Storm All Jackson
今年最後の締めくくりとして選ばれたのは、やはりFor the Peopleです。今回は私が南軍、Y君が北軍です。
ルールはGMTリビングルールの最新版、選択ルール無しです。マークハーマンのホームページにはさらなる改訂ルールも載っていますが、検討の結果この期に及んでルール変更をしてまで得るメリットが見つからない(むしろ改悪となる可能性さえある)ため、採用しませんでした。
まず北軍はミズーリに支配を広げるところからゲームを開始しました。珍しい始まりに真意を掴みかねましたが、南軍はリトルロックに砦を築いた後、プライスをテキサスに送り極西部の守りを固めます。
結局北軍は上陸に使えるカードが1枚しかなかったことが判り、それはアラバマへの入り口ペンサコラへの上陸に使われました。また南軍は東部国境付近の兵力を首都に戻し体勢を整えます。
第2ターン南軍には上陸部隊を抑えるだけの兵力が無いので、主にケンタッキーの支配を進め、北軍はアラバマに前進します。
第3ターン北軍はさらに侵攻を進めます。しかしインディアンが南軍に立って参戦し、北軍はアクションを1回失います。
そして南軍は北バージニア軍を作るなどした後、最後のダブルアクションの為に残していたのは2枚のキャンペーンカードでした。ウエストバージニアを通って大々的に北部へ侵入し、ペンシルバニアとオハイオに広がって戦意を稼ぎます。
1861年末に早くも奴隷解放宣言をされてしまったものの、大作戦の成功に沸く南軍にリーが登場し、北部侵攻軍を集めた所に配置されます。1862年は、ここを中心に北部を恐怖に陥れるリー対アラバマを中心に南部の資源都市を破壊していく北軍という形で進みます。
この最中の夏ごろ大きな事件は起きました。ケンタッキーのルイスビルに砦を築いて北部への補給線を繋いだ後、リーはペンシルバニアから西進し、インディアナに入ります。ペンシルバニアは奪還されるものの、最後のキャンペーンを使ってイリノイ、インディアナ、オハイオの3州を支配する狙いでした。
しかし周りに北軍がいないことに油断していた南軍は、ワシントンから近づいて来ていたハレック(本当は鈍重)に、最後のラウンドで回り込まれて、ケンタッキーの砦を失ってしまいます。なんとリーの軍は補給切れ。しかも川を渡って戻ることもできません。リー万事休すか?
ここでリーの決断は、補給切れのまま敵中突破でした。まずリッチモンドから呼応して部隊を北上させ、ピッツバーグまでの補給線を確保します。そして後は補給切れ戦闘による大損害のリスクを犯しながら、ピッツバーグのさらに先ジョーンズタウンまで一直線です。
リーは見事これを成し遂げ、3州支配に成功しました。しかしリーの軍は、軍とは名ばかりのフォレスト騎兵隊が残るだけとなってしまいました。モーガン、ホイーラーの騎兵も失われ、再建に一年を費やすことになります。
このような事があったりアラバマが北軍の手に落ちるなどしたものの、北部侵攻は順調で海上封鎖も緩慢だったため、グラントが登場する時点では南軍がやや優勢かと思われました。
グラントにミシシッピ方面で大々的に侵攻されると、南軍は致命的な損失を受ける可能性があると考え、リーはウエストバージニアを支配した後大きく転進して、北軍のミシシッピルートを塞ぐ位置にあるパドゥカウに着陣します。そしてここに砦を築いて北部に侵入すると、破壊されたコロンバスの砦の代わりに、カイロにも砦を作ります。これによってミシシッピ河の北軍支配を打ち消すと同時に、既に北部州となっていたミズーリへの進入路が開かれます。
戦意がかなり低下している北軍は、もはや2州への侵攻を許すわけにはいかないので、グラントをイリノイとミズーリの境目セントルイスに移動させ、どちらにも迎撃できるようにしました。これでリーとグラントは互いに監視しあう形になり、身動きが取れなくなります。
そこで戦力に余裕のある北軍は各地で新たな攻撃を開始します。ミズーリからはアーカンソーへ、南からはフロリダ、ジョージア、ミシシッピと戦力が送られます。南軍は輸送し切れずに取り残されている現地戦力で牽制するものの、アーカンソーとフロリダは降伏します。
個別対応ではもはや北軍の物量攻撃に対応できません。そこでケンタッキーの保持や封鎖の低調さから比較的戦力に余裕のあった南軍は、アトランタにジャクソンの第三軍を作ることを決定します。これには再建されたモーガンとホイーラーの騎兵、ロングストリートも加わり、その能力はリー軍と同等となります。
ジャクソンは軍を編成するやいなや、各地に散らばる北軍を撃破、じゅうりんし、奪われた都市を解放して回ります。ジョージア、アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ、アーカンソーと次々に北軍は駆逐され、最後にはミズーリに入って戦意を稼ぎます。リーの睨みがあるため、グラントはこれに手出しできません。
代わりに北軍は空白地を見つけては繰り返し兵力を送り込んできます。ジョージア、フロリダ、サウスカロライナ、ノースカロライナ、そしてシャーマンの登場した東部では、ついにバージニアへの侵攻が開始されます。
この危機にジャクソンはまたも大移動を開始します。アーカンソーを通ってテネシーに抜け、南軍にしか通れない小道を近道してジョージアに入り、こことフロリダの北軍を一掃し、封鎖されていた脱出港を回復します。そして休む間もなく南北カロライナの侵入部隊を撃破しながらバージニアに入り、前進してきていたシャーマン軍の鼻先を押さえます。
北軍の攻める所攻める所全てに現れて、恐怖の嵐を巻き起こして行くジャクソンは、ストームオールの異名を取ります。急襲戦法で分散した敵を軒並み撃破していくジャクソンに、最初「経験の浅い指揮官にしか通じない戦法で、彼は軍司令官の器ではない」と陰口を叩いていた者達も、口をつぐまざるを得ませんでした。
バージニアの攻防戦は熾烈を極めます。1864年夏の最後のラウンドで、北軍は支配に必要な14都市を押さえ、2つの軍の迎撃範囲でそれらを守ります。バージニアの降伏を防ぐためにはどちらかに侵入するしかありません。
ジャクソンはフレデリックスバーグに向かいます。マナサスにいるのはマクドゥエルのポトマック軍で、迎撃成功率は1/2。しかしシェリダンに発見され、ここにこの戦争最大のフレデリックスバーグの戦いが起こります。
戦闘は南軍有利に始まり(たまたま先にサイを振った)、北軍に最大の損害を与えましたが、マクレランの活躍で撃退されてしまいました。結局このターンにバージニアは脱落します。
1864年秋には北軍の攻撃はさらに拡大します。もはやバージニアに留まる理由の無くなったジャクソンは、南に引き返してそれらに対応します。しかしそれでも追い付かないため、パドゥカウでグラントを抑えていたリーを引き抜き、ミシシッピ、ルイジアナの奪回に向かわせます。
このターンの最後、再びインディアンの参戦で南軍はダブルアクションを得ていましたが、北軍はキャンペーンカードを2枚持っており、バージニアからテネシーを抜けて前進してきていた軍団が、最後にジョージアで大きく支配を広げます。近くにいるジャクソン軍は9戦力しかなく、他にこの付近に拾える戦力が無いので、オーバーランはできません。北軍はこれを見越して、1戦力を大量にばらまいています。
しかし南軍は最後に作戦的集中を残していました。ジャクソンは2戦力を遠くリッチモンドがら引き抜いて、この一帯でオーバーランを掛けまって危機を救います。しかし代わりにリー軍は補給切れとなってしまいます。
前半は有利だった南軍ですが、後半北軍が多くのキャンペーンを引いたこともあって、最終ターンにはかなり苦しい状態となっています。現在北軍支配の中立・南部州は7で、戦意は北軍が三十数ポイント上回っています。北軍はもう1州と戦意何ポイントかで勝利です。
リーとジャクソンでジョージアとミシシッピを必死で守る南軍に、北軍は最終的な目標をテネシーとしたようです。南軍はジャクソンをミッショナリーリッジ(チャタヌーガ近辺)に送って、前進してきたシャーマンを牽制しますが、手の届かない西側のグラント勢力圏で北軍は支配を広げます。
そして最終ラウンド。北軍はまたしてもメジャーキャンペーンを引いていました。テネシーは北軍部隊で埋めつくされます。これで終わりなら北軍の勝利です。
しかし後番の利を持つ南軍に対して、テネシーと北部州を全て守るには少し足りませんでした。南軍は最後の移動で北軍の小部隊を破りながらウエストバージニアに侵入し、ここの支配を打ち消してぎりぎりの勝利を得ました。

終了時の様子
テネシーに広がる北軍とウエストバージニアの南軍
13時間にも及ぶ熱闘の末、初めて最終ターンまでのプレイが行われました。余りにいろいろなことがあった上、定跡的な部分がほとんど無いために、書き忘れたこともたくさんあると思います。
今回もほぼ全ての地域で作戦が展開され、一手ごとに考えることの多いおもしろいゲームでした。あまり資源都市を破壊されると南軍は補給に支障をきたすことや、補給切れ作戦を行うのもまた一法であること、また内陸からの侵攻に対して沿岸要塞が連鎖陥落するのを防いで再奪還の可能性を残すため、沿岸要塞に守備隊を置くのも無意味ではないことなど、いろいろ気づいたこともありました。
またかなり分かってきたと思った前回と比べても、ゲームの展開は全く異なり、戦略選択枝の広さをさらに感じました。もちろん展開が変わったのは運によるものではなく、プレイヤーの戦略の変化によるものです。運の影響が小さめで、戦略の差が即結果に反映されるのも、このゲームの特徴と言えます。
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