設計の差
 
 今までに2回ほど途中までやったことはあったのですが、7 years world war(S&T221)を3人で初めて最後までやりました。これは7年戦争を世界規模でやるというSoldier kings(AP)と全く同テーマのゲームですが、マップは必要部分の抜き出しではない完全な世界地図となっており、満州やマラータ等世界中の勢力が活動できて、まさに世界戦争といった作りになっています。
 過去のプレイでゲームはなかなかおもしろいけれど、ついているシナリオではバランスが悪いと感じていました。そこで今回はABCCBの順に国を選ぶことにしました。Aが一国だけなのは、イギリスが二国分くらいの強さを持つためです。
 選択ルールは使用せず、順序決定は完全にフリーキャンペーンマーカー順にし(本来は1位から時計まわり)、勝利は少しでも成長率が大きいプレイヤーとする自作ルールをいれました。座席位置の運や不必要な引き分けをなくすためです。杉さんがイギリス、Y君がフランスとスペイン、私がロシアと満州を持ちます。

 第1ターン外交を引けず海外領土争いに専念する英仏西を尻目に、私の露満同盟は2枚の外交3(最強)でオーストリア、プロイセンを同盟に引き入れ(確率各3分の1)、能力3の将軍と2の提督(共に最強)を引いてロシア軍の大改革を成し遂げます。私はいきなり圧倒的優位に立ち、フランスの国境守備軍を撃破し、ロシア、満州は周囲に拡大をはじめます。
 第2ターンから英仏はとりあえず協同を話し合うものの、陸上戦力の不足から有効な反撃策はありません。しかし東側のフランスへの攻撃も、Honors of war(敗北による損害をキャンセル)をイギリスから出され、要塞(退却無視の効果がある)を抜けません。また満州はインドへ侵攻したいところですが、マラータの取り込みに失敗し道が開けません。
 第3ターンになると戦力に余裕の出てきたヨーロッパ勢は、フランスがビルマに攻撃拠点を築き、イギリスは満州本国へ上陸を始めます。満州は対応に追われ、しかもフランス攻撃は再びHonors of warで頓挫し、大快晴だった雲行きが怪しくなってきます。
 そして最後の仏西の番が回ってくると、両国は軍の大半をウィーン前面に集め、倍の兵力で要塞に連続攻撃をかけます。強力な攻撃にオーストリア軍は壊滅。流れは一気に傾きます。
 そこで第4ターン東側諸国は戦力をプロイセンに集結し、1対1でのウィーン反撃の賭けに出ます。しかしこれは攻撃側退却となり、仏西同盟は逆に裸になったベルリン要塞とオーストリアの残りを占領してしまいます。しかも仏西は艦隊戦力でもイギリスを上回り始め、もはや勝利は目前です。
 第5ターンの生産ではオーストリアとプロイセンにはとどめの要塞が築かれ、仏西同盟を崩すことは不可能になったように思われました。しかしそれにめげず、まずイギリスは1の弱い外交(6のみで成功)で、ユナイテッドプロビンス、マラータと、外交的大成功を収めます。さらに満州から戦力を引き揚げて、インド、スペインに侵攻します。
 そして露普軍は維持費を度外視して可能な全戦力を集結し、オーストリア東部要塞とベルリン要塞に同時攻撃を開始します。と言っても要塞相手では一撃で落とせる可能性は高くありません。
 最初のオーストリアへの攻撃は2対1で、占領できるのはサイの目6の防御側全滅のみですが、なんと成功。そしてメインのベルリン奪還戦は額面4対1ですが、西側は将軍を出して3対1となり、成功率は3分の1となります。そしてさいの目は1で結果は「血の風呂」(相互損害)でかろうじて占領。と思ったその時、出てきたのはイルミナティ!サイを振り直せるチットです。
「いいのかなあ?」
からからから・・・こん・・・6・・また防御側全滅
杉さん「姉歯に要塞の設計させたね。」
仏西同盟の防壁は脆くも崩れ、この年は東方同盟にとって奇跡の年となりました。
 第6ターン、スペインや海での反撃のため、オーストリアやビルマから仏西軍はすでに撤退しています。弱った仏西に対し、イギリスはアメリカでスペイン領を切り取り、インドの支配を確立します。そして東方同盟はウィーンを無血占領した上で、ユナイテッドプロビンス本国も占領し、満州は東南アジアの覇権を握ります。
 最終ターン仏西は最後番を生かして逆転したい所です。ところが、西インド諸島に集結する仏西連合艦隊が、イギリスのしかけた壊血病でいきなり3分の2を失って壊滅状態に。反撃の片翼が失われます。ヨーロッパでも東方同盟は鉄壁の要塞を築き、一部はイタリアまで進撃しています。
 しかしここで仏西は、最後の賭けを立て続けに成功させます。まずイタリアを低比率で落とし、マーカーを稼ぎつつウィーンを連続攻撃で攻略。そして最後はオーストリアを突破して、無防備のベルリン要塞を最大比率振り切りで攻撃し、2以外で占領という状況になります。結果は?
からからから・・こん・・2・・
「設計が違うよ」
 辛くもベルリンは残り、勝利得点計算に入ります。アメリカや交易路を失ったフランス・スペインのY君はマイナスで3位。そしてごくわずかの差で、東方同盟の私が1位です。計算してみると、最後ベルリンが落ちていたら、杉さんが逆転して1位になるところでした。

 このゲームはシナリオを気に入るように作りさえすれば、付録ゲームとしてはよくできていておもしろいゲームです。
 土地ごとの維持制限により、いつでも全軍を集結している訳にはいかず、戦線も広いので、1回の戦闘でバランスが崩れることがありません。また維持費を払ってでも戦力を集中するか、分散して生産力の拡大、兵のレベルアップ、マーカーの獲得をねらうかなど、戦略の幅があります。
 同じテーマのSoldier kingsと比べても、少人数でやれて、時間も3人で7時間と、手軽になっています。ただしこの7 years world warはかなり自由なので、私にはヒストリカルに見えるSoldier kingsでさえ「歴史的にみてかなり問題」と感じる人は、泡を吹いて気絶しなければならないでしょう。しかしそうでない人には、値段も安くなかなかお勧めの作品です。

 
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