牙の無い獣
今回はFire in the lakeの中シナリオです。たかさんが北ベトナム、かさいさんがベトコン、私がアメリカで、ベトナム政府はノンプレイヤー勢力です。
中シナリオでは最初から能力イベントが6枚出ています。特にアメリカに関するものが3枚で、観測駒無しで爆撃できるアークライト、低地以外の強攻2箇所までに追加2損害を与えるM-48パットンは良いのですが、探索と破壊が逆用されていて、強攻するとその地域が敵対化するという非常に苦しい条件がついています。
そのためアメリカは、せっかくのパットン能力も、得意の空輸強攻も使いにくくなっています。わざわざ自分の勝利条件を遠ざけてまで、ベトナム政府のために北軍を叩いていられません。しかも開始早々爆撃休止まで食らって、掃討空爆も封じられます。
仕方なくアメリカは安定化で地域の支援を上げて行こうとしますが、すぐに資源が尽き、収入が入る次のクーフェイズもなかなか来なくて、身動きできません。なんとか不正規によるゲリラ攻撃やもう限界まで敵対している場所での強攻などをしながら繋ぎます。その間北ベトナムとベトコンは着々と戦力を増強します。
一山目の最後でようやく出たクーラウンド。アメリカは通常ラウンドがだめならせめてこの安定化フェイズを効果的に使おうと、それを狙った兵力配置をしていました。しかし意外と政府の収入が少なく、しかも直前にベトコンによる大テロが起きて安定化コストが上がっていました。そのためクーラウンドですでにアメリカ分の資源が足りなくなり、通常ラウンド中に安定化するための資源など全くありません。
さらに悪いことに、せっかく空爆が再開されたのに、RANDが出てアークライトを逆転されてしまい、爆撃は観測駒が必要な上に2段階敵対化されるようになってしまいました。これではもうアメリカは牙をもがれたも同然です。ただその後エイブラムスで強攻の時敵基地を真っ先に除去できるようになりますが、強攻敵対化の枷のため使いどころは限られます。
ここで最初に転機イベントの条件を満たしたベトコンが、テト攻勢を発動します。思ったより威力は無かったものの、それでも敵対化が進み、さらにアメリカは引きはなされます。そして2枚目のクーラウンドでいくらか資源に余裕が出て安定化ができるようになりますが、他の勢力の伸びが大きく追いつけません。次のクーラウンドが来るとゲームは終了なので、アメリカは1回あたりの上限の軍10個と基地2個をフルに撤退させてVPを上げ、必死に追いすがります。
その結果北ベトナムとアメリカは両方転機イベントの条件を満たし、まず優先権のある北ベトナムが先にイースター攻勢を発動します。大侵攻を行い、損害を避けるため政府軍を狙って戦力優勢を得る作戦で、一気に勝利条件に達しました。待っているとまた条件を外れてしまいそうなので、アメリカも次の番にラインバッカーIIを発動し、北ベトナムのVPが少し減り、アメリカのVPが少し増えますが、このくらいで北ベトナムの勝利条件は崩れません。
しかしその後アメリカが損害を受けたことにより、アメリカ軍19個以下の条件を満たしたベトナム政府が、転機イベントベトナム化を発動して戦力を増強した上、支配拡大優先のアルゴリズムのおかけで北ベトナムの勝利を大きく崩す大活躍。グッジョブ、ARVN!そして間もなく、なんと3枚目のクーカードが3山目の1番最初に出てきました。アメリカの戦力が撤退で減少しているこの反政府側のチャンスも、あまり生かされないままあっさり終わってしまいました。
といってもアメリカも地域の安定化はあまり進んでおらず、やはり出遅れ気味です。ただろくに攻撃ができる状態でなかったアメリカは、クーラウンドでの安定化目的の部隊配置をしたままでした。そのためまだクーラウンドは先と思っていたベトコンがあまり効果的なアジテーションをできなかったのと対照的に、アメリカはクーラウンドでの安定化を最大限行え、最終的な勝利条件では逆転してトップになっていました。アメリカらしい無敵の爽快感は全く無い展開でしたが、予想外の形で勝利を得ることができました。
後半を扱う中シナリオでも、皆が早々勝利条件に達してひたすら足の引っ張り合いをするような展開にならず、イベントと自分のアクションをどう組み合わせて勝利条件まで持っていくか、いろいろ考えどころの多い良いゲームでした。
あとアメリカは勧告した時、援助を6増やせることを見落としていました。
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