールの専用組み立てラインを十月までに設置する。生産コストを30%削減するのが目標だ。富士機械製造や九州松下電器も電子部品実装機の生産ラインをモジュール生産型に組み替える。富士機械製造では従来一カ月半かかっていた組み立て期間を一カ月以内に短縮。部品の在庫管理も徹底し、生産コストを20%削減する。九州松下の場合、1万5千点の部品からなる製品を200−300点にまとめ、生産管理を徹底する。新潟鉄工所は工作機械用の工具交換装置や加工対象物となる金属棒を据え付ける部材などの共通化を進め、モジュールごとの生産を始めた。受注してから出荷するまでの期間を従来比半分以下の1.5カ月に縮める。
中堅工作機械メーカーの三井精機工業(東京・大田)も九月、生産を埼玉県川島町への工場集約を機に部品のモジュール化を進める。製造時間を従来比3割削減する。モジュール生産は自動車業界を中心に広がっている。射出成型機や工作機械など設備機械分野は比較的生産量が少ないため、導入例が少なかった。しかし、自動車やパソコン・携帯電話などの情報技術(IT)業界向けを中心に需要の変動が急激になっているため、モジュール方式に対する評価が高まっている。
コメントー何をすべきか、いつそれをなすべきか
事前にできる準備は済ませておく。そうすれば素早く対応できるというわけだ。つまり、「何をなすべきか」「どうやってなすべきか」を考えるだけでなく、「いつそれをなすべきか」という点、すなわちタイミングも考えなければならないということだ。モジュール生産方式は、モジュールの組み立てと最終製品の組み立てとを分け、それぞれ「いつそれをなすべきか」が問われた成果だとも言える。
転職や退職後の進路助言 専門家養成へ資格や講座 日本経済新聞 2001.6.26 12面
学生や企業の従業員の進路設計を支援するキャリアカウンセラーの養成に向けた動きが広がっている。日本能率協会グループの人材開発協会(東京・港)がカウンセラー養成講座の受講者向けに資格制度を設けるほか、日本経営者団体連盟(日経連)も今秋、独自に養成講座と認定制度を立ち上げる。転職や早期退職制度の増加で、社員のキャリア設計への関心が高まっていることが背景にある。人材開発協会は8月、受講者の出席率と論文審査をもとに「キャリアカウンセラー」との資格を与える。来年は受講者を年間50人から100人に倍増させる。日経連は10月に新たに養成講座を開始、3カ月間の通信教育と5日間の集合研修を用意する。講座の最後にテストを実施、合格者を「キャリア・アドバイザー」として認定する。年間200人の認定を目指す。リクルートは米国からカリキュラムを取り入れ、5月に公開講座を始めた。受講後の試験合格者に米国の認定機関が資格を付与する。
コメントー キャリア設計は退職、転職?
社員本人の意思尊重と自発的取り組みを促すことの重要性が高まっていることに変わりはない。個人の能力を最大限に発揮できる社会になっていかなければ、日本の国際競争力も低下の一途をたどるのではないだろうか。そう考えると、キャリアカウンセラーの養成も良いが、転職防止や早期退職のようなシーンのみがその活躍の場ではないはずだ。真に社員の能力発揮を促す仕組みや風土づくりの担い手としての役割をも期待すべきだろう。
もう一つのゴーン革命 英語力もリバイバル 日経産業 01.6.27 30面
(前略)業績悪化から仏ルノー傘下に入って二年あまり。日産の人事関係者は驚いている。これまでずっと470−480で推移してきた英語能力評価テスト(TOEIC)の平均点が昨秋に初めて500点台を突破して524まで急上昇したからだ。(中略)
<追いつめられて>「人間、追いつめられればできるもんですね」。日産グループで各社の研修を受け持つ日産人材開発センター(東京・中央)の篠田潔孝マネジャーは苦笑する。取締役や部長クラスなどに外国人が並び、英語でコミュニケーションできなければ日常の業務にも支障をきたす。むろんそれだけではない。昨春に全面的に見直した英語研修プログラムが点数増につながった。それまで日産の英語研修は希望者を対象に5カ月で40時間の英会話授業を受けさせるというもの。「社員の自主性に任せて出席率も研修後の上達度も特に点検してこなかった」(篠田氏)。TOEICの点数も全国平均の450点(団体受験)をわずかに上回る程度、海外でなんとか一人旅ができる水準(470点前後)にとどまっていた。
ところが2000年6月に仏ルノー出身のカルロス・ゴーン氏が社長に就任。「グローバルビジネスでは英語が基本」と社内の公用語を英語にする方針を打ち出した。部長級だけで50人前後の外国人が本社に上陸するや職場環境も一変。英語は仕事に欠かせないツールとなった。平均470点では「海外との電話の受け答え」(六百点レベル)もままならない。
<罰金を科す>短期間でいかに社員の英語力を高め、業務の効率を高めるか。人事部はそれまでの失敗経験も踏まえ、英語研修に新たに二重三重の仕掛けを施した。最大の特徴は研修への出席率や研修後の上達度が一定の水準に届かなかった場合、一人当たり5万−20万円の罰金を科す仕組みを取り入れた点だ。(中略)受講生も本人の希望でなく、直属の上司が選ぶ方式に切り替えた。研修を勤務時間後の自習でなく、あくまで業務の一環と位置づけた。受講者を指名したのが当の上司で、しかも仕事である以上、たとえ職場が忙しくても部下が研修に出るのを引き留めることはできない。部下の出席率が低ければ、上司は自身の管理能力を問われかねない。「2000年度は受講生全員が出席率70%以上を達成した」(研修担当の篠田マネジャー)。研修内容もかつての5カ月で40時間といった長いものでなく、平日毎日7時間や金、土曜日で各7時間など最短で3週間、最長でも10週間で終わる100時間の集中講座に改めた。
<語学研修費2倍に>さらに、研修を委託する英会話学校の選定にも厳しい競争原理を持ち込んだ。昨春の段階でまずは7つの語学学校に条件を提示させ、そのうち4校に均等配分で受講生を振り分けた。(中略)
この結果、TOEICの平均点は、受講生に限れば研修前の580点から647点へと67点も上昇した。受講生の6割は一律の目標である80点以上の得点増もクリアした。海外駐在レベルとされる730点にはまだ遠いが、650点前後なら英語での日常生活に支障はない。日産の2000年度の語学研修費は前年度の2倍、3億円に達したが、TOEICの点数を見る限り、当初の目標は達成したといえるだろう。冷静に見れば、日産もそれほど難しいことをしているわけではない。一般の企業も今すぐ参考にできる点は少なくないはずだ。(中略)商社など海外で事業を展開する企業約350社で組織する日外協がこのほど実施したアンケート調査の結果が出た。会員企業に聞いた新入社員のTOEIC平均点は472なのに対し、社員全体の平均は478。
各社とも長年、英語研修に取り組みながら、成果が上がっていない実態が浮き彫りになった。しかも社員レベルで77%が「仕事上、英語は必要」と答えながら、自主的に英語を学んでいるのは51%にとどまった。(中略)同社(注:日本IBM)幕張研修センターの吉田文哉氏は「英語研修は動機づけがすべて。大歳卓麻社長からも『まずは英語でカルチャーショックを与えるのが一番だ』と言い付かっている」と話す。英語ができれば世界が広がる、世界を相手に商売できるということを入社直後から徹底的にたたき込む。こうした意識改革も有効な英語研修の一つといえそうだ。
コメントー 目に見える成果が現われにくいと言われる仕事に取り組む
この手の仕事は目に見える成果は出ないものだ・・。そう思い込んでしまった途端、進歩は止まってしまう。まだまだ工夫や努力の余地はあるし、日産の語学研修のように、目に見える成果だって上げられるはずなのではないだろうか。目に見える成果が現われにくいと言われる仕事について、今一度見直しをしてみよう。
介護各社 ヘルパー講座 法人に的 日経産業新聞 2001.6.28 13面
介護各社が企業や大学向けのホームヘルパー養成講座を拡充している。個人の受講者が思うように伸びないことから、まとまった数が見込める法人に目を向け始めた。顧客企業にとっても介護事業参入や本業のサービス充実のためにヘルパー資格を従業員に取得させたいという需要がある。収益が落ちている養成事業のテコ入れ策として介護各社は期待を寄せている。「頭をぶつけないように気を付けて下さいね」。運転手が声をかけながら、半身不随という設定の利用者役を抱きかかえるようにタクシーに乗せる。
介護サービスのツクイ(横浜市、津久井督六社長)は5月、京急交通(神奈川県鎌倉市、斎藤広社長)などのタクシー運転手向けにこんな介助実習を開いた。京急グループ5社から請け負った介護講座の一環だ。この日はマンション5階の一室から運んで車に乗せ、目的地まで送る実習に取り組んだ。(中略)同社は8月、要介護者が通院する際に、ヘルパー資格を持った運転手が介助、移送する介護サービスなどに参入する。タクシー会社にとって数少ない成長が見込める分野だ。(中略)今年2月、介護最大手ニチイ学館の大橋広司常務・教育事業本部長は「ホテルや鉄道などサービス業のリストを作れ」と指示した。
養成講座の顧客になりそうな企業に片っ端から営業をかけるためだ。「6月になって契約に至る法人も出始め、それぞれの法人用に開講準備を進めている」(大橋常務)という。(中略)介護サービスを手掛ける日本医療事務センターは東京国際大学と契約し、昨年10月から学生にヘルパー養成講座を提供している。大学が窓口になり、受講者を募集、これまでに29人が受講した。「養成講座を受けたがっている学生は多く、今後は大学も有力な顧客」と同社の岡部文子取締役介護教育部長は期待する。(中略)介護各社には将来の介護サービス利用者につなげたいという思惑もある。自分が受講した介護サービス会社に家族の介護を依頼するという読みだ。また、社員の家族介護のために資格取得を支援する企業も出始めている。ただ、法人向けは養成事業の収益は高めるが、もともと各社が個人向けに講座を始めたもう一つの狙いは達成できない。介護業界のヘルパー不足は深刻で、個人受講者の中から自社ヘルパーを多く採用できると当初は期待していた。個人受講者を伸ばすための模索はまだ続きそうだ。(田中浩司)
コメントー個人向けと法人向け
プログラムがほぼ同じなら、法人向けにも個人向けにも売ることができる。しかしビジネスとしての特性が異なる点があり、単純に互換できるわけでもない。それがまた、ビジネスの悩ましい点でもあり、興味深い。