日経の経営記事 01/08/16〜01/08/31
ロードサービス 低料金で参入 日本経済新聞 01.8.20 17面
自動車の故障や事故の応急処置をするロードサービスの料金が下がっている。1997年の規制緩和を機に、社団法人日本自動車連盟(JAF)の独占市場が崩れ、民間企業の新規参入が続いているためだ。全国展開している新規参入組の料金は年会費2千円とJAFの半値が相場となってきた。一方で、会費は高いが自動車関連サービス以外に住宅の解錠などをメニューに盛り込む企業も出てきた。JAFは入会金2千円、年会費4千円でロードサービス基本料のほか、カギを車内に閉じこめた際の解錠やバッテリー始動などの作業料を無料で提供。非会員には実費を請求している。
一方、日本ロードサービス(JRS、東京・新宿)、翼システム(東京・江東)は、ほぼ同じサービス内容で、入会金無料、年会費2千円の料金設定をしている。JRSは二輪車もサービス対象だ。今年から年会費制サービスを始めた翼システムは「JAFの年会費4千円という額に抵抗がある人は多い」(尾上正志社長)としている。
ジャパンベストレスキューシステム(JBR、名古屋市)は20日から二輪車を対象とした年会費3650円と1万円の会員サービスに加え、年会費1万円の「生活救急車会員」を始める。ロードサービス対象を四輪車にも拡大し、住宅の解錠や水回り補修なども無料で行う。「価格競争に走らず、他社と競合しないサービス内容」(榊原暢宏社長)を提供する。
コメントー規制緩和が戦略を進化させる
小泉内閣ができて特殊法人の見直しが進んでいる。公益法人に対する批判もかなり耳にする。今回取り上げたJAFも批判の対象になっている。
ロードサービスのみならず、「住宅の解錠や水回り補修」にまでサービスを拡大する企業も現われているという。「生活救急車会員」のコンセプトは、自動車業界が後ろ盾となっているJAFの発想からは生まれにくいだろう。これも規制緩和の効果だ。
国鉄やNTTの民営化などでも、料金値下げやサービス向上などの効果が顕著に現われた。規制緩和などにより新規参入者が登場する業界は戦略が短期間でどんどん進化していく。ケーススタディとしてわかりやすいので、戦略を学ぶ人は、このような業界の動きには注目しておくとよいだろう。
特定の事業者が独占している事業には新規参入の余地がある。そのような事業をみつけたら、その事業者の収益性はどうかを考えてみよう。十分に儲かっているはずだとみたら、新規参入を検討しよう。
「釣りバカ」 平日昼間 ビール配布 日経流通 2001.8.21 7面
松竹は24日まで新宿ピカデリー(東京・新宿)で「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」の昼間の観客に冷えた缶ビールを配る。同映画は仕事をさぼって趣味にはまるサラリーマン「ハマちゃん」が主人公。松竹では猛暑の中で働くサラリーマンに涼しい映画館でさぼってリフレッシュしてもらうことで集客アップを狙う。缶ビールの配布は午後1時から5時までに入場した客全員が対象で、銘柄はキリンラガービールの135ミリリットル。当初は新宿ピカデリーのみで実施するが、客の反応をみたうえで、他の劇場にも拡大することを検討している。映画「釣りバカ」の主要顧客層はサラリーマン。今回のビールの無料配布はかつて映画をよく見た中高年層を映画館に呼び戻す取り組みの一環で、今後も同様の施策を講じていく。
コメントー あらゆる活動にコンセプトを徹底させる
顧客が求めるのはハードそのものではなく、ソフトの価値だと言われて久しい。ソフト価値の本質はコンセプトにある。自社・自店のあらゆる活動を統一コンセプトで徹底してみることを考えてみてはいかがだろう。コンセプトを訴求するなら、徹底して追求しよう。
社内音響にこだわる 日経産業 2001.8.22 25面
「自動車のエンジンの進化に比べ、スピーカーシステムはほとんど変化していない」。ビルの防振装置など多孔質金属製品を開発するスイサク(大阪府美原町)の櫂谷克己副社長は不満顔だ。営業の時は車で移動することも多いが、「高速道路では小さい音がほとんど聞こえない」と指摘する。そこで思い付いたのが、座席の下に設置する多孔質鋳鉄を防振材に使ったスピーカーシステムだ。音楽ホールの音がよく聞こえるのは、耳に届く音の大半が反射音になるように設計しているため。「どこにスピーカーを置いたら音が一番よく聞こえるか」をテーマに音響機材の専門書を片手に開発に取り組んだ。
「低音まではっきり聞こえる」と自動車部品メーカーから好感触を得ており、システムの改良に今も汗を流す。
コメントー絞り込むほど訴求力は高まる
あなたの企業の提供する製品・サービスは、どのような環境下で利用されているだろうか。あらゆる環境下で、同様の効能を発揮できるのではないとすれば、それぞれの環境ごとに仕様を変えてみることを考えてみよう。
ODA予算の一部 削減対象外扱いに 日本経済新聞 2001.8.23 5面
外務、財務両省は来年度予算の概算要求で、今年度に比べ10%減とすることが決まっている政府開発援助(ODA)予算の一部を、削減対象外である非ODA予算に移す方向で調整に入った。海外で活動する非政府組織(NGO)指導員の育成などを国内の構造改革に役立つとして非ODA扱いにする。急激な予算削減を避ける苦肉の策ともいえそうだ。
大使館に派遣する専門調査員の拡充なども予算移行の対象。国内の人材育成につながるとして、10%削減の対象外である「構造改革特別要求」で概算要求する方向。来年度予算の概算要求で、非ODA予算は情報技術(IT)や人材育成など「重点7分野」について構造改革特別要求が認められるため、最終的に前年度並みの水準で要求できる。
2001年度のODA予算のうち、外務省所管分は5565億円だった。外務省所管の非ODA予算は2068億円。ODAから非ODAに移行する事業の予算規模は数億円程度にとどまる見込みだ。
コメントーふさわしい勘定科目を設定する
人事の停滞に不祥事発覚続出と、最近、話題の多い外務省。ODA予算の削減は泣きっ面に蜂か。一部予算を非ODA予算にするという記事。姑息な手段との批判を受けそうだ。
管理会計の観点で損益データを評価し直してみよう。経営目的達成のためには、公平性や妥当性を確保すべく、勘定科目の設定を修正する必要があるかも知れない。
建物価値診断サービス 競争激化で料金下落 日経産業 01.8.24 14面
建物デューデリジェンスと呼ばれる建物の価値を診断するサービスの料金が下落している。建物評価は不動産の売買や証券化の判断材料になるため需要が伸びているが、需要増をにらんだ建設会社や設計事務所間の受託競争が激化している。9月に不動産投資信託(日本版REIT)の取引が始まるため需要はさらに増える見通しだが、受託競争も一段と強まりそうだ。建物デューデリジェンスを手掛けるのは主に大手建設会社や設計事務所など。そこに所属する一級建築士、一級施工管理技師などが、修繕・更新費、現時点で建物を建設した場合の再調達価格、地震・環境リスク診断など項目ごとに建物を調べて結果を100−150枚のリポートにまとめる。
9−10項目すべて診断するフルリポートの場合、現在の受託料金は平均150万−200万円。1年前は200万円前後が中心だったが、最近では150万円前後の受託が増えている。料金下落の主因は受託競争の激化。大手建設会社間の受託競争が激しくなる一方で、中堅の不動産関連企業が新規参入するケースも増えている。「まとまった棟数を一括受託する場合に割り引きが目立つ」(市場関係者)側面もある。
コメントー成長市場か成熟市場か、それが問題だ
成熟市場で大きなシェアを占める時、キャッシュフローを大きく稼ぐことができる。成長市場に投資してシェア確保の努力をするのは、その日が来るための準備だと考えよう。
シーマとベンツ乗り比べ 日本経済 2001.8.27 11面
日産自動車は25、26の両日、栃木県上三川町のテストコースで同社の高級乗用車「シーマ」を独メルセデスベンツなどライバル車と乗り比べる試乗会を開いた。26日にはカルロス・ゴーン社長も立ち会い「競合車が優れる点があれば聞かせていただきたい」と、参加者の声に耳を傾けた。試乗会では9千人から選ばれた100組が高速周回走行や曲がりくねった道の走行を体験。神奈川県から参加した40代の男性は「シーマは高速回転域で独特のパワーを感じた。購入の際の参考になった」と話した。
コメントー 「知」と「情」の両方に働きかける
今回のシーマ比較試乗の記事は、「知」と「情」の両方に働きかける好例だ。これにならい、自社商品の訴求の仕方がどちらか一方に偏っていないか、検討してみるとよいだろう。あなたの企業の商品は、「知」と「情」のどちらに訴えかけるものだろうか。どちらか一方に偏っていないだろうか。偏っているとしたら、どのように改善できるだろうか。考えてみよう。
FC動かす地域の雄 メガフランチャイジー台頭 日経流通 2001.8.28 1面
日本のフランチャイズチェーン(FC)ビジネスが変ぼうしている。有力チェーンの加盟店運営をビジネスにし、株式上場さえ果たす新しい企業形態「メガフランチャイジー」が全国各地で生まれ、FC加盟は「脱サラ」「家族的経営」というこれまでのイメージを覆しつつある。少ない資本で成長する可能性を持つFCビジネスは、起業機会の拡大と雇用の受け皿の両面で期待される。年々拡大し、総売上高20兆円をうかがう規模に達するFCビジネスの今を追った。(森摂、中村奈都子)
1948年、静岡県沼津市で創業した紳士服チェーンのゴトーがメガフランチャイジー路線を強化している。55店のうちすでに25店を中古書店「ブックオフ」やビデオレンタル「TSUTAYA」などの加盟店に転換。今年2月期、非衣料部門の売上高は全体の六五%に達した。
経営の舵(かじ)を大きく切ったのは94年。青山商事やアオキインターナショナルが先陣を切った紳士服の低価格競争で単価・販売点数とも従来の7割以下に落ち込み、採算割れ店舗が続出。「まさに苦肉の策だった」(加藤博彦専務)だが、ただ看板を掛け替えたのではない。3年前には日本で初めて「ブックオフ」「TSUTAYA」の複合店を浜北市に出店。TSUTAYA側は当初猛反対したが、いざ開店してみると「客層が同じで相乗効果が大きいと分かった」(加藤専務)。この試みは昨
秋、両本部同士による共同店舗展開に発展した。愛知県岡崎市。国道248号沿いにゴルフ用具店や家具店、焼き肉店が並ぶ商業施設「ハビット錦」。ここは谷沢ニット商事が60年代まで子供用ニット工場をフル稼働させていた場所だ。その後、輸入衣料に押されて収益は悪化。75年に工場を「ステーキのあさくま」加盟店に“衣替え”した。
2年後には同じ敷地内にロッテリアも出店。翌年にはタニザワフーズと社名を変えて繊維事業から完全撤退、ケンタッキーフライドチキンにも加盟して「メガフランチャイジー」への道を歩き始めた。谷沢憲良社長はこれを「第二の創業」と呼ぶ。現在は吉野家、デニーズなど7業態。愛知、静岡、山梨の3県での店舗数は85店、売上高は108億円に達した。
鮮魚卸の中島商事(神奈川県相模原市)は昨夏、社名を変更、その名も、メガエフシーシステムズとしたた。中島利雄会長と、東京・築地で営業していた吉野家の松田瑞穂社長(当時)が知り合った縁で73年、吉野家初のフランチャイジーになったのがFCビジネスに取り組むきっかけ。
現在、牛角、モスバーガーなど客単価と立地条件が異なった六事業をポートフォリオを組んで展開。2003年に株式上場を、2010年には150店、売上高200億円を狙う。
コメントー FC加盟は経営の邪道か
かつての小売業は、零細・家族経営がほとんどであったが、チェーン化により力を強大化し、主体性のあるビジネス展開を可能とした。単にFCに加盟しているだけでは、かつての小売業と同じ状態だが、それがメガフランチャイジー化していけば、小売業と同じような進化を遂げる可能性もあり得るのではないだろうか。新規事業の選択肢として、FCへの加盟も選択肢の一つとして考えてみよう。メガフランチャイジー化のような方向に進んでいけば、お仕着せのノウハウに甘んじるだけではない、別の展開も可能になるかも知れない。
財務相「ちんたらやってたら間に合わん」 日本経済新聞 01.8.29 3面
改革工程表作りに着手した28日の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)では、閣僚の政策提言に「スピード感が足りない」との批判が噴出した。景気は厳しさを増しており、工程表作りと政策をいかに迅速に実現するかが課題になっている。この日の討議では、柳沢伯夫金融担当相が不良債権問題について、平沼赳夫経済産業相が新規産業の育成について、それぞれ意見を述べた。
坂口力厚生労働相も失業者の増加を受けた雇用対策を説明。他の閣僚も自らの省庁の重点政策に沿った提案を出した。
ただ議論は新味を欠いていたようだ。「高級な学問論ばかりでよう理解できんかったわ。こんなちんたらやってたら間に合わんでと言って爆弾を落としてやった。もう論文の時代ではないでぇ」。塩川正十郎財務相は、そんな表現でいら立ちをあらわにした。各省が来年度予算の概算要求と今回の改革工程表との仕分けをしきれず、有効な政策を示せないことに不満が募っているようだ。竹中平蔵経済財政担当相は「もう一押し、二押しすれば改革の目玉になるものもある」と強調した。
だが止まらない株安や雇用情勢の悪化に「答え」を示せるかどうか。諮問会議の工程表作りは疑問も残す立ち上がりとなった。
コメントーマイペースでは済まない世界
ビジネスの世界では、特に、競合他社の動きも気に掛けて尾かなければならない。マイペースという言葉は肯定的な意味で使われるケースも多いのだが、競争環境に身を置く以上、そうも言ってはいられないものなのだ。
あなたは仕事に取り組みにあたり、どこまで視野を拡げてその仕事を考えているだろうか。他者との関連性でとらえることができていなければ、競争環境を勝ち残れず、大きな価値を生み出すこともできないかも知れない。
捨てゲームで危機管理 日本経済新聞 01.8.30 37面
「一生懸命(やって)負けるなよ」というのが西鉄・三原脩監督の口癖だた。精根使い果たしての敗戦は最悪。負け試合と見極めた時の三原監督の手しまいは見事で、さっさと主力をひっこめていた。ほめられたことではないが“捨てゲーム”とするのだ。南海・杉浦忠投手あたりの調子がいいときなど、どうあがいても勝てっこない。我々がしゃかりきになっていると、監督は試合の最後、余力を残して次に備えるよう、暗に諭した。ファンには申し訳なかった。最高で154試合(1956年)という年もあり「出力調整」は欠かせない戦略だった。余力を残すことでシーズン終盤のスパートが可能になった。
こうした捨て試合を設けられないのが、巨人の苦境につながっている。試合途中であきらめたそぶりを見せたら、親会社のグループのテレビ視聴率も下がる。「いつでもエキサイティングな内容を」と望む長嶋監督としては、淡白な姿勢は見せられないのだろう。それにしても、勝ち試合も負け試合も同じような顔ぶれの継投。今に始まったことではないが、今年などは特に、戦力の無駄遣いで優勝の可能性を低くしているような気がする。(後略)
コメントー資源配分すれば「上手い負け方」が必要
あなたの企業がベストを尽くす時、その視点は短期的だろうか、それとも中長期的だろうか。中長期的に成長発展を目指すのなら、短期的には「上手い負け方」をすることも必要かも知れない。
下請けの悲哀味わう 日経産業 2001.8.31 27面
大学を出てプラントメーカーに入ったのは、後世に形が残る仕事をしたかったからだ。起業などは考えておらず、サラリーマンで終わるものと考えていた。数年してNECとの共同事業に携わったのをきっかけに、流通システム担当としてNECに転職した。営業成績はいつも良かった。文系なので技術の話はせず、相手の会社がどうやればもうかるか、事業戦略の提案ばかりしていた。
<義父の会社を整理>ところが、仕事が面白くなってきた1993年に妻の父のTV番組制作会社が経営難に陥り、同時に義母の介護問題などが生じてNECを辞めざるを得なくなった。義父の会社に入って頑張ったが、TV局の経費節減もあって会社を整理した。当時は自分なりにTV番組の制作が楽しくなってきた時期だったので、96年に友人の会社の名義を譲り受けて制作会社、メディア・プランニング・エージェンシーを立ち上げた。法人にしたのは業界の慣習で、起業に意味があったわけではない。
趣味の登山関連で自然のドキュメンタリーを選んだ。ヒマラヤやバーミヤンなど世界中を回り、「辺境・山岳ものなら大谷」という評価をもらったが、下請けの悲哀を味わった。経費はすぐにカット、こき使われ、いい番組ほど赤字になる。一時は弁当店を始めようかとさえ考えた。<コンテンツで新事業>キー局は最高益を出していた。下請けより、TV局から売ってくれと望まれるようなコンテンツ(情報の内容)を作らねばと痛感した。そこで考えたのが「mp@ck」だ。よく番組で「主婦何人に聞きました。こんな変わった芸を持った人がいます」といったのを見るが、それをシステム化すればよいと思った。(後略)
コメントー価格を自社で決めることができるかどうか
価格を自社で決められないという現象が典型的にみられるのが下請けだ。しかし、下請けでなくとも、価格の自由裁量権が弱まっているとすれば、体質的には下請けにどんどん近づいていると考えた方がよいだろう。あなたの企業が提供する商品の価格はどのように決められているだろうか。自由裁量で決めることが難しくなっているとすれば、それは商品自体の競争力の低下を意味している。