無限ループ
 
 しばらくやっていなかったCATACLYSM (A second world war)ですが、1年ほど前にルールが改定されていたことに気づいたので、またやってみました。Y君が民主陣営、子供がファシスト陣営、私が共産陣営です。
 ルールの主な変更点は、以下の通りです。
・民主陣営は他の二陣営の合計よりも多くの点数を持っていないと勝てないことになった。(影響重大)
・政権が崩壊しても、厭戦状態でなければ、支配地が独立することも同盟が切れることも無くなった。(かなり大きい)
・コミットメントによるホームフロントのマイナス修正が、プロパガンダにも適用されることになった。(かなり大きい)
・ミリタリーアクションで作ったビルドは、リザーヴに直接入れられなくなった。(影響小さい)
・ラインラント非武装地帯を裏返すには、そうするためだけの政治アクションの成功か軍事アクションが必要になった。(影響小さい)
・日本の「米と水」は無くなり、「海軍特別陸戦隊」で上陸が有利になった。(影響小さい)
・ソ連の安定テストでのサイコロ追加が、ホームフロントにも使えるようになった。(影響小さい)


 変更により西側をもっと勝たせても大丈夫になり、ソ連が西側を意図的に刺激してドイツへの攻撃を促進することが予想されます。するとファシストはその分どこかで点数を増やさなければならないということで、第1ターンに早くも日本を動員状態に突入させます。しかしドイツは再軍備を始めたものの、ラインラント非武装地帯解除に失敗。西側は政権の自己崩壊によるステイタスクォー解除ができなくなったので、ほとんど進展はありません。一方ソ連は再軍備を開始し、シベリア鉄道を完成させました。そして中国内戦は国民党の一発勝利。
 第2ターン、独伊は同盟に成功します。英仏も政権の崩壊で同盟が破棄されなくなったのでやはり同盟し、イギリスは再軍備に入りました。またドイツはスウェーデンとハンガリーへの外交に成功し、イタリアもアビシニアの冒険に成功します。そして日本の戦車が中国に侵攻を開始し、これを脅威に感じたソ連はモンゴルに戦車軍を構築しました。
 第3ターン、イベントによってステイタスクォーは破れ、英独は動員状態、仏伊は再軍備に入ります。またドイツは低地諸国を占領し、ルーマニアの取り込みに成功しました。そして日本はやられる前にやれと、総力戦に突入して、まだ動員状態のソ連に奇襲攻撃。世界は戦争に突き進んでいきます。


 第4ターン、まだパージのままで戦闘に弱いソ連に対し、日本はウラル以東の領土を全て奪ってしまい、ソ連国内は不穏化して崩壊寸前となりました。しかしやっと回って来た軍事改革により反撃を開始し、シベリア、モンゴル、チャハルまで突き進みます。また前回のように独伊が別々に戦うとイギリスに旗を稼がれるので、イタリアは動員状態に入りドイツと共に戦う準備をしました。
 第5ターン、ドイツ・イタリアは限定資源を使い総力戦に突入して、大量のオフェンシヴを手に入れます。これによりフランスへの攻撃を繰り返し、フランスも要塞への戦力補充を繰り返して抵抗したものの、最大8回の攻撃は防ぎきれず降伏しました。そしてドイツはすぐさまアトランティックウォールの構築に着手します。
 しかしイギリスはイタリアで反撃を開始し、シチリアからロンバルディアと侵攻しましたが、イタリアは崩壊せず。結局反撃を受けてロンバルディア上陸部隊は全滅してしまいました。一方東部でもソ連はイベントによって国内情勢が息を吹き返し、3つの工業都市から得るオフェンシヴを背景に、本領を全て奪還しました。
 第6ターン、イタリアはドーチェの手腕が冴え、政権は崩れることなく、シチリアまで奪還します。そしてプロパガンダのルール変更がきつく、日本はついに総力戦に耐えきれなくなって政権崩壊し、厭戦状態に陥りました。一方ソ連はこのままだとファシストが勝ってしまいそうなので、ペルシャ、トルコ、イラクと侵攻してイギリスを猛烈に刺激。イギリスは得た旗をアメリカに送りまくって、ついにアメリカ参戦です。
 スコットランドに渡ったアメリカ軍は、まだアトランティックウォールが完成していなかったノルマンディーに向かい、上陸を成功させます。これでドイツへの猛進撃が始まるかと思いきや、パリ要塞が固い固い。1打撃を与えただけでは歩兵の損失をすぐに補充されるだけなので、2損害を与えるために2倍の目をださなければいけないのですが、このターンの残るオフェンシヴ全て使っても結局出ませんでした。
 ドイツはかなりの資源を持っているので、最終ターンにはまた相当数のオフェンシヴを準備でき、連合軍がドイツを降伏させて点数を逆転する可能性は低いでしょう。運の要素が大きいので絶対勝つとは言えないものの、もはや作戦も何もないサイ振りだけの退屈な押し合いを延々と繰り返す気にはならないので、ファシストの勝利として終わりにしました。



 このゲームはとにかくアメリカが強くて、その参戦の時期で勝負がほとんど決まってしまいます。そのためファシスト陣営はひたすらステイタスクォーを維持し、アメリカ参戦を遅らせるしかありません。
 特に日本はアメリカに宣戦するなどあり得ず、アメリカを刺激しない所でしか活動できません。またこのゲームのフランスはパリに要塞を作るとかなり固いので、これを攻めるにはドイツがまず中立国をできるだけ手に入れてから、一気に限定資源を放出して総力戦に入り、大量のオフェンシヴで反復攻撃をしてフランスを落とすしかなさそうです。そしてこの方法は1回しか使えないので、フランスかソ連のどちらかしか攻められませんが、冬将軍が強すぎてソ連を降伏させるのは難しいので、やはりフランスを倒すことになるでしょう。またドイツにとって固かった要塞は、当然西側に対しても固いので、その後ドイツは要塞で守りを固めることになります。
 一方ソ連については、国内で戦えば強いものの、ポスチャーの制限が厳しくて外交・攻撃・国内安定が弱いので、自力で攻め勝つのはまず無理です。そのためステイタスクォー解除の時期や民主陣営への刺激の程度を調整することで、民主・ファシスト間の得点バランスを保ち、その間に中立国を攻めて漁夫の利を狙うしか方法がありません。
 そうなると西側にまずできるのは、全てをアメリカ参戦のために注ぎ込むことだけです。そしてアメリカ参戦後は、日本よりもVPが遥かに多い上、イギリスのオフェンシヴも使って攻撃回数を増やせるので、専らヨーロッパで攻める以外ないでしょう。そして戦闘では総力戦の増強攻撃が強力なので、作戦で何かするよりも力押ししか無く、オフェンシヴ数とサイの目の勝負となるでしょう。

 二次大戦ゲームなのに「太平洋戦争はありえない」という歴史完全否定などなかなか斬新でしたが、ルールが意外と面倒な割に結局戦略の自由度は低いというのが残念です。

 
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