バランス・オブ・パワー
 
 Triumph & Tragedyを、子供がソ連、Y君が西側、私が枢軸でやりました。

 36年は皆ほとんどカード引きで、枢軸は8国と通商しスウェーデンを保護国に。他に西側はアメリカ、ソ連はスペインと通商。戦闘は無し。
 37年もほとんどカード引き。枢軸はハンガリーが同盟国、スウェーデン、ルーマニア、トルコが保護国、他通商7国。西側はアメリカが保護国になり、戦闘は無し。
 38年、枢軸はチェコ、トルコと同盟したものの、ルーマニアの保護をソ連に崩され、武力制圧されてしまいます。これは痛い。他にアメリカが同盟化。

 39年、枢軸はオーストリアを同盟化したものの、ポーランドの保護を失ったばかりかソ連の提携国にされてしまったので、そこへ武力侵攻。ここで枢軸が空軍主体であることが明らかになります。
 40年、枢軸はペルシャと低地諸国の通商を失い、工場は20あるものの人口は19、資源は14に落ちてしまいます。しかし秋の最後番を取った枢軸は、低地諸国に侵攻し人口20を回復します。
 41年
東西「そうかこれで20か。でも平和の分け前4枚で5VPはそうそうないだろう。」
枢軸「何で分け前だけで5VPと思ってる。秘密技術2つあるだろう?」
東西「あっ、原爆技術。まさか?」
しかし枢軸の勝利は無し。ビビらせただけ。
 実は枢軸、この時点で原爆技術も無ければ、平和の分け前も4枚引いてたった1VPだけ。しかも最初から空軍重視で配置したのに、空軍技術は西側からコピーした防空レーダーだけ。ルーマニアの資源を失って戦争も苦しく、どうにもなりません。戦争さえしなければ生産力だけは高いので、このターンは通商を失ったノルウェー侵攻だけして、他陣営とはとは平和を継続します。
 一方ソ連はフィンランドからスウェーデンと侵攻し、枢軸は人口、資源を失ってさらに苦しくなり、東西は均衡してきます。

 42年、スペインはソ連の同盟国になり、アルマダは出港してエーゲ海に向かい、スペインは空になります。この頃になると皆VPは均衡していると思われ、枢軸も高い生産力でかなり軍備を増強していてこれを攻めても得るものは無く、誰も宣戦布告でVPを減らそうとは思いません。ソ連がペルシャを武力制圧して終わりです。
 43年、インドやトルコが危険になったので、西側や枢軸はそこを増強します。そうなるとソ連も、無理な戦争をして宣戦布告と分け前の減少でVPを減らすようなことは避けます。
 44年も同じです。手を出した国が損をするだけなので、誰も手出しをしません。代わりに原爆技術でVPを稼ごうと、皆大投資を始めます。その結果西側は防空レーダー、重戦車と秘密技術2つ。枢軸は防空レーダー、ロケット砲、海上レーダーと秘密技術2つ。そしてソ連は重爆撃機、重戦車、海上レーダー、自動車化歩兵、精密照準と秘密技術3つです。
 最終45年。枢軸と西側は秘密技術を全て公開して、「原爆技術無いから攻めないでね。ジェッツや防空レーダーあるから戦略爆撃も無駄よ。」アピールをしますが、ソ連は2つ隠しているので、恐らく原爆で2VP持っているのでしょう。そしてやはり宣戦無く進んで秋、最後番を取った西側が枢軸、ソ連両陣営に宣戦布告。反撃を受けないのを利用して、がら空きだったスペインとノルウェーを無血占領します。宣戦布告の−2VPはスペイン分の人口増で相殺し、枢軸の生産力を少ない資源にまで減らして、VP競争から脱落させます。各陣営は1発も撃ち合うことなくゲーム終了です。


 勝敗は当然枢軸が最下位で、平和の分け前が10枚で9VPもあった西側が24VPで勝利。もしソ連がスペインを防御していたなどで、西側最後の攻撃が無かったとしても、枢軸の分け前は7枚で3VPしかなく、やはり西側の勝利でした。
「今までのゲームからして、突き詰めるとこういう全く戦わないゲームになってもおかしくないけど、デザイナーはこれを想定していたのかな?」
「このゲームのサブタイトルは、European Balance of Power「ヨーロッパ勢力の均衡」なんだから、まさにその通りの展開でしょ。」
「なるほど。そこまで考えていたとは、デザイナーすごいな。」
6年かかって初めてこのゲームの本質を知りました。
 
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