烏合の衆
 
 Triumph & Tragedy(GMT)のショートシナリオを最後までやりました。はやるさんが初プレイでソ連、かさいさんが西側、私が枢軸です。

 枢軸の当初の作戦は、まずポーランドを手始めに39年中はできるだけ多くの小国を手に入れて生産力を十分高め、それから1940年にどちらかの陣営に宣戦しようという、割と普通のものでした。そして春にはカードによる上限の5ユニットでポーランドに全力攻撃。まず軽く平らげる!
 はずが?なんとサイの目外しまくって、ポーランドが一撃落ちしません。それでも夏に先番が取れればまだ救いはあったのですが、ソ連に負けてポーランドの東側を奪われます。
 うぬぬぬぬ。いきなりこれはひどい。どうする?外交は比較的上手く行っていて、枢軸には資源があります。そしてソ連は前線に兵力をさらしている。これはもう今行くしかなーい!
 秋にドイツは対ソ宣戦し、バルト諸国、ポーランド東部のソ連軍に襲い掛かります。奇襲による先制攻撃でこれを殲滅しようという意気込みでしたが、結局全滅できたのはポーランド南部のみ。他は討ち漏らします。ソ連はその間さらにフィンランドも占領します。

 40年に入ってドイツはポーランドを完全制圧しソ連国内に侵攻しますが、要塞を含むソ連軍は想像以上に強く全然抜けません。結局反撃でソ連国内から撤退させられ、バルト諸国も奪還されます。ソ連強すぎ、というかドイツ弱すぎ、全然当たりません。枢軸は早くも絶望感にさいなまれます。その間西側は着々と生産力を高め、低地諸国を衛星国とし、ペルシャと提携しています。
 そして41年、ソ連は主力でポーランド北東部に侵攻。ドイツはここで密かに開発していた防空レーダーを使いソ連空軍を全滅させますが、地上戦力では勝ち目がないので撤退します。しかしこれだけ戦力を集中しているということは、他は相当弱いのでは?
 そこでドイツは南方で反撃に転じます。キエフ、オデッサ方面へ総攻撃、さらに空爆でブーリャンスクの守備隊を攻撃し、これらを一気に全滅させてモスクワへの道を開き、電撃的に勝利をもぎとろうというもくろみです。しかしキエフは討ちもらし、ブリャンスクも攻撃は当たらず、それは成りませんでした。
 ただソ連の突出した主力は戻れず、ドイツはハリコフまで占領して、ソ連は次の防衛が難しい状況です。さすがにこれを危険視した西側は、ここで枢軸に宣戦し、マジノ線を越えてドイツ南部を占領します。

 主要部を占領されてはたまらないので、ドイツは東部から戦力を引き抜き国内を固めます。西側もまだアメリカが来ていない状況でドイツ主力と戦う力は無いと判断し、兵力を引き揚げます。
 さて西側は枢軸と戦争を始めてはみたものの、大西洋と地中海に枢軸海軍がばら撒かれており、それらに阻止されて東方の資源、人口が全くイギリスに届かなくなります。イギリスは海軍を派遣してつぶしには行きますが、枢軸は空母と潜水艦で、みなするする逃げて退治がはかどらず、収入が大きく減少します。

 こうして42年以降はだんだん国境の要塞線が固くなって、互いに本国には手が出しづらくなってきます。そこでソ連とドイツはスカンジナビア半島の争奪戦に勤しみ、西側は空軍を整備して枢軸海軍を少しずつ掃討していきます。
 そして45年までには海上通商路を掃討し終えた西側が、勝利得点上有利になっていました。やはりフランスが残っているのは大きいです。そんな状態で迎えた夏、シシリーに退避していたイタリア潜水艦が、空いていた東地中海にぽっと突破してみました。するとなんと西側には秋のコマンドカードが無く、これを奪還できません。これで西側は東方の5資源を失い、勝負は分からなくなりました。
 あとはドイツとソ連の奪い合い。スカンジナビアで最後の攻勢をかけるソ連軍に対し、ドイツは一番薄そうなキエフを攻撃奪取に成功しゲーム終了です。ドイツは最後にロンドンへの戦略爆撃も行っていましたが、成果は無くドイツ空軍が全滅しただけでした。
 さて得点計算です。生産力は西側と枢軸が16で、ソ連が13ですが、枢軸の平和の配当は4枚でたった1点しかなく、宣戦による−1で16点。逆にソ連は4枚で4点もあり17点、西側は2点しかないものの、原爆技術1を開発していたことで、宣戦の−1を入れても18点で、西側の勝利となりました。ポーランド、ソ連と続けて侵攻が失敗した枢軸は、もう滅亡を待つだけかと思っていましたが、がんばってみた結果意外と良い所まで行けていました。平和配当が平均以上だったら・・


 3人用のゲームとしては珍しく、十分やれる出来だと思います。1日(ショートが8時間少々)でなんとか終わる第二次大戦ゲームとしても評価できます。またこのテーマのゲームにありがちな「史実以外の戦略はできない・不利になる」陰謀ルールが少なく、割と自由に行動できるのも良い点だと思います。
 対中小国外交は、これで収入状況が大きく変わるので重要である半面、かなり自由に妨害を行えるので、ちゃんと利己的に行動しないとただの敗者投票になってしまう危険もあります。
 原爆開発による勝利は難しく、1開発は1点にしかなりません。しかし突出した陣営は外交で止められやすく、最後は意外と僅差になりやすいので、可能なら開発する価値は十分あるようです。それ以外でも今回枢軸は重爆撃機、精密爆撃、防空レーダー、ソナー、西側はソナー、原爆1と前回よりは開発が進みましたが、やはり有用な技術はなかなか作りにくくなっています。
 各国はどの兵種でも自由に作れるので、枢軸がイギリスを上回る海軍国になることも可能で、西側は海上戦も油断できません。また空母は、艦隊相手には一発撃って逃げられる上、潜水艦に先制できるので、独立部隊として有力です。これらから生産力に直結する通商破壊戦も重要な焦点になってきます。
 
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