11月8日(木)  日銀副総裁 藤原直哉氏  http://www.boj.or.jp/siryo/siryo_f.htm

         
デリバティブはもうすごい状況

最近、先生の5〜6年前の著書、「世界メガ・トレンド」「大転換」などを読み直しているのですが、先生は以前からデリバティブ市場の危険性を指摘されてましたね。今回のテロ後のレポートにも、WTCビル崩壊によるデリバティブへの影響を危惧されていました。現在のところ表面的には騒いでいないようですが、実際のところはどうなんでしょうか?。口に出すのも恐ろしいというのが現状なのでは・・

それに対する藤原直哉氏の返事
 デリバティブはもうすごい状況だと思います。現物市場でこれだけ全世界的な暴落が起きたのです。それを種にした影絵みたいなデリバティブが無事なわけがありません。WTCの事件でもだいぶ吹き飛んだでしょう。おそらく近い内に全部の損失が一度に露見する日が来るでしょう。現物・デリバティブ合わせて数千兆円が吹き飛んだというような話です。

 私はソロモンに居るとき、いつかこういう日が来るだろうと思い、それがソロモンを辞める非常に大きな理由のひとつでした。ソロモンが潰れればウォール街が潰れる、ウォール街が潰れれば米国が潰れると。あれはまったく砂上の楼閣であり、嵐がひとつ来ればひとたまりもありません。みんなカッコつけた話をしますが、市場から流動性が消えた途端に不良債権です。

 日本がひどい状況ですからアメリカのほうが安全だという人は、アメリカのことを知らない人です。連中のシステムは原子炉であり、突然爆破して一瞬にして全部終わってしまいます。非常灯すらつかないでしょう。欧州や日本の比ではありません。欧州や日本は非常灯のひとつか2つぐらいはともすことができるのではないでしょうか。

日銀のHPにデリバティブ取引に関する定例市場報告(吉国委統計)」第6回グローバル・ベースの調査結果(2000年12月末)(日本銀行仮訳)という論文があります。これを見ると2000年12月末で世界の店頭デリバティブの想定元本は95兆2千億ドルあります。

 1ドル100円として計算しても9500兆円。それから1年経っているわけですし、為替も120円ぐらいですから、今の金額は円に直したら1京円は軽く超えているでしょう。よくデリバティブを想定元本ではなくて市場価値で評価する人がいますが、これはおかしな話です。帳簿上資産と負債が相殺されるだけで、価値の計算においては想定元本どおりに資産も負債もあると考えます。現物もデリバティブも価値の計算のルールはまったく一緒です。

 さて、1京円、すなわち1万兆円のデリバティブの何割がやられているかです。資産が負債の金額を1割下回っただけで1千兆円の損失、2割下回れば2千兆円の損失です。一般にデリバティブはデルタヘッジと言いまして、価格の動きに合わせてリスクを調整するのですが、価格が不連続に動いたり、何らかの事情で取引に参加できなくて調整ができないと一瞬にして意図せざる損失や利益が生まれます。2000年の3月以降、特に9月11日のテロ以降の市場変動や、テロでトレーダーが亡くなったりデータがなくなっている可能性を考えると、舞台裏では相当なことが起きていると想像できます。ですから一体何千兆円の損失なのかはよくわかりません。

 ではこれをどうするかですが、税金として取り立てることはもちろん不可能です。日本の1年間の国内総生産が500兆円程度ですから、まったく無理な話です。できることは債務不履行で、資産も負債も帳消しにすることです。当然そうなれば法的に破綻処理が行われます。日本の前にまず米国の金融システムがもちません。彼らのシステムは日本以上に透明で時価会計が進んでおり、みんな真面目に金融をやっていす。ブッシュ政権を見ていると米国の金融システムの繊細さがゼンゼンわかっていないように見えます。ウォール街もいろんな提案をしているのでしょうが、ブッシュ大統領は一切耳を貸さないのではないのでしょうか。1929年から始まる大恐慌もあれよあれよと言う間に全米の銀行一斉休業まで追い込まれました。今度はあれよあれよという間に全世界の銀行一斉休業に追い込まれるかもしれませんね。誰もそんなことを想定していないから実際にそういうことが起こりうるのです。想定していれば最悪の事態は何とか食い止められるものです。すごいことがこれから始まるのではないでしょうか。

 藤原直哉氏をバッサリと切り捨てていいモノなんでしょうか?