面倒
 
 コマンドの戦略級南北戦争のルールを英文と共に読み返してみましたが、前回気づいた以上に元ルールの矛盾や、日本版の誤訳、脱訳、勝手に加えられた謎ルールが多く、難儀しました。
 5.2と9.0で戦闘後再移動ができるか違う(今回できないことにしました)。6.0と16.0で騎兵にZOCがあるか違う(ないことにしました)。11.6と13.2で輸送船が砦を通過できるか違う(できることにしました)。11.7と11.8で非補給の砦が戦闘時の不利益を受けるかどうか違う(受けないことにしました)。水上戦闘終了後再移動できるか書いてない(本誌リプレイではできるように書いてあります。しかしできることにすると、損傷を受けて強制帰港した船が修理された後再移動できないとも書いてないので、攻撃と修理を永遠に繰り返せてしまいます。なのでできないことにしました)。4.1.2でインディアナ、オハイオ州に北軍河川艦隊が置けると書いてあるのに、ここにはミシシッピ川もミズーリ川もなく置けない(オハイオ川にも置けることにしました)。気づいた元ルールの不備はこれくらいです。
 また日本版のおかしい所で前回以外の主なものは次の通りです。5.3.4の例は原文に無く、ルールと矛盾する(無視)。8.4.2兵站基地は補給下でないと作れないことが抜けている。9.0対応移動で戦闘になった時、攻撃側になるのはアクティブな部隊ではなく、対応移動した部隊。9.10.4一つ目の黒丸で、攻撃側の来たへクスとそれに隣接するへクスに防御側が退却できないルールと例は、原文に全くなく勝手に付け加えられている(無視)。10.2単独の指揮官はEZOCや非補給へクスに入れないのに、全く逆のことが書いてある。13.6四つ目の黒丸で、同時射撃同時適用と書いてあるが、原文にはなくその後のルールとも合わない(無視)。15.1北軍が占領して+1になるのはナッシュビルではなくチャールストンである。15.4一つ目の黒丸で、及ぼせないのはZOC両方ではなく副ZOCのみ。
 あまりにルールに問題が多くてぐったりですが、ゲームそのものが良ければと思って、再戦開始です。前回と同じく子供が南軍私が北軍です。

 ケンタッキーが参加するまでリッチモンドは固く、北軍がミズーリを迂回しても南軍は対岸をしっかり守っているので、陸上ではあまり動けません。北軍は北部の都市と川沿いに無料の砦を作りまくり、順次沿岸要塞に上陸して海上封鎖を強化します。南軍は砦がほとんど役に立たないことに気づいたので、河川艦隊、装甲艦、兵器廠、メリディアンとセルマ間の鉄道を作りながら、ケンタッキー前面の防衛線を作ります。
 ケンタッキーが参戦したのはやっと第5ターンの終わりでした。第6ターンには両軍の大作戦が始まります。ケンタッキーに侵入する北軍、回り込んで補給を切りに来る南軍、補給を回復しながら鉄道を切りに行く北軍。さらにアラバマのモービルとフロリダとフェルナンディアに上陸していた北軍は、大々的に内陸部に侵攻し、チャールストンを占領したり、河川艦隊による上陸と共同してミシシッピやアラバマで南部の連絡網を分断したりします。南軍もそれに対して反撃して都市や連絡線の奪還を試みます。
 その結果南部の経済価値は13になり、そこから政治情勢3を引いた勝利判定値は10で、生存値9をなんとか上回り南部は生き延びます。あちこちから攻められる南部は守るのが大変です。このターン南部が後番だったので切れた線を奪還できましたが、南部が先番だったら負けていたかもしれません。
 しかしこの広大なマップのあちこちで複雑な連絡線が引かれており、これをどのように切ったり守ったり奪還したりするかを考えるのにものすごい手間が掛かって、第6ターンだけで2時間半もかかってしまいました。これをさらに続けるのは面倒すぎてしょうがないので、ここでやめることにしました。

(水色の駒は砦の代わり、黄色の駒は北軍支配、紫の駒は南軍支配)

 多数のルール不備を乗り越えても良いゲームであればと思いましたが、これはちょっと面倒くさすぎます。プレイ時間4時間って、どうやったらそんな短時間で終わらせられるのでしょうか。
 塹壕に籠る防御側に対し攻撃側が3倍いてやっと互角というのは、歴史的に正しいシステムで良いと思います。マクレランが3倍の兵力でないとリッチモンドを落とせないと言ったのは正しく、これを批判する愚かな連中を痛烈に皮肉っているのは爽快です。しかし北軍は正面攻撃で勝てないがゆえに、迂回して鉄道線や水路を切りに行くことになりますが、海側も含めた全てのユニットが自由に動ける上、特定の都市だけでなく非常に多くの地点が目標になるため、ゲームは非常に手間の掛かる迂回パズル合戦になります。
 主力による決戦があまり無く、神経を使うこのような機動戦が好きな人にとっては、良いゲームなのかもしれません。しかし私には疲労感の方が先に立ち、これ以上やる気になれません。
 やはりポイントトゥポイントで機動範囲を限定し、1ターン最大7スタック(キャンペーン除く)に行動量も限定し、師団単独の行動も制限したFor the Peopleは、プレイしやすさと現実性を両立した進んだゲームだと思います。

 
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