2007・初秋 820キロ20時間耐久一応日帰り
        能登半島完全一周一人ツーリング
        バイク乗るなら雨具絶対忘れンな!編
↑千里浜なぎさ
 ドライブウェイ
 石川県羽咋市→
↑能登金剛・機具岩 石川県志賀町
↑能登金剛・関野鼻
 石川県志賀町
↑収穫を控えた千枚田
 石川県輪島市
↑曽々木海岸・窓岩
 石川県輪島市


 秋になると、どうしてもウズウズとどっか出掛けたくなるんですね。毎年のことだからもはや
どうにもならんのですが、今回はバイクで行ってみようと決心し、未踏破の地、奥能登を目指し
またしても、強行スケジュールを立ててみました。強行と言っても自信がなければやりませんよ。
 行ってないところに行ってみたいのは自然の欲求と勝手に思うんですが、今回の教訓は、バイ
ク旅に雨具を持っていかないヤツはバカだ!!ってことです。・・・今回の自分のことです。ひ
どい目に遭いましたが、風邪もひかず無事に(実際は有事)帰ってこられたことは幸いでした。
 今回は帰りの雨を回避するため、予定になかったトンネルだらけの北陸自動車道経由となりま
したが、結局はトンネルとトンネルの間では土砂降りに遭い、どうでもよくなりました(泣)。
 通行券はふやけてしまい、料金所で怒られはしなかったものの、手間取りで迷惑を掛けました。
 行程としては20時間820キロ。バイクだけに、平均燃費は30キロ前後とよかったですよ。
 と、まあ、雨は最悪でしたが、降られる前は好天に恵まれ、しかも能登半島の素晴らしい風景
を堪能することができ、トータルとしてはよいツーリングでした。今度くっさ雨具持ってぐて!
 乗用車とは一味違う、風をきって風景を楽しむ快感は、やっぱり爽やかな秋が一番だと思いま
す。春と違い、日が短いのが難点ですが・・・。またまたしつこい駄文にお付き合いください。


【2007年9月9日(日)】

 前日、夕方17:00に仕事を終了。未だバイクで行こうかどうしようか決心がついてなかっ
たんですが、この機を逃したら、今シーズン、バイクで遠出するチャンスはもうないかもしれな
いと考え、バイクで出掛けることを決意!!夕飯を終え、風呂に入ってさっさと20:00には
フトンに入りました。・・・で、寝ること4時間。そこそこよい眠りだったんで、目覚めはよか
ったです。支度をして、日付が変わった9月9日日曜日、深夜0:30に自宅を出発!!このと
き、やっぱ雨具持っていこう・・・ってなんで思わなかったんだろう。日中はまだ残暑の9月で
すが、夜はそれなりに気温が下がり、バイクでの長距離は寒がりの人には少しキツイかも。暑が
りの自分には心地よいだけでしたが。国道351号〜川崎〜国道8号と入り、これから遥か金沢
まで、延々と8号をたどることにする。曽地峠で市内を抜け、柏崎に下って行くと、中越沖地震
の傷痕がまだ多く残る・・・。路面凹凸や橋梁接合部の段差などに気をつけながら、深夜の柏崎
市街を抜けていきました。被災された皆さん、どうかくじけず頑張ってくださいね!!

 交通量の少ない深夜の8号は、長距離トラックが主役。出だし加速は悪いが、速度が乗ればム
カツクほどに煽ってくる(怒)!!安全第一なんで、なるべく煽られる前に左に避けお先にどう
ぞ、を繰り返しながら進みました。これは全行程でのことですが、飛ばすつもりはないし、飛ば
して捕まったり死んだりしたくないですし。のんびり楽しくで、いいじゃないですか!日本海の
海風を右から受けつつ、鯨波、そして被害甚大な青海川と、米山大橋や胞姫橋を渡り、トンネル
をくぐり抜け、海岸8号を西へとひた走ります。この時代、時間を選ばない自分みたいなヤツに
はありがたいことで、コンビニでも道の駅でも、トイレタイムを比較的簡単に取れるのは非常に
助かりますね。バイクだと、自分が寒く感じなくても、どうしてもトイレが近くなるもんで、ま
ずは柿崎の先でコンビニに寄って休憩を取る・・・。闇夜の一人バイク、妙に明るいコンビニ照
明というのは、ホッとする心強さを感じさせてくれるものでもあります・・・。

 合併で広くなった上越市は、「区」割りで呼んでいるため、旧来町村は柿崎区・名立区などと
なってますが、別に政令指定都市の「区」ではありません。紛らわしい気がしなくもないが、新
市になってからの重複する町名などはスッキリ区別できてメリットありそう。その点長岡は間違
いが起きそうです。中沢と越路中沢、浦と浦瀬とか(怒)!!平成の大合併で、地図は大きく変
わったけど、いまいち実感が沸かないんだよねぇ・・・。車線が広がり、直江津駅の南側を通過
し、国道18号との交差点、下源入を通過する。日中だと混みそうなポイントだが、深夜は快適
に流れます。再び一車線に戻ると、トンネルをくぐり、谷浜海岸に沿って糸魚川を目指す。海は
暗く駅名標も全然見えないが、JRはすでに西日本エリアであり、雰囲気的に早くも富山県入り
の錯覚に陥るのである(笑)。潮騒はバイクの音でほとんど聞こえないが、ミッドナイトの海岸
走行も悪いもんではないですね。有間川を通過し、名立へ。そして糸魚川市となった能生へとテ
ンポよく進んでいく。すでに最初の100キロゾーンだが、何故かバイクだと、到達が早く感じ
るもんなんですよね。海岸線に沿って星を見上げつつ適度なカーブを刻み、能生小泊などの漁港
集落を抜けていく。一日は始まったばかりだが、夜明けにはどの辺りにいるんだろう、なんて考
えながら、海岸沿いの片側二車線の糸魚川市街。姫川を渡ると、青海に至り、いよいよ未明の天
嶮・親不知を迎えんとする・・・。昨秋の関西ドライブでは、こっから高速乗ったんだよなぁ。

 急峻な断崖が日本海にせり出す海岸線に、幾つもの洞門を介してへばりつく国道8号は、県境
のワクワク感を、演出してくれます。親不知インターを通過し、風波トンネルで高速が山中に消
えていくと、こころもとなく思いつつも、一桁国道のプライドを誇示するかのように天険トンネ
ルで最難関ピークををぶち抜く。命を賭してまで越えてきたかつての旅人が、タイムトリップで
今の親不知を目の当たりにしたら、果たしてどんな風に映るモノか・・・。近い将来には建設中
の北陸新幹線も開業しようとしています・・・。開けてくると、越後最西端の地、市振に至り、 
道の駅にてトイレ休憩を取る。数年後には第三セクター鉄道になるであろう北陸本線がすぐ裏手
に控えるが、新幹線開業に沸く裏で、廃止や三セク化される鉄路は、正直もう見たくない・・・。

 市振を出発すると、程なくして富山県へ。針路左手の山上に、越中境パーキングエリアの照明
が輝く。城山トンネルから勾配を下ると、富山平野が開け、県都方面にひた走る・・・が、今は
未明なんでねぇ・・・。何も見えんよ(泣)。朝日、入善を経て、黒部川の清流・黒部大橋を渡
り、沿道コンビニやスタンドの照明に励ましてもらい、時折信号に引っ掛かりながら、黒部市街
を抜ける。そして旧来は市街地の真ん中を通り、非常に流れが悪かった魚津・滑川のバイパス化
事業がカナリ進んでいたことに感嘆しながら、間近に迫った夜明けを楽しみに富山市内へ。快適
だが、真っ直ぐすぎて、ツマラン。ほんのり空が白み始めてきました。予想以上に順調に進んで
きたが、そろそろ一回目の給油&メシを考えておかないといけませんね!!時刻は4:30。長
岡を出発してからココ富山バイパスまでちょうど4時間が経過。富山までが200キロ強なんで、
平均50キロ毎時でココまで来ました。安全&燃費走行第一。給油したら6.53L。原油高の
この時代、バイクっていいかもね(笑)!!単純計算でラクラクリッター30キロ以上でした。

 給油後、すぐにすき家を発見し、腹が減ってたんで迷わず立ち寄り、マーボー茄子牛丼をさっ
さと食って、ゴチソウサマ!明るくなり始めた8号バイパスを、高岡・小矢部方面に快適に進ん
で倶利伽羅の先、石川県境を目指す。まずは金沢に踏み入らなくては、能登一周の旅は始まらな
いんですね。今のところは好天が期待できそうな夜明け。そう・・・今のうちは、ね!!田園地
帯を真っ直ぐ走り、程なく高岡市内に入ると、氷見方面への国道160号を分岐する四屋インタ
ーを通過。およそ10時間後、能登一周のゴール地点となり、非情にもずぶ濡れの祝福夕立をく
らうのが、実はこの四屋インターなのであります・・・。当然このときは、予想だにしなかった
わけで・・・わかってたら、絶対雨具持ってきますがな(しつこい)!!ともあれ、小矢部を通
過し、山が迫ってくると、緩やかに倶利伽羅峠を登り始め、朝陽を浴びながら石川県に突入!!

 北陸自動車道は南側に大きく離れて、今はまったくの別ルート。その代わり北陸本線が絡むよ
うに倶利伽羅を越えます。線路をアンダーパスの後、一度突き当りを右折し、残った勾配を下る
と津幡に落ち着き、気温が上がり始めているのを感じながら、いよいよ県都・金沢は間近!!と
りあえず、金沢駅を目指すことにして、長々と世話になった8号から離脱。案内標識を頼りに進
むが、山をぶち抜く新しい郊外環状道路に誘拐されてしまい、快適ではあったが、遠回りだった
んで、また知らん土地で案内標識詐欺にあったと、怒ってました(笑)!!山を下り、急に市街
が開けてくると、新幹線開業態勢が整いつつある金沢駅に到着。観光都市だけに、駅前の高層ホ
テルは、なかなかの圧巻です。休憩がてら、かっこいい駅舎を背景にバイクの写真を撮りました。

 まだ早朝だけあって、金沢駅前は人影もまばら。ただ、初秋の爽やかな晴天を約束してくれる
ような朝でした(とりあえず今のところ)。混んでくる前に早々に県都を脱出し、今日の目的で
ある、能登半島一周をここからスタートする。そう・・・ここまでの約250キロは、あくまで
も旅の目的のスタート地点に到達しただけのことなのである・・・(もう疲れたけどね)。市街
地の多車線道路を抜け、案内標識と方向感覚をフルに活用し、能登有料道路の起点でもある海岸
の内灘を目指す。1994年・春、家族で来て以来、13年半振りの能登有料でワープしよう!
とは、実はまだ考えていなかったワケで(笑)、ケチケチと一般道で行こうかな〜なんて、まだ
セコイコト考えてて。ま、やっぱせっかくだし、爽快に能登有料だな!って決定っス( ̄ー ̄)。
 
 堤防上の道路を後続車に煽られながら進み、左手下の北陸鉄道浅野川線の、たまたま来た電車
とデットヒートを繰り広げながら、内灘の栗崎町能登有料入口に至る・・・。今日は能登一周を
目標に掲げているものの、ドコに寄って写真撮って〜とか全く決めてなかったんで、少しは決め
ないとね。まずはやはり波打ち際走行ってことで、この先「千里浜なぎさドライブウェイ」を目
指す。能登有料道路は石川県道路公社が管理する自動車専用道路で、70〜80キロ走行OKな
快適ハイウェイ。延々と穴水まで続き、海岸の一部区間は立派な片側2車線!!北陸道となんら
変わらない100キロ走行でも安全そうな感じですよ。3月の能登半島地震では、一部区間が大
きな被害を受け、今は完全復旧したのかな?なんて考えながら、快適に80キロで進む。朝陽を
右側に浴び、左手に日本海を見、潮風を浴びながら、合併市・かほく市を進み道の駅「高松」に
進入する。東名・由比を彷彿とさせる海岸パーキングで日本海を見ながらゆっくりと休憩を取る。

 道の駅高松を出発すると、いよいよ千里浜目前!!合併町・宝達志水町に入り、こちらからだ
と、千里浜インターまで行くより、手前の今浜で降り、すぐさまドライブウェイってコースでO
Kなんですね。通行料もリーズナブルなんでボラれた感は特にない(笑)!!今浜インターを降
り、左折すると間もなくドライブウェイ入口に達し、踏み固められた砂浜に踊り出る!水色の青
空と、日本海の藍色が絶妙に溶け合い、立ち姿勢でドンドン進む!まだ朝も早いが、結構人出が
あります。潮騒も潮風も心地よく、ベストポイントで写真撮影。サイドスタンドしかないんでし
ょうがないけど、写真撮ってる間に波の浸食でスタンドが砂に潜り始め、もう少し気付くのが遅
かったらバタ〜〜ンとバイクを倒すところでした・・・。甲子園ぢゃないが、スタンドにいっぱ
い付いた砂を土産に、名残惜しくも千里浜を後にする。すでに羽咋市であるが、これからの能登
半島一周、長いだろうな、とは覚悟してはいたものの、この時点では、まだその後のしんどさを
予見できてはいなかったのですね・・・。帰ってきてから思い知らされたのですが、ホント長い
です能登一周は。よく計画を立てて休み休み行かんと、途中でバテますよ!!参考までにね。

 羽咋の市街地を抜けると、いよいよ奥能登へと海岸美の景勝地が連続するエリアに足を踏み入
れる。交通量も少なく、カーブも適度で非常に走りやすい。能登を一周する国道249号が今日
のメインルートであり、時折外れつつも能登島入口まで世話になることにする。志賀の中心を抜
け、能登金剛「巌門」付近にてバイクを入れて撮影。その後また進み、伊勢二見のような「機具
岩」、日本海に突き出た「関野鼻」の撮影ポイントで、能登外浦の海景美を満喫。真冬の怨念演
歌日本海の時期だと更に演出効果抜群だろうが(笑)だいたい真冬にバイクで能登来たら、って
か来れないでしょ。バイクはやはり秋。今日のような白波立つ海岸と青空は、やはり絵になるも
んで、大満足でした。しばらくの間、漁村集落の連続する箇所を通過し、緩やかなカーブを描き
ながら、土地に暮らす人たちの生活感溢れる様を見ながら前半のハイライトを走破し、いよいよ
中盤、輪島に向けての針路。輪島市・旧門前町に入ると、曹洞宗大本山・総持寺祖院へ。今や横
浜の鶴見に本山の役割を譲ってはいるものの、観光客や檀信徒が結構いました。外壁は一部ブル
ーシートで覆われ、祖院も相当の被害が出たようだ。写真撮影後、目前に迫った輪島へと再び国
道249号に戻る。内陸の峠道を走り、トンネルを抜けると、輪島朝市を強調する案内標識を見
ながら、奥能登観光の拠点・輪島の市街地に至る。一旦国道を外れ、のと鉄道・旧輪島駅を利用
した、道の駅「輪島」に到着。あ〜ぁ、ケツが痛い痛い!!少しゆっくり休むことにする・・・。

 奥能登自体、初めて来るんで、のと鉄道にも乗ったことはなかったのだが、道の駅として、僅
かながら、線路やホームが残されていることに感銘を受けた。赤字を抱えたまま鉄道会社を経営
することは当然できないため、地方の鉄路が消えゆくのも、止むを得ないかもしれないが、廃止
後も愛されるのは、ある種鉄道の特権とも言える。ホームの端には、大きなパネルに列車の写真
が掲げられ、郷愁を誘う。いつぞやまた復活のときを待ちながら・・・残念だけどあり得ないや
なぁ・・・。掲げられた駅名標には、大きな字で行き止まり方向に「シベリア」と書いてあった
のは強烈なインパクトだった!!そう・・・ココは終着駅ではないのだ!!震災復興をアピール
する「頑張ってます!能登」も貼ってありました。時間が止まった錯覚の中、旧輪島駅を出発し
市街地を抜けて次なる目的地、千枚田を目指す。天気は少しずつ変化を見せ始め、どんより曇っ
てきた。まあ、雨が降ることもなかろうて・・・むしろ、奥能登日本海、特に荒々しい外浦には、
これくらいの鉛色演歌的演出は必要だ(笑)。海岸を快適に走り、程なくして道の駅「千枚田ポ
ケットパーク」へ。田植え時期なら水を張った煌く田圃だったのかもしれないが、今は稲刈り前
の正反対の時期。しかし、日本海にせり出した、幾重にも積まれた曲線が素晴らしかったですよ。

 おばちゃん観光客に写真撮ってあげたり、関西から来たライダーと喋ったりして、千枚田を出
発!!どことなく、最果ての地みたいな雰囲気が漂い始めると、曽々木海岸随一の景勝地・窓岩
のポケットパークへ。鉛色のどんより空の下、奇岩景勝・窓岩に白波砕けるさまは、期待通りの
奥能登演歌( ̄ー ̄)p雪が舞って、波がもっと荒ければ言うことなし!!の曽々木海岸での小
休止でした(アホ)。しかし、曽々木を出ると、また雲が切れ始め青空が!!雰囲気台無し(怒)
←ホントは晴れて安心なクセに!!珠洲市に入ると製塩の塩田が目立つ。奥能登独特の最果て感
が垣間見える地にバイクを走らせる。華美な観光地にはない、厳しい自然に生きる人々の息づか
いそのものが、能登観光の魅力なのかな・・・なんて考えながら、半島の先端を目指すため、一
旦249号から離脱!!案内標識の「禄剛崎・狼煙」を頼りに、これまでにない1.5車線の少
し狭い道路に入る。バイクだから、道幅はあまり問題ないが、アップダウン、カーブが少しキツ
イ。その代わり、垣間見える海景美は漁村&製塩集落が演出。何と言うか、土地に暮らす人々に、
敬意を表したくなるような、そんな気持ちになりました。スゴイわ、能登!感服しました!!

 禄剛崎・狼煙集落は、能登半島の最先端。灯台を見たかったが、時間も押してきたんで、って
か、ドコにあるんかよくわからなかったんで、パスして狼煙を抜ける。この先はいよいよ後半の
内浦へ。正午を過ぎ、カナリ暑くなってきた。そう、まだ残暑厳しい時期なので、日中は汗だく
に!!波の穏やかな内浦に、お昼の高い日が射し、キラキラと輝く。さっきまでのどんより演歌
の曽々木とは別世界だが、一粒で二度美味しい(?)ってことで、得した気分でした。途中で、
海岸ルート・山ルートって分かれ道があったんで、どうしようかと迷ったが、海は堪能し尽くし
たんで一旦山ルートへ。そっちの方が少しでも日陰の木立がありそうだしさ(笑)。再び海岸ル
ートと合流すると、珠洲の中心地、飯田へ。腹も減ってきたけど、当初予想より少し遅れている
んで、メシは我慢!!廃線のと鉄道、旧珠洲駅の駅舎を見つけたんで、迷わず立ち寄る。地方の
駅に典型的な、横長で平屋の駅舎は、今でも列車がやってきそうな雰囲気で、昼過ぎのゆったり
した時間の流れに、妙にマッチしていた。先ほどの輪島と違い、道の駅になってるわけでもない
ので、寂寥感も否めないが、むしろ廃線駅がそのまま保存された雰囲気で感慨深かったですね。

 暑い!!ケツが痛い!!しかし長々と休んでもいられない。旧珠洲駅を出発し、内浦の長い旅
へ。案内標識では、まだ七尾まで70〜80キロ・・・思ったより長いもんだな。のと鉄道の廃
線跡と絡みつくように走り、小さな途中駅の跡も見ながら、能登町(合併前は能都町)そして穴
水町へと、少し内陸に入ったり海岸に出たりと、アップダウンの249号をテンポよく進む。さ
て、明るいうちにドコまで行けるかな?高速は乗らなくても大丈夫そうかな・・・なんて、この
後の大惨事は、まだ当然知りませんのでね(泣)。峠を下り、穴水の中心地に至ると、内浦らし
い、入り組んだ海岸で波は一層静か。後になってから思ったことではあるが、能登一周の間に、
山陰・日本海と山陽・瀬戸内海を一挙に楽しんだ、みたいな。殊に穴水・七尾のエリアは、能登
島を介しているため、尚更のこと波静かなんだろうね。穴水からは、現役・のと鉄道のレールが
伸びる。そう、かつては輪島と珠洲・蛸島方面への分岐駅だったのがこの穴水です。入り江沿い
を進むと、再び雲が広がり始め、根木ポケットパークでトイレ休憩。ここには古代の漁法を保存
した「ボラ待ちやぐら」なるものがあり、説明書きもありました。再び走り出すと、また晴れ間
が。海岸沿いの集落に、村まつりの神輿を見る。老若男女の法被姿に、こころ温まる光景だ。

 針路に能登島が近づいてくると、あれ?橋が架かってるぢゃん?あれは能登島大橋の形ぢゃな
いし、もしやもう一本橋が架かった??と、これは渡らずにはいられんわ!!予定になかった能
登島上陸を敢行しようと決心。橋の入口を探し、標識を頼りに左折して、249号とお別れ。し
かし、すぐに海上橋に到達するわけではなく、しばらく走ってようやく巨大な橋へ!!これも後
で調べたことだが、中能登農道橋(愛称:ツインブリッジのと)って名前。農道??有料でもお
かしくない立派な海上斜張橋だぞ!!いや・・・確かに広域農道らしき標識はあったな。農道っ
てのは草ボーボーの砂利道、それは昔のイメージ。今は違うんですねぇ・・・。度肝を抜かれな
がら本州を離れ、能登島上陸〜!!13年半振り、2回目の上陸ですが、今回はさっさとスルー
し、能登島大橋へ。実は9年も前に無料化されてたんですね。知らなかったよ。航路確保で、中
間部が盛り上がった優美な大橋を渡りながら、和倉温泉の巨大な旅館群を右手に見る。渡りきっ
てすぐの和倉ポケットパークで、渡ったばかりの橋をカメラに収める。広々としたパーク内には、
ゲートボールを楽しむ人が大勢いました。和倉温泉駅前を通り、七尾線に沿って、氷見を目指す
が、さすがに燃料が減ってるんで、市街地のスタンドで給油。11.3Lで満タンでした。

 賑わいを見せる七尾の街を抜けると、再び海岸沿いへ。能登・立山シーサイドラインの愛称の
通り、天気の条件さえ整えば、富山湾の先に北アルプス立山連峰が望める景勝道路、国道160
号なのであります。能登半島一周もいよいよゴール間近!!富山県・氷見市に突入するが、今ま
でとは違う、カナリ怪しいどんより空に、嫌な予感・・・。どう見ても、「降ってる空」なんで
すね。マズイな・・・。整備された道路で市街地を抜け、高岡市内に入ったあたりで、ポツポツ
降ってきたと思いきや、一気に土砂降りに( ̄口 ̄)!!しまった〜〜!!雨具ないしぃ!!と
にかく、雨宿りできる場所を探さないと!!それが・・・ないんですねぇ。ずぶ濡れになってし
まい、もはや雨宿りしてもしなくても同じ状態に。朝通ってきた国道8号との交点、四屋インタ
ーに至り、合流してすぐのところに、サーティーワンアイスとマックの駐車場を発見!!屋根付
きの駐輪場があったんで、そこに避難する。夕立らしい突然の土砂降りなんで、そのうち止むだ
ろう、という甘い期待は裏切られ、降りまくる。明日仕事だし、やべ、帰らんねかったらどうし
よ〜!!って、本気で心配になる。すでに身体はずぶ濡れ、財布の中身も悲惨な状況になってい
る。40〜50分経ってもなかなか止まないんで、決断!!出発!!無事に能登一周できたと思
ったら、ビールかけにも勝る、天からの手荒な祝福・・・。時間が時間だし、途中から高速を使
うしかないな、ってことで苦渋の決断。雨に打たれながら国道8号をひたすら進むが、再び雨が
強くなり、コンビニでまた雨宿り。ずぶ濡れで店内に入ったら、店員にカナリ怪しい眼で見られ
ましたが、パンとおにぎり、飲み物を買い、腹ごしらえ。実は食べ物よりも、荷物をカバーする
ビニール袋が欲しかったんですね。ウエストバッグはこれ以上濡らしたくなかったんで、袋に詰
めて、荷台のネットに格納。身体はいくら濡れてもいいが、財布は・・・ね。出発進行〜〜!!

 悔やんでも悔やみきれない、何で雨具持ってこなかったんだよ〜(怒)!!薄暗くなり始めた
雨空を見上げつつ、ひたすら富山市内の8号を進む。で、ようやく雨が上がり始めて、ラッキー
・・・でもなくって、滑川・魚津・黒部と休日夕方の渋滞にハマル。渋滞が解消すると、入善・
朝日の県境ゾーンに到達し、後は親不知インターから高速でワープだ!!って、ようやくホッと
してたら、県境付近から再び雨が降り出し、しかも強くなってくる!!ねえ、もう勘弁してくだ
さい、本当に。トイレも行きたいが、市振の道の駅をパス。とりあえず、進めるところまで進ん
でからにしよう。連続する洞門のカーブを進みながら、左手直下のもう暗くてほとんど見えない
無気味な日本海。天険トンネルを越えてようやく北陸自動車道の海上橋の照明群が見えてくると、
少し安心する。ここから柿崎まで高速を使おう、と決心。18時半前、通行券を取り、親不知か
ら高速へ。時間短縮だけでなく、長大トンネルで雨を少しでも回避しようという考えからでした。

 海上橋をビシバシ雨に打たれ、北陸道最長の子不知トンネルに突入。トンネルのありがたさを
それこそ肌身で感じる。雨回避はモチロン、照明で明るいし、何と言っても暖かい。心地よいが、
トラックなどに抜かれるときには、風圧でカナリ煽られる!!コケないようにしっかり前を向き、
トンネルを幾つかくぐりながら、糸魚川インターを通過し、蓮台寺パーキングエリアに進入。さ
すがにトイレに寄らないときびしぃ状況に・・・。幸いなことに、雨は上がってくれました。と
は言えですね〜、長岡まではまだ100キロ以上の道程。油断しないで頑張らないとね。長大ト
ンネルを連続してくぐり、能生インターを通過した後、再び雨が強まる!!トンネルとトンネル
の間は、ドバ〜〜ッと濡れ、またトンネルで暖まる(ホッ)。その繰り返しでしたが、名立谷浜
インター付近は、カナリの降りになり、しかもトンネルがしばらくないのでもぅ最悪でした。後
は集中力を切らさず、完走するまで自分との闘いです。上越ジャンクション&インターを通過し
雨が少し弱くなってくると、柿崎インター。ここで高速を降り、後は8号に戻る。通行券はポケ
ットに入れていたんですが、ふやけて使い物にならなくなり、読み取り機に通すことが不能で、 
料金所のおぢさんには御迷惑をお掛けしました。インターで、たまたま後ろについたツーリング
帰りのオネエサンと少し談笑。「いや〜、雨はろくなもんぢゃないですね!!」で、通行料金は
1700円也。19時半頃のことでした。雨は上がり、国道8号を進む。明るい柏崎市街を抜け、
曽地峠を越えて、ケツの痛さも疲労も空腹も(笑)限界に達した頃、ホームタウン長岡に。真っ
直ぐ帰ってもよかったが、ラーメンが食いたくなり、「ラーメンしみず・新保店」に寄り、とん
こつラーメンをいただいて、それからおうちに帰りました。なんせマトモな昼飯を食ってなかっ
たんで、熱いラーメンは幸せでしたよ。帰路は雨に降られ、それこそ試練でしたが、雨具忘れた
自分が悪いだけのことなんでね。いい教訓になりました。思い立って出た能登半島一周ツーリン
グは、820キロの道程を20時間で走り、多くの美しい風景の写真をお土産に幕を閉じました。

 あとがき

 能登有料道路上、道の駅「高松」にて「石川の道の駅・ガイドマップ」をもらってきたんです
が、雨でグチャグチャになりました。捨てようかとも思いましたが、乾かしたら使えそうなんで、
大事にとってあります。ボロボロなんですが、それがまた雨の試練を思い出させてくれて・・・。
 日帰りで行くには、時間的な制約がありますが、能登半島は情趣豊かなステキなところでした。

                                  〜THE END〜 
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