日 経 の 経 営 記 事 01/09/16〜30
夏の映画絶好調 シネコン効果大きい 日本経済新聞 2001.9.17 14面
東宝の松岡功会長に夏の映画が好調な背景を聞いた。
東宝配給の「千と千尋の神隠し」の勢いがすごい。
「前作『もののけ姫』で確立した『宮崎駿ブランド』の効果が絶大だった。新聞やテレビなどで盛んに取り上げられ、見なくてはいけないという雰囲気が醸成された。子供からお父さん、おばあちゃんまで幅広い年齢層に受けた」
他の映画も好調だ。
「複数のスクリーンを備えたシネマコンプレックス(複合映画館)の機能を十分に生かせた。例えば『千と千尋』を見にきた観客は、満員だった場合は他のスクリーンで上映する『A.I.』などを見る。『A.I.』を見た観客は後日改めて『千と千尋』を見に来るという具合だ」
この夏が不振なら入場料金を値下げすべきとの意見も業界内にあった。
「料金は映画の入りとは無関係だ。『タイタニック』のように通常より200円高い2000円でも大ヒットした例もある。映画は作品次第で観客を呼べる。近年の映画業界の不振を携帯電話など新しいメディアのせいにする意見もあるが言い訳だ。料金体系の抜本的な見直しは考えておらず、作品ごとに柔軟に料金を設定していく」
コメントー同等の魅力があってはじめて意味がある選択肢
ビジネスや交渉や意思決定にあたり、選択肢をうまく活用しているだろうか。それらの選択肢は、互いにほぼ同等といえるほどの魅力を持っているだろうか。そうでなければ選択肢の意味はない。
英文履歴書作成 自己アピール前面に 日本経済 2001.9.18 31面
就職を控えた学生や転職を考える人たちにとって、第一関門は履歴書の作成。特に外資系企業や国際機関に提出する英文版は書式も独特で戸惑うことが多い。
しかし、最近は英文履歴書の書き方をアドバイスしたり代わりに作成してくれる業者が増えてきた。学歴や職歴よりも自己アピールを前面に出すのが英米流。キャリア戦略研究所(東京・港)は約1時間のカウンセリングを実施。依頼者の経歴や能力の中で提出先ごとに最も有利となる部分を強調した文面を作る。KGC履歴書英訳サービス(大阪・吹田)は顧客があらかじめ作成した日本語版をもとに、不足部分は随時聞き取りをして仕上げる。ヘッドハンター・ジャパン(東京・港)などの人材紹介・派遣会社もサービスを提供しているが、これらは転職が決まった企業から成功報酬を受け取るため、顧客に料金は発生しない。
コメントー上流を押さえて主導権を握る
あなたの企業が取り組むビジネスは、上流を押さえているだろうか、それとも下流に位置しているだろうか。もし後者なら、上流を押さえている企業に主導権を奪われている可能性が高い。
施設利用割引 会員組織持つ企業に提供 日本経済 2001.9.19 16面
福利厚生代行サービスなどを手掛けるリロ・ホールディングは個人の会員組織を持つ企業向けに、会員がホテルやスポーツクラブなどを低価格で利用できるサービスを十月中旬から始める。第一弾としてインターネット接続会社のニフティ(東京・品川)と提携、約470万人の個人会員を対象にサービスを提供する。企業向けの福利厚生代行サービスのノウハウを生かして顧客層の拡大を狙う。
このほど新サービスを手掛けるリラックス・コミュニケーションズ(東京・新宿)を資本金1千万円で設立した。持ち株会社リロ・ホールディングの傘下で、福利厚生の代行会社、リロクラブが全額出資した。ニフティの会員がニフティのサイトを通じて登録すれば新サービスを受けられる。リロが契約する約250カ所の宿泊施設のほか、レンタカーや引っ越し、コンサート チケットなど各種のサービス・商品を、多くは定価の3−4割引きで利用できる。
会員はサービスの利用代金を支払えばよく、登録料などは無料。リロはニフティなど提携先企業から年間で固定の利用料を得るほか、会員が利用した宿泊施設などから利用状況に応じて手数料を受け取る。リロは個人会員を抱える小売りや通販会社、カード会社など提携先を順次増やしていく。同社が新たに開設するサイトやiモードなどインターネット対応の携帯電話からも登録できるようにする。提携先企業は会員の囲い込みができる利点がある。サービス開始後1年間で50万人程度の利用者獲得を目標とし、2002年度中に3億円程度の売り上げを目指す。企業の社員が宿泊施設などを低価格で利用できるようにする福利厚生代行サービスは企業の人事制度改革などを追い風に需要が拡大している。豊富な施設を利用できるのを強みに、従来は対象にならない個人顧客の取り込みを急ぐ。
コメントー顧客に対して福利厚生サービスを提供する
福利厚生として社員に提供しているサービスを、組織化した顧客に対しても提供できないか考えてみよう。囲い込みが目的なら、顧客も社員も同じはずだ。
販路別に組織再編 ニーズ対応力向上 日経流通 01.9.20 18面
イトキンは今秋、これまで企画・営業・販売などに分かれていた組織を販路別に再編、売上高20%増を目指した事業展開を本格化させる。ショッピングセンター(SC)や駅ビル向けと、百貨店向けのブランド群を扱う二つの組織に加え、ブランド横断的に雑貨を扱う計三つの組織を立ち上げた。企画から販売までをブランドごとに一貫させることで売り場情報を生産に直結、効率の向上を狙う。SCや駅ビルを販路とする組織は「RVカンパニー」とし、「クランプリュス」「オフオン」といった手ごろな価格を志向したブランドを扱う。百貨店向け商品より4−3割安い価格を実現するため、ほぼ全量を中国の自社工場など海外で生産する。
RVカンパニーでは今秋冬シーズン中に「アー・ヴェ・ヴェ」で13店舗を開業するのをはじめ、オフオンで6店舗、クランプリュスで六店舗などの新設を予定している。百貨店向けは「VPカンパニー」と呼ぶ組織が担う。「MKミッシェルクラン」「クランデュイュ」をはじめ品質重視のブランドを扱う。シーズン中でも売れ筋を柔軟に生産するクイックレスポンス(QR)体制を強化するため、RVカンパニーとは対照的に国内工場での生産を現在の4割から5割に高める。VPカンパニーでは今秋冬に「iiMK」で11店舗、MKミッシェルクランで3店舗などを新設する。消費者の購買姿勢が低価格一辺倒から品質やファッション性重視に変化してきていると見て、VPカンパニーは社長直轄の組織とした。
集客効果などから品ぞろえの重要性が高まっている雑貨は「AGカンパニー」に集約する。今春立ち上げた雑貨ブランド「マキシーボン」のほか、他ブランドの雑貨を横断的に扱う。全売上高に占める雑貨の割合を現在の10−15%から25%まで高めるため、バッグ、靴を中心に品ぞろえを拡充する。AGカンパニーは東京など首都圏を中心に今秋冬、35−100平方メートルの雑貨専門店を5カ所に出す。9月下旬に東京・原宿の自社ビル内にショールームを開設、百貨店などのバイヤーに売り込みをかける。330平方メートル規模に大型化を進めているSCや駅ビル内店舗(90カ所程度)に65−100平方メートルの雑貨売り場を設ける。イトキンの2000年度の売上高は1424億円。そのうち新しい3カンパニーが扱うブランド群の売り上げは約810億円だった。これを事業再編の効果によって、今年度は970億円まで引き上げる計画だ。
コメントー競争力向上のための事業別組織
今回の記事本文には、「効率の向上を狙う」とある。その「効率」とは「売り場情報を生産に直結」させる効率であり、それは競争力向上につながる。記事のタイトル「ニーズ対応力向上」も、それを意味しているのだ。成熟経済下にあっては、効率よりも競争力が重要となる。目先の効率を追いかけて、競争力を犠牲にしていることはないだろうか。組織体制を点検してみよう。
経営トップ会議 社長が議長 日本経済 2001.9.25 13面
武田薬品工業は10月1日付で社長を中心とする経営トップで構成する「総合製品戦略会議」を新設し、医薬品の研究開発の重点分野や他社との提携戦略などを機動的に決める。世界的に新薬の研究開発競争が激しくなっており、開発・生産戦略をトップダウンで決めることで、意思決定のスピードを速めるのがねらいだ。
武田国男社長が議長となり、藤野政彦会長、長沢秀行副社長が主要メンバーとして参加。原則、毎週一回開催する。研究開発の重点投資分野を決め、国内外の製薬企業との共同研究など提携案を練る。また、重要性が増している新薬の知的財産権の強化策などを検討する。10月1日付で新設する社長直属の「製品戦略部」がブレーンとなる。これまでは研究開発、営業、国際事業などの本部長クラスを中心に部門横断的に製品戦略をまとめてきたが、部門間の調整に時間がかかっていた。
トップダウンで機敏に戦略を決めることで、遺伝子情報を活用して新薬を作る「ゲノム創薬」など技術革新が進む新薬の開発競争に素早く対応できるとみている。武田は糖尿病薬、抗かいよう薬などの大型製品が好調で今期は八期連続で最高益を更新する見通し。だが2005年以降の有力新薬の不足が指摘されている。
コメントー一人、または、あたかも一人であるかのような組織
あなたの企業の組織を、もっと、あたかも一人であるかのような組織に変革することはできないだろうか。行動範囲と意思決定権限とが整合せず、自己完結的に業務もこなせないのなら、かなりスピードが犠牲になっていると考えてよい。
新幹線の先頭車両製造 部品数20に削減 日経産業 2001.9.26 18面
日立製作所は新幹線の車両先頭部の製造に、高性能が要求される航空機生産に使う工法を導入する。
骨組みに薄い外板を張り付ける現行の方法に対し、新工法は厚いアルミ板を削り、外板と骨を一体構造にする。部品点数を約700から20へと大幅に削減、熟練作業も不要になる。日立は新しい生産合理化の手法として、他の鉄道車両製造にも応用を進めていく。
新幹線の先頭車両は高速でスムーズに走行するため、極めて複雑な立体形状をしている。現在はアルミ材で先頭部の骨組みを作成、そこにアルミ板を溶接して構造を作りあげていた。部品点数が約700と多く、溶接も熟練工の手作業に頼っている。新工法は先頭車両を16から20のアルミのパネルに分割。まずプレスで曲げ加工した後、高速切削ができる工作機械で余分な部分を削り取り、外板と骨を一体のまま製造する。
そのあと加工済みのパネルをプラモデルのように組み立てる仕組み。厚いアルミ板から削り出すため、素材のコストは高くなるが、自動化などにより生産コストは従来工法と同等という。切削加工は三次元CAD(コンピューターによる設計)データを使い自動的に行う。溶接工法と違い、外側にゆがみができないため、ゆがみ取りのために盛りつけるパテの量も減らせ、外観がきれいに仕上がるほか、車両を軽量化できるメリットもある。新幹線に限らず鉄道車両の製造に必要な技術はますます高度になっている。一方で生産現場を支える熟練工は減っている。熟練の技に頼らず、高性能な車両を生産するには、新たな工法が必要と判断した。
コメントー一度の迂回で通り抜けられる迷路はない
あなたは問題の解決にあたり、いくつの迂回路を通る必要があるだろうか。最初の迂回路を通った後に壁にぶつかった場合、再び迂回路を探すことをせず、振り出しに戻ってはいないだろうか。
豆にこだわり新商品続々 なじみ客が気軽に意見 日経流通 01.9.27 3面
JR名古屋駅近くにある豆菓子の専門店「豆福」はいつもお客でごった返している。大半は女性。それも中高年の人が多く、ほとんどはなじみ客だ。「日本の大豆の自給率はわずかに2%、しかも遺伝子組み換え作物も増加しています。だからこそウチは風味が優れ、甘みのある国内産大豆にこだわっています」。
そう語る福谷正男さんの名刺には「帯広市観光大使」とあり、北海道の大地の素晴らしい夏の風景が刷り込まれている。帯広観光協会から、よくぞ十勝産大豆の普及に努めてくれました、とこの称号を贈られた。その福谷さんのこだわりが次々と新商品を生み続けている。「あさみどり」「磯(いそ)福豆」「扇あられ」といった様々なネーミングの菓子が約120平方メートルの店に百種類あり、すべてオリジナル商品だ。
中でも最も人気があるのが「山海豆(さんかいまめ)」。十勝産の袖(そで)振大豆と呼ばれる大豆を香ばしくなるまで煎(い)り上げて、有明海のノリで巻いたものだ。一見、磯辺(いそべ)巻きのせんべいのように見えるが、口の中に入れてかむとノリの中から豆が出てきて驚かされる。豆福ではこうした多くの種類の商品を店のすぐ裏で煎って、味付けをして売っている。製造と販売が隣接しているため、店頭で試食したお客の感想をすぐに商品づくりに生かせるのもこの店の強みだ。なにしろ豊富に試食品を選ぶことができお茶も出しているから、なじみ客が気さくに販売員に食べた印象を話してくれる。大量生産、大量仕入れの大手の店にはない地元の声を反映した店づくりが豆福の人気の理由だろう。
「少しでも豆の良さを分かってくれる人が増えれば」という福谷さんは、きょうもこまめに豆の“伝道”に走っている。(経済キャスター 西村晃)
コメント
あなたの企業では、商品・サービスを一方的に顧客に提供しているだけではないだろうか。顧客を個客と考えた、協業スタイルの商品・サービスを提供できる余地がないか、考えてみよう。
研究者の不満 「雑用が多い」 日本経済新聞 2001.9.28 17面
研究現場は雑用だらけ――。企業や大学の研究者の半数以上は書類作成や実験の後片づけなど雑務にとらわれ研究に専念できず不満を持っている実態が文部科学省が27日に公表した調査で明らかになった。「補助的業務が多く、研究に専念できない」との回答が57.6%を占め、特に35歳以上40歳未満の研究者では3人に2人が不満を持っていた。
逆に「支援体制が十分で研究に支障ない」と答えたのはわずか6.7%。雑務と感じる補助的業務のトップは「経理・購買伝票、管理用書類などの作成」(51.1%、複数回答)だった。調査は昨年末時点で国内研究者1200人を対象に実施、771人(約46%が民間企業所属)から回答を得た。産学官を問わず日本の研究現場では米国などに比べ研究を支援する仕組みが不十分とされる。大学では若手研究者が様々な雑用に忙殺され研究に専念しにくい。調査から若い優秀な研究者には独立した研究室を与え研究に専念できるよう制度改革する必要があることが浮き彫りになった。
こめんと
あなたの企業では、投入と産出からなる生産性の分数をどのように見ているだろうか。投入だけに目を向け、それを抑制しようとばかり考えているなら、そこに経営の醍醐味はない。