謙信不義を討つ
ウォーゲーム日本史の東国争乱を4人でやりました。凶悪大名織田を抜かして、さくらいさんが北条、Y君が武田、かさいさんが今川、私が上杉で、城の選択ルールを使います。
初頭、武田は北条を攻めるため今川と同盟を結ぶが、こともあろうに今川は北条からの同盟を受けたため、今川領に進駐していた武田は北条を攻撃できなくなる。今川は西に進み織田軍に調略をかけて尾張侵攻の準備を整える。また上杉は信濃、越中ととりあえず空いている所に拡大していく。
そして空になっていた信濃南に上杉が歩を進めた時、今川はここに調略攻撃をかけ事実上の宣戦布告。
「ほう。この謙信に戦を挑むか。おもしろい、受けて立とう。」
歩兵しかいない今川など謙信の敵ではなく、軍神の力を借りずとも上杉軍は今川軍を次々蹴散らして行き、尾張を占領する。なぜ今川はこんな結果の見えている挑発をしたのか。
ここに及んで今川は
「犬になりますからここまでで勘弁してください」
と懇願する。そして慈悲深い謙信公は一言
「許す!」
ところがこの犬公方、上杉がサドンデス勝利を取り今川を2位にしてやるという滅亡寸前だった大名に対しては破格と言える好条件の提案に対し、
「拒否」
それならこちらの銃兵を破壊したのだから、せめて武田の銃兵も破壊しろという要求に対しても、
「拒否」
それどころか逆に上杉の対武田防衛の要の城を調略で破壊してくる始末。何という恩知らず。
「いくらゲームとは言え、ここまで不義、不誠実の輩は初めて見た!この謙信、義に忠じ、全てを捨てて不義を討つ!」
もちろん本来ゲームは勝利を目指すのが最優先である。しかしここまでされて許しておいては後々のためにならぬ。上杉は越後も捨て、軍神の力を宿らせて次々今川軍を打ち破り、遂に志摩の隅に追い詰めた義元を討ち果たす。
その間予想通り武田は火事場泥棒を働くが、天はそのような卑怯者をのさばらせはしない。それまで戦わず着実に中立国に勢力を広げていた北条が、武田に先んじ勝利をもぎ取った。
ルール上では武田は2位ということになるが、さんざん
「2位など負けも同然」
と言って今川をけしかけてきた武田のこと。その言葉自分に帰ってきて負けたも同然であろう。また3人サクセサーズ以来、かさい大神官はいまだマインドコントロールが解けておらず、Y大明神を崇め奉る儀式は続いてたのであった。
ルールにはない変則的な4人プレイでしたが、ゲームは十分機能していました。このゲームはランダム要素が少ないため、作戦や運による戦闘の逆転があまりなく、ある行動の結果先々どうなるか見通せるので、交渉の占める割合が非常に大きくなっています。そのためこのようなごちゃごちゃした交渉を楽しめるかどうかで、好き嫌いが分かれるゲームでしょう。もし先読みも交渉もしないで5人ゲームをプレイすれば、目先弱い今川が滅び、次に武田が滅び、最後は織田か北条が勝つでしょう。しかしこれをふまえた上で負けそうなプレイヤー同士が協力すれば、展開は全然変わってきます。
日本製の多人数ゲームとしては十分よくできた水準作だと思います。しかし個人的にはやや交渉に偏りすぎていて、戦闘作戦のおもしろさが少ないと感じます。
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