アメリカがアフガニスタンを「欲しがる」わけ
高貴なワシ」作戦は、確かにテロ撲滅の作戦かもしれないが、ブッシュが喧伝するような「民主主義の戦い」ではない。この作戦は、民主主義を導くものではなく、既存の自由世界を守るためのものだ。そこで、アメリカがなぜ、ウサマ・ビンラディン氏とタリバンを同一視し、双方の殲滅を目指しているのか、考えてみたい。
テロ撲滅という崇高な理想と石油の現実
アメリカが依存しなければならない石油資源を埋蔵している中東は、アメリカはなんとしても掌握しておかなければならない。
ところが、この中東諸国とは、アメリカの同盟国ではなく、どちらかといえば折り合いの悪いイスラム教徒の住む国なのだ。中東石油に依存し続けるかぎり、石油供給の遮断という危機が、アメリカの喉元に突きつけられているようなものである。アメリカが「自己正義に満ちた動機」で中東和平に腐心していることは認めてもいいが、しかし、同時進行で中東掌握のための戦略を遂行していることも事実である。
崩壊しつつあるサウジアラビア
アメリカがアフガニスタンを欲しがる話の前に、中東最大の石油供給国サウジアラビアの現況について解説しておかなければならない。
サウジアラビアは、表面的にはアメリカの友好国である。「表面的に」というのは、アメリカを友人と考えているのはサウジアラビア政府だけであって、民衆はそれを支持していないという意味だ。市民は、豊かさを与えるがゆえに彼らの政府を支持してきただけである。
石油価格が低下しはじめる80年代までは、このやり方に問題はなかった。だが、80年代初頭は1万7千ドルだったサウジアラビアの1人あたりGDPも、今では7千ドルへと低下している。政府はいまも財政赤字を無視して、国民へのサービスを続けることで、なんとか支持をとりつけようとしている。だが、石油による収益が今後改善する見通しはなく、経済の破綻は目前に迫っている。それはすなわち、王制の破滅を意味している。
カスピ海周辺の石油資源
1991年のソ連邦崩壊によって誕生した4つの新生諸国(アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)には、推定で2千億バレルの石油が眠っているとされ、その量は、世界最大とされるサウジアラビアの埋蔵量に匹敵する。また、トルクメニスタンに存在する天然ガスの埋蔵量も相当なものだ。
102兆立方フィート、これはロシアとイランに次ぐ、世界最大級のガス資源である。これらの油田・ガス田開発のために欧米石油メジャーが乗り出しているが、技術的には今からでも掘り出せる状態にあるという。問題は別のところにある。それは、採取した原油と天然ガスを、どのようなルートで運搬するかということだ。
現在出てきている案は4つある。
中央アジアから中国に至るパイプラインを建設する計画と、
ロシアやトルコなど西方へ通じるパイプラインを建設する計画、
そしてイランを通して湾岸に南下させる計画。しかし、これらの計画では、中国、ロシア、イランといずれもアメリカに友好的とは言いがたい国々を経由させねばならず、石油をめぐる不安は解消されがたいだろう。
そこで石油メジャーが注目しているのが、トルクメニスタンからアフガニスタン経由でパキスタンにパイプラインを通すというプロジェクトである。
ただ、この計画を実現するためには、厄介な連中がいる。それは、言うまでもなく反米的なタリバンだ。彼らが、パイプライン構想のど真ん中でイスラーム原理主義の理想に燃えている限り、構想は頓挫したままである。
アメリカはなぜ、ウサマ・ビンラディン氏とタリバンを同一視し、双方の殲滅を目指しているのだろうか? という命題にもこんな理由もあるのです。一考する価値がありますね。
以上は[アメリカがアフガニスタンを欲しがるわけ]を要約したもの 2001 年 9月 28日高山 義浩
http://journal.msn.co.jp/articles/nartist2.asp?w=71556
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