初プレイ
Clash of Monarchsを初めてやってみました。プロイセンを私、オーストリアをあらいさん、ブリテンを杉さん、フランス・ロシアをY君です。選択ルールは使わず、1757年から2年間のシナリオとして始めました。
集中攻撃を引いた私は、それを使ってプラハへ総突入します。あらいさんは無謀な闘いを避け、チャールズを撤退させます。フランスは「En avant!」で自動的に勢力を拡大し、それによって条件が整ったブリテンには、強力なフェルディナンドが登場します。
さてプラハを順調に攻囲していくプロイセンに対し、オーストリアは宮廷の陰謀でチャールズを解任し、最高指揮官になったダウン元帥を救援に向かわせます。フリードリヒは攻囲に必要な戦力を残して迎撃し、決戦です。
その結果、戦闘自体は普通にプロイセンの勝ちだったのですが、なんとダウン元帥がいきなり捕まってしまいました!立役者を失った反プロイセンは投了します。容易に最大コラム最大シフトになるプロイセン・オーストリアの戦闘では、1/20程度の確率で総指令官が戦死・捕虜になるのは、厳しすぎる気がします。
さてオーストリアにとって、VPの高いプラハを守るのに、大王に対して決戦を挑む方法は分が悪いのが分かったので、代わりに小さな戦争(軽兵による襲撃)で補給を切る作戦を検討してみました。
序盤のオーストリアの軽兵は多く、補給襲撃を行えば確実に攻囲軍を補給欠乏にできます。毎ターン襲撃して最大限修正がつくように守れば、プラハを落とすのは非常に困難になります。この考えでもう一度やってみることにしました。
しかしレベル3要塞が落とせないとなると、プロイセンにはなかなか有効な手が見つかりません。レベル1のEgerを攻めようとしますが、ドレスデンから直接補給が繋がらないので、兵たんを守りつつ攻撃しようとしてもなかなかうまくいきません。
フランス戦線も、フランスの大軍に対し、能力の高いフェルディナンドで戦力を集めて攻撃しますが、勝ったというだけで要塞を奪う時間はありません。結局57年秋の途中で時間切れとなり、海外の戦争で勝った(クリーブがインドで負けた)反プロイセンの優勢勝ちで終わりました。
さてこのゲームの大きな特徴は、軽兵による後方撹乱が表現されているということです。これにより当時の雰囲気が再現されると共に、戦略の幅が広がっています。
そしてもう一つの特徴は、七年戦争全体を行うキャンペーンを指向した作りになっていることです。今までの類似ゲームとして、SPI/AHのものとWWWのものがありますが、どちらもとってつけたようなキャンペーンルールで、基本的には1年のシナリオをやるゲームでした。
しかしこのゲームでは、冬期損耗や維持、動員、借金、君主の戦意低下や、先の軽兵襲撃による土地の荒廃など、長期戦略を必要とする様々なシステムが加わっており、キャンペーンではそれらが結び付いて戦争全体を形作っていきます。これにより、単なる野戦と攻城戦だけのゲームではなく、戦意や経済基盤を破壊する戦争という、今までの七年戦争とは一味違ったおもしろさを体験できるでしょう。
ただし逆に言うと、これらは短いシナリオではあまり機能せず、キャンペーンをやらないとこのゲームは十分楽しめないということでもあります。しかも戦略重視のシステム上、機動作戦的なおもしろさはWWW版に劣るので、その意味でもキャンペーンでないとあまりおもしろくないでしょう。
そしてもう一つすばらしいところは、オーストリアの名将ダウン元帥が、ゲーム中最強のフリードリヒ大王の攻撃力と同じ防御力という、正しい評価がされていることです。
これがSPI/AH版のダウンでは、一見戦闘修正が大王と同じものの、実は勝敗はほとんど統率力で決まるので、フリードリヒに対しては全く勝ち目がなく、ラウドンにさえも劣るという問題外の評価でした。WWW版になると大分評価が高くなったものの、大王はおろかヘンリー王子にも及ばないというもう一歩の評価でした。
さてこのようになかなか良いところのあるClash of Monarchsですが、残念ながら欠点もまたあります。最大の欠点はとにかく煩雑なことです。
ルールの量自体はやや多めという程度なのですが、細かい規定が多い上に、チャートや修正値が多くて、エイドカードだけで6ページもあります。しかもターンシークェンスも複雑で手間がかかります。今回の例からすると1年4時間、キャンペーンは6年で24時間もかかることになります。キャンペーンがメインのゲームで、この煩雑さとこの長時間は相当大きな負担です。
カードドゥリヴァンのメリットの一つは、特別ルールやイベント、特殊戦術などをカード化することによって、ルールと手順を簡素化し、プレイアビリティを上げることにあります。しかしこのゲームでは、カードに加えてさらに戦術チットがあり、その上毎ラウンドのランダムイベントまであって、逆に複雑になっています。
またカードドゥリヴァンのもう一つの利点として、多様なイベントの発生の有無や時期の違いによる展開の多様さがあります。しかしこのゲームでは国別、時期別のデッキで、途中リシャッフルがない(ハレー彗星を除く)ことから、イベントは短い期間に確実に回ってきて、あまり変化はありません。それどころか参戦時に必ずもらえる3、4枚の歴史強制イベントにより、逆に序盤は普通のゲームよりもワンパターンになってしまいます。
全体としての印象は、新しいアイディアを盛り込んだ意欲作で、その部分は良くできているが、よけいなものまで詰め込んだ上に、カードドゥリヴァンをあまり生かせていないという感じです。そのうちキャンペーンをやってみたいとも思っていますが、この長時間をとれるのいつのことか。
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