The hell game
個人的に注目していた新ゲーム、Livng Dead EntertainmentのThe hell game(販売はUdo Grebe Gamedesign)を3回やりました。なかなかおもしろかったです。
まず目をひくのがカードの美しさです。これが注目していた理由であり、ゲームのおもしろさはおいといて、このカードを見るためにとりあえず買いました。逆にマップのデザインはそれほどでもなく、ソフトマップです。
ゲームのテーマは、Hellの支配を巡って悪魔の派閥(最初3体で構成される)同士が争うというものです。もちろんHellの真の支配者はルシファーなので、いかにルシファーに支配を任せてもらうかというのが、ゲームの目的になります。
Hellは(ルシファーのいる?)中央の円を9つのリングが同心円状に囲み、各リングは5つのセクターに分かれています。最初にどれかのリングのセクターを5つとも支配したプレイヤーが勝利しますが、同時に達成された場合は、ルシファーの好意が多い派閥、ルシファーの嫌悪が少ない派閥、内側を支配している派閥の順で勝利者を決めます。
ターンはイベント、アルカナ(魔法)カード獲得、魂(Hellの通貨)獲得、軍団・士官等購入、アクション、非プレイヤーキャラの移動、戦闘、支配決定、回復の順で進みます。
ゲームのメインはアクションになりますが、これは原則悪魔の階級順に行われます。階級の高い悪魔ほど能力が高いのですが、代わりに先に行動しなければいけないことで、バランスがとられています。ただしアルカナによって、この順序を遅らせることができ、これがゲームの鍵になっています。
1つの悪魔の手番には1種類のアクションを選んでおこないます。アクションは、地上を歩く(ルシファーの好意を得られるが、殺されるリスクがある)、魔法をかける、悪行を為す(地球で追加の好意を得る)、イベントコントロール、軍団・士官の破棄・寝返り工作、懇願と償い(ルシファーの嫌悪を取り除く)、行軍があります。
1枚のアルカナは、地球を歩く、順番を遅らせる、士官を雇うのに必要なマイナーアルカナと、様々な魔法を起こすメジャーアルカナの、2通りの使い方があります(カードゥリバンのように)。5枚の持ち札制限があるので、戦略上どれを残してどれを捨て、どれをマイナーとして消費するか、なかなか悩みます。
領地の獲得は、魂収入を増やしたり、勝利条件達成に必要ですが、軍団がいるだけではそこを獲得できません。軍団に加えて、そこで戦闘に勝つか、好意を支払うかしないと、ルシファーに領有を認めてもらえないのです。必然的にルシファーの好意が重要になりますが、これは普通地上を歩かないと得られません。
また領地内にいる部隊に対しては、寝返り工作に好意を支払う必要があります。しかし外に出るとそれが無くなるので、早い順番で領土から出ると、気軽に工作されるリスクを伴います。それを防ぐには、士官に十分ボーナスを払ってやらなければなりません。
しかも先手を取って敵の部隊に攻め込んでも、後番でそこから出ることには何のコストも掛かりません。したがって行軍で後番を取ることは重要であると同時に、敵主力の撃破を狙う作戦にはほとんど意味がありません。(回避もできるので、なおさらです。)
このようにただでさえ独特なルールで、戦略が難しいところですが、ランダム要素の多さがさらにそれに拍車をかけます。完全にランダムな初期領地と悪魔配分、強力な影響を及ぼすイベント、さまざま魔法と悪魔の特殊能力。なかなか今何をするのが最善のなのか見えません。
しかし運で勝敗が決まってしまうのかというと、そうではありません。先のとおり悪魔のバランスは取られており、強力すぎるアルカナというのもありません。また誰かが極端に有利・不利になるようなイベントも、そうは起こりません。目まぐるしく変化する状況を、いかにうまく利用するかが、Hellでは最も重要な素養であるようです。
プレイ時間も3時間程度と手ごろで、ルールもそれほど難しくありません。変化に富んだマルチが好きな方におすすめします。
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