野戦や攻城もまず外交と備蓄から
三国群雄伝〜覇者的時代〜をやりました。これは中国の黒猫デザインワークショップによる多人数戦略級の三国志ゲームです。三国志の戦略級としては珍しいヘクスマップで、山や河を越える時は山岳道や渡り場を通らなければなりませんが、そのような場所は移動力が余計にかかります。このゲームでは戦力×消費移動力の金を払う必要があり、大軍を遠くに動かすには備蓄が必要になります。
そして各所には補給と防衛の拠点となる城塞都市が点在しており、この攻略がゲームの中心です。城市にはそれぞれ異なる、籠城と包囲に影響する規模、金を生み出す経済力、攻城に耐える城防があり、強化することもできます。
1ターンは1年で、ランダムな順番決定、イベント、税収(敵軍の存在やイベントで増減する)、外交(金、城市の交換や外交能力による強制休戦)後、順番に従い各プレイヤーは行動します。
行動数は支配する城の数で決まり、以下の事ができます。募兵、水軍建造、出征(移動・戦闘・攻城、揚子江では河川移動や水軍戦闘もできる)、将軍異動、士気回復、城市強化、城修復、屯田、人材登用、捕虜登用です。終了後行動数までのユニットを戦略移動し、補給、維持(城外駐屯時のみ)を行い、城規模の4倍の兵力があれば包囲戦ができます。
戦闘はまず一騎打ちをし、負けた方は士気−1されます。続いて野戦では主将の統率力が高い方から先に攻撃し、その差分だけ多くサイを振って高い方を選べます。サイの目からは減った士気が引かれ、突陣した武将がいれば+1されますが、その武将は目によって死亡する可能性があります。最後に軍師の計略か、士気回復、撤退を行って、どちらも全滅・撤退しなければ、次ラウンドを行います。
勝利得点は、全州支配2、州の一部城支配1、伝国璽保有2、献帝保有3、帝を称する4、名声最大2で、最も多いプレイヤーが勝利します。
今回のシナリオは全6ターンの中原繚乱で、董卓の死後、袁紹・曹操・劉備・袁術・呂布・公孫サンの六雄が中原の支配を争います。本来は6人用シナリオですが、魏・呉・蜀の3人シナリオはどう見ても既に魏が勝っているので、一人が二勢力を持ってやることにしました。また未占領の城市が早い者勝ちのタダ取りというのも変なので、守備戦力2を置くことにしました。
最初と最後に選んだ私は、統率力最高(4)の曹操・曹仁、武勇最高(6)の許チョ、策略が単独最高(5)の郭嘉・荀イクを持つ曹操が明らかに強そうなので、まずこれを選び、最後に残ったのは戦闘力だけでほとんど役に立たなそうな呂布です。2、5番目に選ぶ子どもは、策略では劣るものの、統率と武勇が曹操陣営と同等の関羽と、同等の武勇の張飛を持つ劉備に、能力的には非常に弱いものの、大きな勝利得点である伝国璽が後で手に入る袁術にしました。3、4番目のY君は北方の盤石さから袁紹と公孫サンで、公孫サンも趙雲がいるので弱くはありません。
第1ターン劉備は、このシナリオで引ける中では最高の策略4を持つ徐庶を引き当てます。劉備・袁術陣営は伝国璽が約束されていて、そのままなら勝利得点最高になるので、これは大きいです。そして曹操は曹仁を派遣して許昌の占領に成功しますが、袁術は自ら攻めた汝南の攻略に失敗しました。袁紹・公孫サンはさしあたり取れる所が無いので、屯田と戦力増強です。
第2ターン、袁術は幸い先手を取れて、汝南を占領しました。劉備も青州で北海を、袁紹もヘイ州で上党を取りました。しかし曹操はもう取れる中立城市が無く、いくら戦闘に強くても籠城されると戦闘能力は役に立たないので、他のプレイヤーを攻めることもできません。呂布も城市が1つしか無いのでやはり何もできません。実は曹操不利だったのでは?
第3ターン、袁紹はヘイ州を完全支配しました。このターンに孫策が去って伝国璽を手に入れた袁術・劉備は守っていれば勝ちなので、ひたすら兵力と城市の増強に努めます。焦る曹操陣営。でも何もできないので、兵力を増やしながら時を待ちます。

第4ターン、前のターンに幽州を完全支配した公孫サンでしたが、このターン匈奴の大軍に攻められ、防ぎ切れずに北平を略奪されてしまいました。次の曹操は袁術・劉備を何とかしないといけませんが、先番で攻撃するのは不利なので、やはり兵力と城市の増強しかできません。呂布などもう何の気力も無く、貂蝉と酒池肉林に溺れるだけ(1しかない行動数が1減って0になる)。
第5ターン、いい加減動かないと袁術・劉備が勝ってしまう。しかし行動はまたも彼らが後。そこで曹操は荀イクを後番の劉備に送り、和平を結んで袁術を攻撃する策を取ります。外交力5の荀イクなら、4の徐庶を説き伏せてくれるはず。が越えられなかった。しかし荀イクには4以上の目で和平を成功させる秘術巧舌の才があった。が3以下だった。荀イクは格下と思っていた徐庶に外交戦で敗れ、斬り殺されてしまいました。もう袁術と劉備の野望を止める術は無いのか?
第6ターン、またもや劉備は最後番。このままではどうにもならない。しかしこの時曹操に名乗り出て「我にお任せを」と言う者が居た。その名も婁圭。外交能力は3だが、戦闘に必要な郭嘉を出す訳にはいかないので、曹操は彼に全てを任せた。そしてまたもや徐庶に会う婁圭。「こんな者を寄こすしかないとは、曹操も落ちぶれたものよ。」ところが婁圭は見事徐庶を説き伏せ、和平を結んでしまった。これで曹操にも何か可能性が?
そしてまず袁紹の番。外交能力ゼロの呂布は、言われたら何でも聞く。袁紹「貂蝉をもっと可愛がってやりな。」呂布「はーい!!」曹操「袁紹攻めろと言っただろ。」そして実は袁紹、これまで頻発する飢饉に対し、繰り返し民衆を救済し、絶大な名声を得ていた。そして背後の安全を確保した今、青州で劉備の城市を落とし、勝利得点を9に延ばした。
ここで曹操が動く。何処へ?陳留から遠く離れた袁術の籠る廬江へ!ほぼ移動最大限の遠方へ巨大な軍を動かすには、莫大な資金が必要となるが、曹操はこれを狙って貯め込んでいたのだ。廬江の城はこのような大軍に耐えられる程の備えがされておらず、ひとたまりも無く陥落した。伝国璽を奪った曹操はその場で帝を称して、一気に勝利得点9となり袁紹陣営に追いついた。
そして残るは劉備だが、和平を結ばされた曹操を攻めることはできないので、袁紹を攻めるしかない。圧倒的な統率、武勇、策略、そして新兵器の連弩により、袁紹の軍は瞬く間に壊滅させられ、城は奪還された。
これにより劉備・袁術陣営は、領土を一つ回復して勝利得点7、袁紹・公孫サン陣営は領土を一つ失って8となり、勝利得点9の曹操・呂布陣営の勝利です。この勝利をもたらした婁圭は、曹操に末永く重用されたことでしょう。

今まで三国志のゲームは旌旗蔽空が最高だと思ってきましたが、この三国群雄伝〜覇者的時代〜はさすが本場中国のゲームで、それを超える点が多々あります。この規模の古代戦でヘクスマップはどうなんだと一見思いましたが、これにより城市を巡っての行軍と攻防、険しい山や大河等、三国志の雰囲気を非常に良く表現できています。
また十分な守備戦力のある城市は強固で、前半の少ない戦力では攻めようがなく、籠城されると野戦能力の強さも生かせません。しかし後半戦力が貯まって包囲・強襲が可能になると、城を守るには野戦をするしかなくなり、統率・策略・武勇といった野戦能力に加え、敵の攻撃を強制的に止める外交能力が重要になってきます。
他にも様々な要因で変化する名声が勝利得点や人材登用に影響したり、内政能力によって城の損害の修復や強化のコストを下げられたり、統率力のある守将がいない城市は包囲されると落ちやすかったり、単に兵力を増やすだけでなくそれを動かすための金(つまり物資)の備蓄をしたりと、旌旗蔽空では省かれていたような三国志らしい要素があって、武将の数も多くおもしろくなっています。
もちろん時期が進むと曹操が圧倒的になってくるので、赤壁の頃のシナリオでは2〜4人用となっていても、実質曹操対反曹操の2人戦以外はゲームにならないでしょうし、三国鼎立後のシナリオは全く勝負になりません(呉・蜀を合わせても魏の国力の半分に満たない)。しかし代わりにエポック三国志演義のようなランダムスタートシナリオがあり、セットにはシルエットのみの無名武将までいて(女性らしき人もいる)、これも楽しそうです。
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