ミランダ先生の成功作
S&TのMarlborough: War of the Spanish Successionを、Y君が大同盟、私がブルボンでやりました。ミランダ先生による2006年の作品で、いつものシステムを散りばめながら、マールバラ公の活躍したスペイン継承戦争を再現します。
ゲームの流れは、まずイニシアティブ、イベント後、収入と購入になりますが、このゲームでは外交によって変わる国の支配と、部隊を置くことで決まる都市の支配が分かれていて、経済都市を支配している側がそこの収入を得ますが、国を支配していないと半分しか入りません。また包囲されている都市の収入は全く入りません。
購入では、部隊とキャンペーンマーカーを手に入れ、部隊は野戦軍、攻城軍、義勇軍、戦列艦隊、フリゲート艦隊があり、それらは新兵面とベテラン面があります。いつものキャンペーンマーカーは、行動済みでも再移動できる強行軍と、外交マーカーが主なもので、傘下の大国からも無料で受け取れます。
次に作戦では、交互に1つのヘクス内で任意のユニットを活性化し、移動して戦闘を行えます。移動は部隊内の最低移動力に指揮官の能力を加え、さらに河沿い移動では+2されて、マールバラ公の大機動を再現するルールになっています。
戦闘は隣接ヘクス戦闘で、野戦と攻城戦を同じルールで解決しますが、最初に両者が野戦・攻城に分かれた戦闘計画を選び、その組み合わせによって戦闘のコラムシフトが変わったり、包囲状態になったり、退却・講和したりします。戦闘になると戦力比、地形、指揮能力、戦闘計画でコラムが決まり、ミランダ先生で良くある「血の海」「半壊」「全滅」のブラッディなCRTです。勝利のレベルによって、部隊のベテラン化、パワーバランスの変化、キャンペーンマーカーの得失が起こり得ます。また包囲には攻城軍が必要で、包囲されると要塞は防御効果(−3シフトと退却無視)を失い、出入りができなくなります。
両者が連続でパスすると作戦が終わり、補給になります。部隊に規定の維持費を払いますが、敵部隊やZOC、包囲によって補給線が引けない場合、3倍の維持費が必要です。そして国の支配数に応じてパワーバランスを調整し、外交で国の支配を動かします。パワーバランスが自分に傾いていると、外交で有利になりますが、不利なイベントが起こりやすくなっています。また外交で大国を動かすのは、難しめになっています。
規定のターンが終わるか、パワーバランスが12を超えるとゲームが終了し、国と経済都市の支配で勝利が決まります。
ブルボンは配置範囲の広いフランスをどう置くか悩みますが、英艦隊迎撃と国境の戦闘の両方に対応できるルーアンに艦隊と陸上主力を配置し、入りきらない残りの部隊を攻城のためセダンに置きます。
1701年、フランスはまず、最初から奪われているリエージュを包囲して防御効果を無効化し、続けて別の部隊で強襲して奪還に成功しました。対して大同盟はオーストリアが、最優秀の3修正を持つオイゲンで、修正1のマクシミリアンが守るババリアを攻撃します。するとマクシミリアンは虚を突いて逆襲。オイゲンは混乱して大混戦となり、インゴルシュタット要塞は落ちませんでした。
続いてフランスは、もう一つの奪われた都市アントワープに、2修正のベリック公を送ります。徹底抗戦の構えを見せた守備側に対して、ベリック公は内紛を仕掛け、4:1から要塞−3、指揮+2、攻囲マトリクス−1で2:1。見事一撃陥落に成功しました。その後フランスはケールを包囲し、英仏の主力は互いににらみ合ったまま作戦を終えました。
外交ではブルボンが、パワーバランスを利用して1ポイントの外交をジャーマンステイツに仕掛けます。ここは広くて収入も多く、脱落すると大きいところでしたが、結果は失敗に終わりました。

(白ダイヤはブルボン、赤ダイヤは大同盟の支配国)
1702年、ここでイベントにより、オイゲンがババリア攻略失敗の責任を取らされ、解任されてしまいます。購入では大同盟が生産余力のある大国の部隊を主に作ったのに対し、ブルボンはキャンペーンマーカーとババリア軍を最大限買いました。
作戦ではまずフランスがケールを落としたのに対し、オランダがアントワープを包囲し、再占領してしまいます。しかしここでケール攻略を終えていたベリック公が、一緒にいたストラスブールの部隊と強行軍し、アントワープのオランダ軍に襲い掛かります。そしてオランダ軍が抗戦態勢の所を包囲し、さらなる強行軍で2:1の能力+2、強襲抗戦−2で、2:1そのままの戦闘となります。ベリック公はこれも見事撃破して名高い勝利を挙げ、キャンペーンマーカーを奪いました。
一方オイゲンのいないオーストリアはババリア攻撃を躊躇し、代わりにイギリス軍がフランスに上陸します。フランス主力から遠いボルドーで、攻略は強襲でも楽勝かと思われましたが、二度にわたって血の海で失敗し、その都度フランスに援軍を入れられて、三度目でようやく陥落しました。
こうして作戦が終わって外交。ここでブルボンはマーカーを山積みし、イギリスに大外交攻勢を仕掛けます。もちろんイギリスを失ったら負ける大同盟も、あるだけ積みました。外交値はブルボン14、大同盟6で、その差は8。そこからパワーバランス+1、英仏修正−1、イギリスの大国防御力−4で、最終コラムは4となり、イギリスは6で寝返り、4、5で脱落します。そして結果は5でイギリス脱落。
大同盟は戦場で押されている上に、イギリスの国力を失い、修正3のマールバラとオイゲンを両方失っては、もはやこれまで。ブルボンの勝利です。

(キューブは行動済み)
いつもアイデアに見るべきものはあるが、ディベロップがうまくいっていないことの多いミランダ作品ですが、これはトップレベルの成功作だと思います。全体の流れから細かい部分まで、うまくまとまっていて大きな問題がありません。交互移動と強行軍の駆け引きで、中小の攻城戦と、時に起きる大きめの戦闘や、主戦線正面攻撃と上陸攻撃や外交、維持、購入等、様々な要素がバランスよく絡み合って、考えどころの多い良いゲームになっています。
ブラッディなCRTですが、守りの薄い要塞を小戦力で攻めることが多く、負けても維持費が軽減されることから、大戦闘一回でゲームが終わることもそうそうありません。戦術マトリクスも、戦力や指揮能力の大小、陥落を急ぐのか、時間を掛けて安全に落とすのか等、状況によって選択が変わってきて、またそれを読んだ上で危険な賭けを仕掛けることもでき、うまくできています。色々な購入品の価格設定も丁度良く、キャンペーンマーカーも強すぎるようなものがありません。今回はたまたま外交マーカーが大きく偏ったのでイギリスが脱落しましたが、普通なら大国の脱落は簡単ではないと思います。
とはいえ今回は以下のように若干の補足をしてプレイしました。
・地形表に要塞の戦闘修正が書いてありませんが、ルール内に−3(3L)と思わせる書き方がしてあるので、−3としました。
・占領した他国の都市で、自国の正規軍を大動員できるのは、現実的にもゲームバランス的にも無理があると思うので、敵国の支配都市では守備隊だけ、支配している国の支配都市ではその国の部隊だけしか、作れないことにしました。
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