吾輩は国である
 
 吾輩は国である。名前はどいつ。生まれながらにヨーロッパを支配することを運命づけられている。気がしないでもない。
 生まれて初めての年。先輩にならってもらったご飯を全部食べちゃう。自分に投資ってね。これで育った特技を見て、その後の生きる道を考えるという寸法だ。
 何々?ジェッツと重爆撃機?ちょっと、これで吾輩に何をしろというの?おや、ぶりとん君が何かこそこそ開発しているぞ。それ、見せてみろ。ロケット砲?よし、それ頂きだ。ジェッツと重爆は持ち越して来年の様子をみよう。と思っていたらぶりとん君が仕返しにジェッツ1枚持っていった。にゃーん。
 後は友だち作り。あるだけの札をばらまいて、おーすとりあ君が親友、他にも友だちたくさんで、資源が15もある。

 二歳になった。数えでね。まず飛行機を4つ買った。重爆も取ってあるし。あとは投資4つ、命令6つ。本当は命令10個にしたかったけど、諦めきれない特技があって。これが後で尾を引かなければいいんだけど。
 そして、来た、これこれ。精密爆撃。そんなもの何に使うのかって?まあそれは後で分かるよ。これ作ると重爆は作れないけどまあいいや。
 あと外交で、はんがりー君とすうぇでん君も親友になった。いいんじゃない?でも大好きなポランちゃんは、あと一歩で振り向いてくれない。

 三歳の春。そびえと君が吾輩の友達ルマニアちゃんをいじめる。そうか、もうみんな子供じゃないんだ。吾輩がまだ工場なんて買っていたのは子供過ぎたのかも。
 ポランちゃんにもう一度アプローチしたけど、そびえと君が邪魔してやっぱり振り向いてくれなかった。そうだ、吾輩だってもう子供じゃない。もう待てないんだ。ポランちゃんを力づくでものにするよ。こんな事したくなかったのに。一緒にいたばると君まで力任せに倒しちゃった。そしてばると君のとこに目いっぱい積み上げちゃったよ。
 ルマニアちゃんは、必死でそびえと君の仕打ちに耐えてた。

 四歳になると、ゆうご君もぎりしあ君も離れていった。吾輩が力にばかり頼ったせいだ。でも仕方ない。進むと決めたんだ。トルコちゃんも、吾輩が止めるのも聞かず、ぶりとん君の彼女になっちゃった。つらいな。
 春。もう旅立ちの時だ。大きな、大きな、そびえと君に立ち向かう。今まで誰も倒せなかったそびえと君に。吾輩のたった一つの武器は。
精密爆撃。
飛行機16個で工場を潰しちゃうんだ。酷い?うん、酷いよね。だってこれを2年も続けると、もうご飯食べられなくなっちゃう。そうなったらもう治せない。あとは衰弱して死を待つだけになるんだ。そびえと君はそれを防ぐ要塞も歩兵も持ってないし。
 このままじゃ終わっちゃうそびえと君。どうするかと思ったら、戦車13個でばると君のところにやってきた。

でも吾輩は飛行機16個と歩兵9個もある。負けるわけない。夏までに片を付けて、秋にはまた工場潰すぞ。と思ったら1つだけ残っちゃった。すごく痛い。しっぽ踏まれたみたいに。重爆あったらなあ。
 秋にはそびえと君の手を全部叩き終えたけど、予定がかなり狂った。ぶりとん君もトルコちゃんをそそのかして、そびえと君と一緒に吾輩の脇腹をつついてくるし。これは後手を取れたので何とか追い払った。
 けどもっと困ったのは、ぶりとん君がでんまー君とすぇでん君を奪っていったこと。まさかぶりとん君の力がこんなに強くなってるなんて思ってなかったよ。吾輩のご飯が減っていく。

 五歳になった。ぶりとん君は今年間違いなく吾輩に向かって来る。このままじゃ吾輩も長くない。でも今さら守りに戻るなんてありえない。もう吾輩が勝つには、ぶりとん君が吾輩を倒すより先に、吾輩がそびえと君を倒すしかない。そびえと君は相当弱ってる。きっと勝てるはず。
 春にはまず、そびえと君が吾輩の置き方を見誤って、飛行機で吾輩の飛行機に突っ込んでしまい、一方的にやられた。これはらっきい。吾輩はベラルーシの要塞を飛行機で潰して道を空ける。そして夏。吾輩の方が先番だった。道が空いてる。もうレニングラードに行くしかない。ブリャンスクを歩兵1ブロックで取って、後は行けるだけレニングラードへ。そびえと君は他に動ける駒はないはず。でも残念なのは吾輩の札が7だったこと。レニングラードへ行ける駒がちょっと少ない。去年10を使わずに取っておけば良かった。
 ぶりとん君は吾輩のルールを食いちぎっている。後が無い。もうこの秋が勝負だ。そびえと君は予想通り増援の余裕は無かった。吾輩はブリャンスクの歩兵をモスクワへ。そして残りのありったけでレニングラードへ。船まで全部注ぎ込んで。
 モスクワは余裕だ。こちらの歩兵2対あちらの戦車1で勝ち。あとはレニングラード。ほんのちょっと期待値足りないけど、ほぼ五分五分。勝負だ。吾輩の飛行機は今まで絶好調だったし。やあっ。にゃーん。ぜんぜん当たんないー。

 ついにぶりとん君がベルリンにまで入って来た。もう少ない吾輩のご飯じゃこれ以上力出ないよ。もうあがくこともできない。吾輩は死ぬ。死んでこの太平を得る。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。

 ああ、あとちょっとだったのになあ。最初から精密爆撃が揃ってれば。じゃなきゃポランちゃんが振り向いてくれれば。じゃなきゃ三歳にもなって工場作ってなければ。じゃなきゃそびえと君の戦車が1個残ったりしなければ。じゃなきゃぶりとん君がいつも通りあまり歩兵作ってなければ。じゃなきゃ10の札残しとけば。じゃなきゃレニングラードでほんのちょっと目が良ければ。ればればれば。
 にゃーん。また今度生まれ変わったら、その時はきっと。にゃーん、にゃーん。

配役
ぶりとん君 Y
そびえと君 子供
どいつ 私

 
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