異民族の草刈り場
カロリング朝の黄昏(Carolingian Twilight: Decline of an Empire AD814)をやりました。これはカロリング朝で最盛期を迎えたカール大帝亡き後、分割された帝国内の争いと異民族侵入の多人数ゲームです。S&T誌の付録ゲームですが、ギークでやたら大絶賛されていて、ステマじゃないのかと疑いながらも買ってみました。
プレイヤーは分割されたカロリング朝の一国を受け持ちますが、同時に入札によって異民族の指揮権も取れます。さらにもし自国が滅ぶと、異民族の一つに成り代わって自分を滅ぼした相手に復讐できるので、安易に他国を滅亡させるのを抑止しています。プレイヤーを表すリーダー駒がそれぞれあって、これが除去されるとプレイヤーは異民族になって、勝利はできず他国の邪魔だけしかできなくなるのです。勝利は終了時の支配と外交点によって決まる勝利段階で決まります。
都市は勝利点、順番決定、異民族獲得、部隊維持召集に使える外交点を産出し、これは貯められます。一方地域からは、部隊維持召集にのみ使えて貯められませんが、よりたくさん貰える召集点が入ります。
ヴァイキングの襲撃後、各プレイヤーと異民族は、維持召集と作戦を行います。部隊は、安いが脱走・寝返りに弱い民兵、標準的な戦士、強力なショック攻撃が選べる野戦軍、浸透し易く異民族が雇うとと安く寝返らない遊牧民、海上移動に必要な艦隊があります。作戦はスタックごとにサイを振って作戦ポイントを決め、その範囲で移動、戦闘、略奪等を行います。
担当は子供が西フランク王シャルル2世、Y君が東フランク王ルートヴィヒ2世、私が中フランク王ロタール1世です。
最初に考えるのは順番取りで、普通なら後番が有利なのですが、このゲームで外交点はゲームターンの最初に入るものの、召集点は自分のプレイヤーターンの最初に入るので、先番でもそれほど不利ではありません。そういう訳で誰も入札せず、中フランクから選ぶことになり、以後のターンは前回先だった国から選ぶことになりました。
次に異民族の獲得。攻められると嫌なので、皆自分に近い所を取っていきますが、中でも一番強力なビザンチンは一番外交点の多い中フランクが取りました。そしてヴァイキングは中立のブリタニーを荒らし尽くします。
異民族は可能な限りフランク領へ進むことを強制されており、スラブとムスリムが中フランク、ビザンチンは東フランクに攻め入ります。そして当然東西フランクは、国力が高くて両者に挟まれている中フランクを攻めることになり、要衝ロタリンギアは東フランクのものになります。このゲームの戦闘は攻撃側が圧倒的に有利なので、中フランクはそれを止められず、代わりにイタリアで価値の高い教皇領を占領しました。

第2ターンのヴァイキングは地中海までやって来て、南仏セプティマニアが壊滅。中フランクが支配権を握ったスラブとビザンチンの総攻撃により、東フランクはボロボロ。一方で中フランクも東西フランクと異民族の攻撃によって勢力は大きく減少しており、西フランクがロタリンギアを取ってやや優勢になってきました。
しかし第3ターンには、ヴァイキングが西フランクの中心パリとフランシアを破壊しつくします。さらにビザンチンがはるばるプロヴァンスとロタリンギアにまで到達し、東フランクが止めを刺して、その両方を失った西フランクはボロボロ。しかしそのために中フランクは外交点を使い過ぎたので、次ターンには西フランクに操られたビザンチンに襲われて、これもボロボロになるでしょう。
もうカロリング朝は異民族に刈り取られてすぐに滅亡する未来しか見えないので、ここで終了です。

だいたいがディヴェロップ不足でアイディア倒れのミランダ先生のゲームシステムをうまく利用して、ゲームになりそれらしい時代の雰囲気にしているのは評価できます。しかし異民族があまりにも強すぎ、カロリング朝は数年で滅亡してしまいます。またユニットごとにサイコロを振って作戦をさせるシステムや、ビッティングは時間を食い、1ターン2時間くらい掛かります。
そこそこ良くはなっていますがやはりまだディヴェロップ不足であり、ギークの大絶賛はステマか過大評価でしょう。異民族を弱め、ターンを短くするルールを考えてみます。
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