バルカンの嵐
 
 Paths of Gloryのキャンペーンを始めました。

 今回はGMTのホームページで紹介された選択ルールの一つで、LutskとStanislawに1個軍団ずつを置き、ロシア・オーストリア間の大穴を塞ぐというのを使いました。普通の配置では、いきなりオーストリアの1個軍が包囲され得る体勢から始まっていますが、それはひどすぎるのではと考えました。
 それ以外は全ての訂正を反映した標準ルールです。

 担当は私が連合軍、Y君が中欧です。Y君は前回の私の中欧での失敗をもとに、2つの新戦略を打ち出しています。
 1つは中欧が限定戦争で戦っても苦しくなる一方なので、戦争状態を上げるイベントは全て実行し、可能な限り早く総力戦に突入し、それから本格的な攻勢に移るという戦略です。
 もう1つはGuns of Augustを使わないことです。これによりSedanのフランス軍を1つ高いコラムで攻撃でき、加えて危険な状態にあるTarnopolのオーストリア軍を逃がすことができます。Liegeを落とすのは容易なので、特に急ぐ必要はありません。


8月の西部戦線砲声無し

 開戦とともにドイツは4個軍でSedanに側面攻撃を試みますが、失敗して損害を受けてしまいます。これを見てドイツは早くもフランス侵攻をあきらめます。BEFがVerdunに入ると、ただでさえフランス作戦は余りうまく行かないのを知っているからです。
 代わりに中欧は、このターンのオーストリアの強制的攻勢を満たすため、セルビアを目標とします。連合軍も、ロシア国境付近のオーストリアが体勢を整えてしまったため、ここでの攻勢ができません。自然に戦いの焦点は、セルビアに集まっていきます。


プートニクの秘策

 オーストリアがベオグラードへの攻撃体勢を整えると、セルビアは直ぐに全軍をSkopjeの山中へ下げます。オーストリアはこれを追いかけますが、セルビアはざん壕を出してここを要塞化します。
 オーストリアはここを力攻めして、第1ターンの終わりまでにセルビア1個軍を撃破しますが、攻撃を急いだためベオグラードは手付かずでした。最終ラウンドに連合軍は残しておいた4/4のカードで補充し、セルビア軍をベオグラードに復活させてしまいます。
 オーストリア軍は連絡途絶の危機に陥り、仕方なく撤退していきます。プートニクの大勝利です。この後もプートニクは奮戦を続け、1915年末に彼が死ぬまでSkopjeは持ちこたえました。



イタリア参戦


ベルリン攻略作戦

 第4ターンに両軍とも限定戦争に突入すると、すぐにイタリアが参戦します。この参戦は奇襲になる可能性があったのですが、マタ・ハリに情報を探り出され、国境を固められてしまいました。イタリアはすぐに撤退し、動員体勢に入ります。
 限定戦争中は、中欧がイベント中心であまり攻勢にでないため、しばらくは大きな動きはありませんでした。そこで沈黙を破ったのはロシア軍です。
 ロシア国境の中欧軍は、Cracow、Przemysl付近の中央部に主力を置いていたため、北部は手薄となっていました。ロシアは最初は目立たないように、初期配置の部隊で少しずつ国境のドイツの砦を落としていましたが、増援が前線に到着すると、一気に北部の海岸沿いを通って3個軍でベルリンに接敵します。
 ドイツも何とか援軍を送って互角の戦力とし、ベルリン陥落の可能性は13/36となりました。ロシアはこの賭けに乗ることを選び、共にサイを振りましたが、残念ながらロシア軍は破れ、撤退の途につきました。



ベルリン攻略失敗


イタリアの本領発揮

 第8ターンに中欧は遂に総力戦に突入します。そしてドイツが攻撃目標に選んだのはイタリアでした。
 ドイツは国境の1個軍に軍団をスタックさせると、大胆にもイタリア4個軍に側面攻撃を受ける位置に前進してきました。「イタリアをなめるなー!」叫びながら、側面攻撃を試みるイタリア軍でしたが、やはり血は争えず、2以下を出して失敗します。
 ドイツは失った軍団の代わりに、1個軍を呼んできます。「今度こそイタリア魂ってやつを見せてやるぜー!」と、再び側面攻撃を試みるイタリア軍でしたが、本当にイタリア魂を見せてまたもや失敗し、ぼろぼろになって引き揚げていきました。
 イタリア4個軍もいれば、さすがにドイツ1個軍には勝てると思った私が愚かだったのでしょうか。



イタリア軍崩壊


西部攻勢

 連合軍は第9ターンの最後にサロニカを使い、総力戦突入に必要な最後のポイントを獲得します。サロニカにはイギリス・オーストラリア軍団が輸送され、直後の補充フェイズにセルビア軍が復活します。オーストリアにはこのプートニクの亡霊を退治する余力はありません。そして第10ターンに総力戦に突入した連合軍は、すぐにラーテナウの産業基盤を破壊しました。
 トルコは軍を編成しロシアに向けて進撃を開始しますが、ロシアは最初の機会にコーカサス軍を編成しておらず、イタリアの対応等で手一杯だった連合軍は、結局コーカサスを失ってしまいます。イギリスが近東軍を編成しますが、とって返したトルコ軍に止められてしまい、成果は上がりません。
 ロシアはまだ持ちこたえているものの、このままではまずいと考えた連合軍は、フランスの強制的攻勢を機に西部で攻勢に出ます。
 Verdun、Nancyからイギリス軍、mulhouseからフランス軍が攻撃し、他のフランス軍がSedan、Liegeに前進します。無理を承知の強引な攻撃でしたが、ドイツ軍のSedanへの反撃が失敗。そしてフランスによるKoblenz攻撃が成功し、レベル2のざん壕を奪取します。
 ドイツはこれに対応するため、イタリアから1個軍を引き抜ざるをえませんでした。これで一応の作戦成功を見た連合軍ですが、無理な攻勢で損害も大きく、次のターンのドイツの反撃に耐えられるかが危ぶまれます。



西部突破


というところで1日目第13ターンが終了しました。現在のVPは14です。


 Paths of Gloryの後編です。なおうまく撮れていなかったため、今回は写真がありません。

 さて前回連合軍はかろうじて持ちこたえたものの、西部戦線、イタリア戦線は危険な状況です。果たして逆転のチャンスはあるのでしょうか?


イタリア脱落?

 第14ターンに入って反撃の余裕ができた中欧は、オーストリアに強制的攻勢が出たこともあって、イタリアで攻撃を開始します。
 イタリア軍はすでにローマまで押し込まれていましたが、ローマには港が無いため、オーストリアが東側海岸から南部にせまると、イタリア軍はさらにナポリまで下がらざるを得なくなります。ここが落ちるとイタリアは完全に脱落です。
 中欧はイタリアを完全に征服して、勝利を決定付ける誘惑に駆られます。連合軍の最後の拠点であるナポリのイタリア軍とジェノバのフランス軍に接敵しますが、どちらも側面攻撃を受ける形での前進であり、危険な賭けでもあります。もちろん連合軍は両方で側面攻撃を試みます。今度こそイタリアの意地を見せねばなりません。
 まずイタリア軍の側面攻撃ですが、イタリアの意地を見せてまたもや失敗。もうさすがと言う他はありません。ただ攻撃の目は良く、何とか持ちこたえます。
 一方、フランスの反撃は大成功で、イタリア北部の中欧軍に大打撃を与えます。この逆転のチャンスをフランス軍は逃さず、中欧の残存部隊を次々撃破します。唯一残ったドイツの減少戦力軍は、国境の要塞に逃げ帰りました。ついに念願のイタリア奪還成功です。
 イタリア相手には十分だったオーストリア軍も、フランス軍の相手をするには荷が重すぎたようです。連合軍はサドンデスの危機を乗り切りました。


プートニクの子供たち

 オーストリアが弱っているこの機に乗じて、再建されたセルビア軍を主力とする連合軍は、サロニカから反撃を開始します。
 まず隣接するブルガリア軍と、セルビアへの入り口を塞ぐオーストリア軍を攻撃し、どちらも一撃で撃破します。次にセルビア軍をソフィアへ北上させて、中欧の中心からトルコ、ブルガリアを切り離し、同時にイギリス予備軍団を投入して、コンスタンチノープルへ向かわせます。これによりブルガリア全体が補給切れになり、連合軍の手に落ちました。
 その後プートニクの子供たちは、再建されたイタリア軍と共にセルビアの解放を進め、ベオグラード目前まで迫ります。


MEFのきらめき

 ブルガリア占領後、次の連合軍の目標はコンスタンチノープルです。ここが落ちれば連合軍の勝利はほぼ確定します。
 トルコはこの危機にイスラム軍を編成します。それに対して連合軍は、上陸以来休眠状態だったMEFと共同して、ガリポリのトルコ軍を撃破し、MEFをガリポリに進めます。トルコは反撃してMEFを後退させたので、連合軍は軍団だけで攻撃しますが、戦力不足の第1次攻撃は失敗します。
 そしてトルコは減少した戦力を他から引き抜いて埋め、連合軍もMEFを軍団に合流します。そしてトルコがざん壕構築に失敗した後、最後のチャンスの第2次攻撃です。
 連合軍はハリケーンの支援を受けて、4対4の攻撃の成功率は16/36。しかし勝利を賭けた連合軍の攻撃は失敗に終わり、MEFは失われてしまいました。


カイザー攻勢

 イタリア作戦の失敗の後、中欧はいまだ優勢な戦力を持つ西部戦線に勝利への道を求めます。
 強力なドイツ軍の攻撃に、ざん壕線を作っていなかった連合軍は、激しい戦いの中、北部で徐々に押されていきます。そしてカレーに押し込められたイギリス・ベルギー軍でしたが、ざん壕構築に成功して、何とかここに踏みとどまりました。そこでドイツ軍は方向転換し、南進してシャトーシェリーからパリを窺います。
 パリを失うとフランス軍の再建が不可能になるため、連合軍はイギリス軍で反撃します。戦力で劣るイギリス軍でしたが、イタリア軍と違って統制が取れてサイの目の良いイギリス軍は、2回目にはBEFも投入して、2度とも撃退します。
 連合軍は戦力が残り少なかったため、第18ターンの最終ラウンドで反撃せずに補充し、第19ターンの始めにベルダンを包囲されます。しかし補充した戦力を背景に連合軍は大反撃を開始し、フランス北部およびベルダンへの補給線を回復します。前のターンにトリエステ包囲の危機に対応するため補充のできなかったドイツ軍は、もはや攻勢をとる余力はなく、南部に一部の部隊を残してドイツ国内に引き揚げることになりました。


バーゲンセール

 最終ターン、もはや互いに決定的勝利を得るチャンスは無くなりました。後はVPスペースをめぐる仁義無き奪い合いです。
 中欧はまずオーストリア東部の奪還を狙います。ロシアはこれに対してブルシーロフ攻勢を発動しますが、南部のドイツ主力に対する攻撃は失敗し、2ヶ所を失います。
 逆に連合軍はロシア北部で攻撃し、ケーニヒスベルクを占領します。そしてさらなる前進を狙うとともに、フランス南部の奪回を開始します。しかし31/36で成功するはずのディジョン奪回に失敗し、ナンシーの奪還は間に合わなくなりました。
 そしてロシアがダンツィヒを奪ったり、トルコがペルシャのアワーズを奪ったり、あちこちで奪い合いをした結果は10VP。グレートウォーはどちらも勝利を得ること無く、疲弊した各国は和平を結ぶこととなりました。


 Y君の新戦略はその有効性が確認されましたが、残念ながらイタリアやフランスで攻め切れなかったことで、ゲームは引き分けとなりました。
 どちらの陣営もゲーム中に何回か勝ちそうになりながらあと一歩届かず、二転三転して微妙なバランスを保ちながらゲームが進むところに、このゲームの完成度の高さが感じられます。


 最後に次回のための連合軍の反省点をまとめておきます。

イタリア

・ドイツが序盤にフランスを攻撃しない場合、ロシアでオーストリアを攻めるなどして、イタリアに対する圧力を軽減する。
・オーストリア国境はフランス軍で守り、イタリア軍はバルカンに送る。

中東

・コーカサス軍は最初の機会に編成し、全方向からトルコに圧力をかける。
 
インデックスへ