最強将軍マクレラン
 
 新戦略を考え付いた私は北軍を持ち、Y君が南軍となります。雑記帳に書いた通り2006年ルールは採用しません。

 今回も第1ターンにファラガトを引いた北軍は、前回の教訓から最初のアクションでコロンバスGA占領に使い、次のアクションではモーガン要塞に上陸して、東湾ゾーンの封鎖を完成する。一方南軍はリトルロックに砦を築いた後、ケンタッキーに支配を広げて行くが、北軍に阻止される。
 第2ターン北軍は、イベントに使えば3SPになるハレルヤを使ってまで、最西端にいる南軍プライスの1SPを攻撃し、そのままミズーリ州に戦力を散らした。これで使用条件(中規模以上の勝利)を満たし、早くもリンカーンは奴隷解放宣言に成功する。南軍もケンタッキーの支配を手に入れ、後の侵攻の布石とした。
 第3ターンの北軍は3のカードが1枚もなく、リーが出てくる前に上陸して牽制することができない。ケンタッキーに渡河のための砦を築き北部侵攻の準備が完了した南軍に比べ、北軍はインディアナへの砦の配置と、将軍の移動しかできない。さらにウエストバージニアまで南部についてしまう。

 そして第4ターン、ついに登場したリーとフォレストはケンタッキーに置かれる。軍を作ってすぐに北部へ侵攻を開始する構えである。南部州がほとんど手付かずの状態で北部を荒し回られれば、早々に北軍が敗北するだろう。
 しかしここで北軍の新戦略が明らかになる。北軍最初のアクションで、リーの正面にマクレランによるテネシー軍が作られたのだ。
 南軍はリーで軍を作ってみたものの、ブルーミントンへの侵入は2/3の確率で迎撃され、その場合7修正がつくマクレランには勝てそうもない。もし迎撃が失敗したとしても、1戦力の砦を潰すごとに損害を受け、マクレランを攻撃しようにも2/3の確率で河の向こうに逃げられてしまう。
 マクレランの恐るべき強さに、リーはしっぽをまいて引き揚げ東へ向かう。そして北軍はフロリダに上陸し、リーは騎兵のいないワシントンを目指す。このまま攻撃されてはワシントンが危ないが、北軍はここでメジャーキャンペーン。鉄道を使って騎兵を12スペースの彼方から呼び寄せ、戦力をワシントンに集め、フロリダも脱落体勢にする。
 これでエリート部隊もいるワシントンを落とすのは難しくなったので、リーはウエストバージニア経由でペンシルバニアへ侵入する。これに対しマクレランはケンタッキーを通ってナッシュビルTNを落とす。そして最後のカードでウエストバージニアに小部隊を送り、リーの補給を切りにきた。しかしここでリーは補給を回復する代わりに、ペンシルバニアを横断して東部の北軍増援を減らすという勝負に出た。

 第5ターンに入り、北軍はポトマック軍でペンシルバニア封鎖部隊をオーバーランし、ワシントンに隣接するフレデリックで移動を終了した。(実は移動ミスがあり、北軍はここで1回負けて再移動した。)
 戦力の減少したリーの軍が、ロングストリートらの増援を呼んでいる間、北軍はコショクトンに砦を築きオハイオの入り口を固める。南軍もそれを迂回するためホイーリングWVに砦を築いて、オハイオ河を渡ろうとする。しかしプリザントンの騎兵を得たマクレランの軍が、ケンタッキーからオハイオの中央コロンバスに駆けつけ、リーのもくろみはまたも食い止められる。
 結局リーは、ペンシルバニアの支配を取り戻しに来た北軍の軍団をジョーンズタウンで攻撃し、ペンシルバニア1州を支配しただけに終わる。ただ南軍はバンドーンでミズーリを支配することに成功していた。これで境界3州は全て南部支配となった。

 第6ターン、北軍はイリノイのカイロに兵力を集め、フッカーで軍を作って守りの薄い西部で侵攻を始めようとしていた。北軍はまずマクレランの軍にエリートを入れ、南軍はジャクソンとモーガンをテネシーの戦力集結地に送る。そして北軍がフッカーで軍を作ると、南軍もジャクソンで軍を作ってきた。これが西に回ってきたら、フッカーの軍は侵攻できなくなる。
 ここで北軍は軍団をウエストバージニアに侵入させ、リーの軍の補給線を切る。リーは補給線を回復するために引き返し、ピッツバーグを通過しようとしたその時。

キッラーン☆

 マクレランの目が光る。そう、マクレランと言えば、これ!〜3Cigars〜霧が晴れるとそこにはコロンバスにいたはずのマクレランが待ちかまえているではないか。マクレラン、プリザントン、迎撃、リーの補給切れ、エリートで9修正を得るマクレランは、6の損害を与えて大勝利を確定させる。
 残り2戦力となって退路も補給もないリーは、次に攻撃を受ければ確実に全滅することを認め、降伏を申し出るしかなかった。やはり南北戦争最強の将軍はマクレランであった。常に鉄壁の守りを築き、敵に不利な攻撃を強要する高等戦術。マクレランの恐るべき能力は、数字では表し切れないのだ。


 後日3Cigarsを見ていた時「Intervening spaceは味方支配で敵SPがいないこと」と書いてあるのを見つけ、南軍支配のピッツバーグに迎撃したのは誤りだったかなと思いました。しかしInterveningを辞書で調べると「その間の」とあり、この場合のIntervening spaceとは迎撃元と迎撃先の間の通過スペースの事を指すようです。したがって迎撃先は通常の迎撃ルールどおり敵SPがいなければ敵支配でもいいことになり、ルール間違いではなかったようです。

 新戦略の発見により、マクレランが最強であるという歴史的真実を再現できるいう点でも、For the Peopleは希有な傑作であることがわかりました。
 もちろん今回の最強マクレラン戦略も、準備に時間がかかったりワシントンが手薄になったりと、決して無欠の戦略ではなく、これ一辺倒になってしまうことがないという点でもすばらしいです。
 ところで最近、南軍は(敵戦力の撃破のため?)中規模戦闘で戦うべきであるという珍説を見かけました。ご存じの通りFor the Peopleは敵の戦意をくじくことが目的であり、敵戦力の撃破は戦闘の主目的ではありません。他のウォーゲームから頭を切り替えられないと、For the Peopleでの勝利はおぼつかないでしょう。
 
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