焼酎のまめ知識


日本の酒税法では、焼酎は「甲類焼酎」と「乙類焼酎」とに分けられています。
それぞれ原料や製造法が違います。
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甲類焼酎」とは、連続式蒸留機で蒸留するもので、いわゆるホワイトリカーと呼ばれているものです。原料は糖蜜や粗留アルコール。何度も蒸留されアルコールの純度が高くなることで原料の香りや風味は無くなり、そのため無味無臭・無色透明です。製品にするにはアルコール度36度未満ということが決められているので、薄めて出荷されます。
居酒屋でレモンや梅などの酎ハイ類(サワー類も)に使われているのが、この甲類焼酎(ホワイトリカー)なのです。

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乙類焼酎」とは、単式蒸留機で蒸留するもので、本格焼酎とも呼ばれています。原料は米をはじめ麦、そば、さつま芋などで、主産地は九州から沖縄など南の地方に偏在しています。九州以北の県では、清酒の製造過程でできる酒粕や米を原料にするところが多いそうです。最近ではとうもろこしやじゃが芋、かぼちゃ、わかめ、何とえのき茸まで、それこそビールのように様々な原料で焼酎がつくられています。それぞれの原料の持つ香りや風味を逃がさないのが特徴。ちなみに沖縄の「泡盛」も、米を原料とした乙類焼酎です。アルコール分45度以下のもの



焼酎の種類は?

米焼酎・・・日本人の主食である米を使用した焼酎はもちろん全国各地にあります。清酒と平行して造られているところが多いようです。タイ米などの輸入米で造られることもありますが、近年は原料米にこだわる蔵が増え、国産米や酒造好適米も使われるようになりました。米焼酎といえば球磨(くま)焼酎(熊本)は、米焼酎の代名詞といわれるほど有名ですね。まろやかで滑らかなコクのある味わいが特徴です。

麦焼酎・・・壱岐(長崎)が古くからの産地で、ほかに宮崎県と大分県が主産地として挙げられます。原料は精白した大麦で、小麦が使われることはほとんどありません。ちなみにウイスキーは同じ大麦が原料ですが、あちらは麦芽を使用し、麦焼酎は主に麦麹で仕込みます。麦特有の香りとコク、まろやかで甘味のある味わいが特徴です。

いも焼酎・・・さつま芋の主産地である鹿児島、宮崎、八丈島など、それと伊豆諸島でも造られています。それは江戸時代に薩摩人によってさつま芋の栽培と蒸留法が伝えられたからとか。原料となるさつま芋は通常食する皮の赤いものではなく、白っぽい色で、でんぷん質の多く含まれたものを使用します。ふくよかで複雑な香味、さつま芋特有の甘み。この特徴を楽しむならお湯割りなど温かめで。

そば焼酎・・・発祥の地は宮崎県で、古くから様々な穀物で焼酎が造られて来ました。なかでも有名なのが、高千穂地方のそば焼酎です。そばの産地として信州(長野県)のそば焼酎も知られています。ちなみに東京では長野産がそば湯割りでよく飲まれています。香ばしくソフト、軽快でドライな味わいが特徴です。

黒糖焼酎・・・鹿児島県の奄美大島で造られる焼酎で、原料は奄美大島や沖縄で栽培されるさとうきび。キャラメルのような甘く深い香りにラム酒のような風合いがありながらも甘さは少ないのが特徴です。温かいと香りが強く感じる場合は冷たくして。

泡盛・・・(あわもり)沖縄県下の諸島で造られている米焼酎を全て泡盛と呼びます。他の米焼酎と違うところは、原料米にタイ国産のインディカ米を使うことと、麹に他は白麹を使うことに対して黒麹を使うことにあります。黒麹菌は沖縄でしか使われてない、酸が強く雑菌が繁殖しにくい、暑い沖縄で一年中泡盛を造るのに都合のいい菌です。また、普通の泡盛は蒸留から1年未満の貯蔵で出荷されますが、3年以上熟成させたものは古酒(クース)といいます。古酒は琉球王朝の頃より現在もなお重宝がられている宝物なのです。各家庭でも飲まずに永く甕(かめ)に入れ、熟成させているほどです。