阿波踊り
ゲームジャーナルの信長包囲戦を初プレイしました。前に大阪のサクラ会にいて、長岡に引越してこられた方との対戦で、私が反織田です。
序盤から織田は順調で、第1ターン浅井、第2ターン朝倉と滅ぼされたのに対し、反織田はしばらく義昭の謀略も極楽も毛利も来ず、中枢部にろくにちょっかいも出せないまま、中盤にはカード数が8対4となります。
このような状況で武田を参戦させても、ただ叩かれるだけと思えたので、反織田は毛利と上杉を参戦させます。これに対して織田は主力で播磨を占領し、調略でさらに阿波讃岐を押さえ、10補給エリアとなります。
反織田大ピンチですが、これはチャンスでもあります。石山に集結し時を待っていた本願寺勢は、この時とばかりに極楽を唱えて京を占領します。次に門徒を増大させて南近江に攻め込めば、勝利の可能性大!と思いきや、織田主力は兵たんの確保を隠し持っていました。増大した門徒勢は、やむなく丹波で足止めをして終わりです。
第7ターン京では希望がないと見た一向宗は先手をとり、2部隊を残して阿波を奪還に行きます。ここで反織田はカード3枚で、武田の参戦まではあと3ボックス。東は大丈夫とふんだ織田は鉄甲船で阿波に渡り、一向宗を一撃で撃滅しました。
一見織田の作戦は大成功に見えました。しかし顕如は京に落ち延び、そして反織田は上洛要請と外交で武田を参戦させ美濃を占領します。こうなると鉄甲船がターン中1回しか使えないため、織田主力が兵たんの確保を使っても、阿波踊りを踊ることしかできません。そのため織田方が敗北を防ぐには、長嶋の5ユニットで京の門徒3ユニットを全滅させる必要があります。そしてその攻撃はわずかに及ばず、反織田の勝利となりました。
このゲームはルールが簡単な上に戦略的バリエーションが広く、かなり良くできていると思います。同社の「信長最大の危機(以下信危機)」に満足せず、敢えて同じテーマでぶつけてきただけあって、完全に信危機を越えています。
信危機は、戦力、街道、大大名の参戦時期等によって、主要な戦略(侵攻順序)はほとんど決まっており、織田方は弱い敵から順に叩いて戦力を増やしていくしかありません(もちろん無謀なギャンブルは別です)。カード、チット、サイの目の運は非常に大きいですが、それらは結局織田方の侵攻スケジュールの早い遅いに影響するだけで(そして修正不能に遅れた時点で織田が負ける)、戦略にはほとんど影響しません。ただこういった特性はシミュレーションとしては必ずしも欠点とはされず、常にヒストリカルな展開を望む人にはむしろ信危機の方が好まれるのでしょう。
それに対して包囲戦は、必要戦力の確保に必ずしも領土拡大は必要でなく、移動に制限も少なく、大大名の参戦もプレイヤーの意志とカードしだいで柔軟に変わります。しかも小大名や本願寺をより積極的に活用できたりと、お互い幅広い戦略が可能です。そのため数回のプレイでパターンが決まってしまうようなことはなく、また運だけでバランスが崩れる可能性も十分に抑えられているので、ゲーム性は遥かに高くなっています。そのくせ長嶋が中盤まで残り易いとか、家康が反織田にならないとか、意外に信危機よりヒストリカルになっている部分もあり、シミュレーションとしても侮れません。この号はこのゲームのためだけに買う価値ありです。
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