神々の海
 
 かさいさんがJulius Caesar(Columbia)をY君から借りて来てくれて、長岡PBの例会で2回やりました。カエサルとポンペイウスのローマ内戦がテーマのブロックゲームです。私は初めてのプレイで、かさいさんはY君と対戦経験有り、初期配置は自由配置の選択ルール使用です。
 最近のブロックゲームはカードドゥリヴン風のものが多くなっていて、これも似たタイプですが、このゲームではアクション選択式ではなく、カード1枚で作戦と徴兵が両方できるのが特徴となっています。そのため徴兵ばかりやってゲームが動かないということがありません。
 戦闘は防御側有利で、特に海峡は移動が制限されるので、基本は戦線が膠着しやすいシステムです。しかしそれを破るため、イベントとターンオーバーが用意されていて、結構戦況は変わります。1年の終わりにスタック制限を超えるユニットは無条件除去というのも、悩みどころです。


 初戦は私がカエサル、かさいさんがポンペイウスです。
 1年目、カエサルは多くの兵力をイベリアに送り、ポンペイウスの軍を追い立てます。残りの軍はイタリア半島に進み、逃げ遅れた1個軍団をマーキューリーで捕まえて撃破します。ポンペイウスはネプチューンを使えずじまいになるものの、かなりカードが良く兵力は十分増強されて1年目を終えます。
 2年目、海軍を整えたカエサルは、ネプチューンでポンペイウス艦隊に大打撃を与え、制海権を握ります。イベリア半島も完全制圧し、逃げていた1個軍団を撃破します。ポンペイウスは各地に散っていた兵力を集め、戦闘準備を整えています。
 3年目、カエサルはアドリア海越えと陸路の部隊でバルカン半島に侵攻します。サロニカに集結したカエサル主力は、共に4ユニットのポンペイウス軍が守るアテネとビザンチウムのどちらを攻めるか考えますが、その後に取れるものが多いビザンチウム方面を攻撃します。最精鋭のカエサル本隊に比べ、ポンペイウスの軍は弱体で、同数の正面攻撃に脆くも撃退されます。これでカエサルの前には無人の小アジアが広がりました。
 4年目、ポンペイウスは海上移動で兵力を動かし、アンティオキアだけは固めるものの、エフェススは陥落し、ついにカエサル側がVPで上回ります。さらにカエサルはまたネプチューンでポンペイウス艦隊を撃破し、ユピテルでシシリアの海峡防衛部隊を寝返らせます。ここでポンペイウスはアテネを捨ててビザンチウムを攻撃してこれを奪いますが、カエサルの艦隊は空のアテネを占領し、支配数は変わりません。

 最終年、アテネにカエサル側の増援が到達して守りを固めます。ポンペイウスはそうなってももうチャンスはそこしかなく、ビザンチウムの5個の内4個でアテネを攻撃しますが、兵力で勝る防御側に勝つことはできず全滅してカエサルの勝利です。ついでにカエサルはマルスでビザンチウムを1対1で攻撃しており、アテネで勝敗がついたので戦闘解決はしませんでしたが、やればこれも取れていたでしょう。

 立場を入れ替えて2戦目。1年目、ユピテルによりヒスパニアでカエサル軍から寝返りが出ます。怒ったカエサルはこれを倒すべくマルスで自ら先制攻撃を掛けますが、ポンペイウスは精鋭を集めていた上に艦隊の支援も受け、カエサルは敗北します。またカエサル側の分遣隊はバルカン半島に到達し、アテネとビザンチウムを占領しました。ポンペイウス側も対岸の大都市エフェススを占領します。
 2年目、アンカラで徴兵するためやって来たカエサルの軍団が、またしてもユピテルで寝返ります。徴兵された方の軍団も単独で取り残されて囲まれ、アンティオキアに突撃してみますが、バリスタに撃たれて一方的に倒されます。最終ターンには手薄なギリシャに、ポンペイウスは3ユニットを上陸させます。一方西方では、カエサルは建造していた大艦隊を出撃させてイスパニア海の制海権を奪取。さらに最終ターンに艦隊の支援を受けてタラーコのポンペイウスを撃破します。
 ポンペイウスは1年目に艦隊をノヴァカルタゴに帰還させていましたが、ウティカを空けてそこに帰還させておくべきでした。それであればタラーコでは有利な第1ラウンドだけ戦って、カエサル艦隊が着く前に全軍撤退できたのですが、ノヴァカルタゴが一杯では2部隊しか退却できません。また艦隊も閉じ込められて分断され、制海権を奪われ続けることになってしまいます。
 3年目、ポンペイウスはアテネを占領し、さらに1軍団をラヴェンナに単独前進させ、撃破されたラヴェンナ軍団を再建して戻ってきます。ポンペイウス側は8VPを保持して戦線は安定しており優勢です。
 4年目、ポンペイウスはシシリアに来ているカエサル2個軍団を上陸から包囲攻撃して、一気に勝負をつけようとしますが、プルートで海峡を渡って一角を崩されてしまい失敗します。さらにポンペイウスはアフリカに来ていたカエサル2個軍団を撃破しますが、その隙に空にしていたウティカを敗残兵と艦隊に占領されます。
 ここはポンペイウス第二の失敗でした。勝った後には再編でウティカに戻れたのに、それを忘れていました。

 5年目、カエサルは先手を取ってウティカに戦力を集結します。ポンペイウスは艦隊の支援で反撃も考えていましたが、その次のターンにカエサルはバルカンでポンペイウスの集結した主力に大打撃を与え、それどころではなくなってしまいました。そしてカエサルは第3ターンに東に戦力を動かし、アレキサンドリアを狙います。ポンペイウスはこれを追いかけても間に合わず、アレキサンドリアが落ちてカエサルの勝利となりました。
 実はここでもポンペイウス第三の失敗がありました。ローマの守備隊は弱く、ティレニア海に集結していた艦隊を、持っていたネプチューン(艦隊用だが上陸作戦でも使える)で突入させれば、ローマを占領して勝っていた可能性が高かったのです。


 簡単なルールと少ない駒数ながらなかなかおもしろいと思います。Triumph & Tragedyに続き、ブロックゲームはいまいちという印象をまた覆されました。ヒストリカルゲームなのに「神様」が出てくるのは何だという考えもありますが、これが無いとゲームが膠着してしまうので外せない要素でしょう。
 バランスは良好ですが、海に隔てられた複数の戦線と制海権に気を配らなければならないポンペイウスは、よく注意しないとミスが出やすいようです。今までやったローマ内戦ものはどれもおもしろかったですが、このゲームでは政治的影響や兵の練度等が無い代わりに、ヒスパニアでもポンペイウスがかなり戦えて(自由配置の場合)、他正面作戦の興味深さが増しています。単純なルールながら制海権の重要さもよく表れています。
 

 
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