キエフの危機、西側の反撃
 
 カード併用の第一次世界大戦ゲームImperial tideを、子供が連合、私が中欧でやりました。

 このゲームは交互に手番を行うのですが、1手番では国ごとに持っている資源を使って1アクション(移動、戦闘、重砲購入など)を行うか、カードを出してそこに書いてある複数のアクションやイベントを順に行うかします。またターン終了時に生産力で捨て札を買って再使用することにより、兵力増強や砲弾生産、軍事行動、戦略戦闘など、翌年何に重点を置くのか間接的に決定します。
 戦闘はお互い損耗する消耗戦と、敵の撃退を狙う全力攻撃の二種類を選べ、どちらもその前に砲兵攻撃を行うことができます。移動アクションで部隊を塹壕化することができ、塹壕化部隊への全力攻撃は損害が1減って退却は無視されます。
 普通の国は首都を占領されると降伏しますが、ベルギー、セルビアは降伏せず、フランスはパリとナントを両方占領されないと降伏しません。そしてロシアは1917年にキエフ、ミンスク、リガを全て占領されるか、1918年にその内2つを占領されると講和します。
 勝利は中欧がパリ、キエフ、ベオグラードを全て取るか、連合がベルリンを取ったらサドンデスです。そうでなけば終了時により多くの敵首都を支配している側が勝ちます。この計算では連合に1を加え、同点なら連合が勝利します。またエッセンとフランクフルトはそれぞれ首都1つ分と数え、ロシアについてはキエフ、ミンスク、リガを全て支配して1つ分になります。

 第一次大戦というと、どうしてもPaths of Gloryと比較されることになります。Paths of Gloryは面白いゲームでしたが、私にとっては面倒だなという思う点がいくつかありました。
 一つは戦争状態やデッキ圧縮で、これによって使いたくもないイベントを起こしたり逆だったりします。これは私にとって面白さよりストレス感の方が勝るもので、本当に歴史性に貢献しているのかも疑問でした。
 もう一つはターン終了時に補給切れだと、全滅かつ再生産も不可能になるため、事故でいきなりゲームが終わる可能性があることです。非常に長いゲームでこれはいただけません。またこれがあるため作戦を異常に神経質になって考えなければならず、長時間化に拍車をかけてしまいます。
 Imperial tideではこの辺りをばっさり切り捨て、参戦はスケジュールにより、ロシア革命も分かりやすい条件になり、戦力もポイントなのでいくらでも再生産できます。これらの簡略化やターンが4分の1になったことで、長すぎたPaths of gloryより遥かに短くやりやすいゲームとなりました。


 1914年、過去に類を見ない未曽有の大戦争が勃発。中欧はベルキー国境を攻撃後それ以上の侵攻を行わず、ベオグラード攻略とロシア攻撃に移ります。その結果ドイツはタンネンベルクに始まってミンスク占領に成功します。

(置いてあるカードはホールドイベント、後でいつでも実行できる)

 1915年、中欧は戦力増強と東部の攻撃を重視し、リガまで占領しますが、ロシアはミンスクまでの道を塹壕化して固め、攻略は容易ではなさそうです。バルカン方面ではオーストリアハンガリーがセルビア全土を制圧したものの、英仏軍が上陸して対峙し、イタリアでも派遣されたフランス軍が攻撃を始め、西部では消耗攻撃がドイツを苦しめます。
 1916年、中欧はキエフまであと一歩と迫りますが、他戦線での西側の攻撃が厳しく、そちらへの対応に追われて落としきれません。
 1917年、中欧は生産を戦闘重視にしてキエフを落とし、ロシア革命に成功します。これにより手の空いた部隊がルーマニアも降伏させ、危険だったトルコを救援しました。しかしその分戦力不足気味で、アメリカ軍を加えた攻勢によりドイツ西部は破綻寸前です。

 1918年、強力な米仏共同軍はついに西部戦線を破り、一度はドイツも弾幕砲撃で撃退したものの、新手のアメリカ軍を止めきれずに中欧の敗北です。


 プレイ時間は約8時間で、初めてのプレイにも関わらず途中で破綻することも無く、最後まで緊張感のあるゲームができました。 全体的に無くても良いものを省いて、戦略のおもしろい部分に集中した作りになっており、なかなか良い感じだと思います。もちろんより大規模なPaths of Gloryほど戦略は多様ではありませんが、カード回しを利用した非現実的な戦略も無さそうなので、これもそれほど悪いことではないでしょう。
 いくつかルール誤りや訂正があったのでメモしておきます。
・資源ポイントによる攻撃は、各国につき年1度まで。(6.7.3)
・資源ポイントによる補充は1つの国籍なら複数エリアに行ってよいが、新造は1エリアだけ。(6.7.5)
・連合は資源ポイントによる海上輸送を、1年に1回だけ行える。(6.7.7)
・1914年はカードを2つに分けない。(6.14 IMPORTANT)
・#5,17,21のカードだけは、同じユニットが移動と攻撃を続けて行える。イラータ[6.2.4]
・1枚のカードで2つの攻撃ができても、2回とも同じ所を攻撃することはできない。Q&A 6)
・参戦前の国は補充等一切何もできない。Q&A
 それから6.2.5のスタックの各特例は、マップ全体で1か所だけではなく、複数個所で可能という事を、BGGでデザイナーに確認しました。例えば英連邦かフランスの1戦力ポイントを、何か所でも、セルビア、イタリア、ギリシャ、ルーマニア軍ユニット(任意の戦力)とスタックさせることができます。
 
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