不死身慶喜
子供とGJの幕末維新始末をやってみました。今まで戊辰戦争のゲームはいくつかありましたが、何といっても史実があまりに一方的な戦いなので、今一つ面白くありませんでした。しかしこのゲームは戊辰戦争前の政争から始まり、軍備増強だけでなく、朝廷や諸藩の取り込み、指導者の登用や暗殺、政権の保持や戦争状態の変更といった、単に戦争だけでない当時の様々な状況を含めています。これによって、戦争だけに限らない幕末内戦全体の行方の分からない複雑な状況を表したゲームとなっています。今回は子供が薩長、私が徳川をやります。
まず第1ターン、徳川は宮廷工作、薩長は列藩同盟を取って、最大点数の摂播は薩長の手に落ちます。摂播を取られたままで外交折衝が出るとまずいと思った徳川は、慶喜が全軍を率いて摂播に入ります。また松平容保は故郷会津に帰り、そこの支持獲得を目指します。ここで薩長は長州の兵で空いた京師に入ることもできますが、徳川に宮廷工作があっては成果は見込めません。摂播も政権修正があって支持は得難く、失敗すると兵は失われます。そこで土州の支持を求めることにしました。
徳川による会津、摂播の支持獲得は無事成功します。(容保は会津藩主にも関わらず、1を出すと家臣に閉め出されたり殺されたりする可能性さえあるのです。)しかし長州兵と木戸による土州支持獲得は1を出して失敗。木戸は逃げ帰ったものの長州兵は討幕派から離脱してしまいます。
第2ターン、徳川は榎本を登用、薩長は公議輿論で取り損ねた土州の支持を得ます。そして徳川は先手を取り榎本が摂播の軍を率いて長州討伐。退路を確保するため慶喜は因州へ入ります。そして徳川は政権点を1削って開戦し、1ユニットだけの長州兵を打ち破って山県を討ち取ります。
ついに成功した第三次長州征伐に沸く徳川でしたが、実はこれは長州の巧妙な罠でした。長州にはエリアの支持修正が4もあり、支持マーカーも合わせて薩長の支持修正は5。これに対して徳川は、政治能力、政権点各1と兵4個で2の合計4。あれ?徳川の方が不利だった。ゲリラ戦を受けた徳川軍は補給を断たれ、慶喜の因州での撤退工作も失敗して、全軍が散り散りとなります。そして慶喜はなんとか逃げ延びたものの、榎本は討たれてしまいました。さらに摂播も大久保の工作により中立に戻ります。
互いの痛恨で互角に戻った第3ターンには、徳川が開戦で傾いた政権を大政再委任で建て直し、薩長は慶喜の暗殺を図るもまたも難を逃れます。慶喜不死身。ここで徳川は、小笠原率いる2個の精鋭幕府兵で再び摂播に上陸し、艦隊を蝦夷に派遣、さらに大鳥を北越に送ります。薩長は倍の精鋭を持っていますが、分散している上、戦闘能力のある指導者とスタックしていないため、今回は西郷を薩州に帰すにとどまります。徳川は摂播と蝦夷の支持に成功しますが、北越では未登場の河合に武装中立だと追い返されます。
第4ターンの始め、丁度3倍の得点を確保した徳川は公使団会見での勝利に期待しますが、出たのは逆に外国人殺傷事件で政権点が1下がってしまいます。また薩州でのええじゃないかは踊っただけに終わります。
次ターンの公使団会見は確実なので、薩長は何としてももう1点稼がなくてはなりません。最も可能性が高いのは、西郷で全薩摩藩兵を率いて肥前に向かうこと。これは8割方成功するはずの作戦でしたが、なんと西郷は1を出して失敗。これで徳川の勝利が決まりました。

今回薩長は支持獲得があまりに不運でした。しかしゲーム自体は誰がどこに行き何をしたらいいのか悩ましく、戦闘で負けてもいろいろ挽回できる手があるなど、一発勝負にならない混沌とした面白さがあると思います。
インデックスへ