カムバック
 
 アメリカ独立戦争(Decision in North America)の3回目です。前2回のプレイやネットで見つけたプレイや本誌のリプレイで、選択ルールを全て使う対戦ではアメリカが全て最終ターンを待たずに圧勝していて、アメリカが有利そうなので、イギリスが不利な選択ルールを除いてやってみました。具体的には以下の通りです。

1.日本版独自のレキシントンコンコードの収入1を元通り0とする。
2.選択ルールはパルチザンを使用しない。

 今回は子供がイギリス、私がアメリカでやります。


 第1ターン、アメリカは革命の進展を止められるものの、欧州情勢では勝ち、地域忠誠でもヴァージニアとカナダで勝利します。さらに私略船で英本土部隊の到着を阻止したアメリカは、アーノルドの軍がニューヨークに入りイギリスの侵攻を阻止します。一方イギリスはニューイングランドの収入を全て押さえ、深南部では自軍民兵の除去に成功してアメリカ民兵を置きにくくします。
 第2ターンは、アメリカが革命進展でも欧州情勢でも勝ち、フランス参戦です。フランス軍はニューヨークのアメリカ軍に合流し、このターン収入で10ほど上回るイギリス軍を抑えます。イギリスはまたも本国軍が足止めされて苦しい状況ですが、アメリカも戦術の数に自信が持てず、強行軍の損耗リスクを負ってまでイギリス軍を攻撃しませんでした。ヴァージニアからもイギリス軍がいなくなり、アメリカ民兵は退役チェックを受けましたが、奇跡的に誰も家に帰りませんでした。
 第3ターン、マーカー両者6点で振った欧州情勢でアメリカは負け、なんとフランスは同盟を解消してしまいます。ターン中は戦術を頼みにニューヨークで立ちはだかっていたリンカーンでしたが、次のターンのリスクを恐れ、最後に主力を後退させます。

 第4ターン、収入でもわずかに上回ったアメリカは、フランスの再同盟に期待を掛けますが、民衆扇動マーカーの引きが悪く、欧州情勢はついに中立に戻ってしまいます。イギリスは当然この機を捉えてニューヨークに前進し、有利の拡大を図ります。これに対しリンカーンは譲らず、数では劣るものの断固決戦を挑みます。
 戦闘ユニット数ではイギリス14対アメリカ11でイギリスが勝り、部隊の質でもイギリスが少し上です。先撃ちに修正を受けられる軽歩兵でも同数。アメリカに勝ち目はあるのでしょうか?そして戦術マーカーの出し合い。イギリス3枚に対してアメリカは貯めに貯めた8枚。アメリカ軍が先手となります。とは言えイギリスの方が数が多いので、アメリカ軍の当たりが悪ければまだ分かりません。そしてアメリカの攻撃。期待値より少し高め。アメリカは一安心です。そしてイギリスは撤退を選ばず反撃します。しかしこれが大外れ。アメリカの再度の攻撃でイギリス軍は大損害を出し敗走します。勝利に沸くアメリカ。フランス無しでもアメリカはここまでやれる。
 第5ターン、フランスの収入は無いものの、ヴァージニアと最南部で3段階の忠誠度を持つアメリカは、収入で36対39とそれほど見劣りしない状況。そしてここでアメリカは革命進展でも欧州情勢でも勝ち、さらに地域でも4地域を忠誠レベル3にして、政治的に大きく優勢になります。ただし代わりにイギリスには特別増援が届き、戦力的にはイギリスが優勢です。アメリカは私略船で一部妨害するものの、民衆扇動が多い分戦術は少ないので、ニューヨークは明け渡して後退します。
 第6ターン、アメリカは再び革命進展と欧州情勢で勝ち、ついに念願のフランス再同盟です。これでイギリスを中部から追い出したいところ。ところがイギリスの収入はこのターン52にも達し、43のアメリカを大きく上回ります。しかもこの年はイギリスの私略船が活躍し、フランス軍は止められ、イギリスの増援が上陸します。強大なイギリス軍にはとても対抗しきれないアメリカ軍。中部はおろか、ヴァージニアの一部までイギリス軍は占領します。


 第7ターン、革命は進展し連合規約は批准されますが、欧州では動かずスペインの参戦はお預けとなります。しかしイギリスは支配地を大きく広げたこととさいの目で、このターンの収入が61にもなり、逆にさいの目も悪かったアメリカの収入29に大きな差をつけます。
 そして先手を取ったイギリス軍。なんとアメリカの予想を超える40以上の戦力を持っていたため、足止めのために置いたリッチモンドの正規兵2ユニットをオーバーランして、ヒルズボロにいたワシントンの本隊を直撃します。戦力でも戦術でも太刀打ちできないワシントン。完敗を喫し、軽歩兵3ユニットだけとなって命からがら脱出します。
 ぼろぼろになった大陸軍。しかしワシントンはあきらめず、軽歩兵の利点を生かし、山岳道を通って北に抜け、カナダにまで達してモントリオールを占領します。しかしフランス軍はまたも食い止められており、アメリカ国内の支配地はわずかしかない状況。逆転のチャンスはあるのか?

 第8ターン、イギリスはもう金が余って買うものが無い状況。アメリカは勝利判定のため民兵を空いている土地にばらまきます。そして民衆扇動。現在アメリカは4つの地域でレベル2以上の忠誠度を持ち、政治的勝利を達成している状況です。民衆扇動でこれを維持できれば少なくともイギリスの勝利を阻止できますが。
 しかしアメリカが引けた民衆扇動マーカーはたった2枚。イギリスは前のターンの戦闘勝利で引いたマーカーを貯めておいたのでしょう。これでは民衆扇動でアメリカに勝ち目は無く、アメリカの政治的勝利は崩れます。
 アメリカ、あとは戦役でなんとかするしかありません。唯一アメリカ側にレベル3で残ったニューイングランド。ここだけが唯一の望みです。なおコマンド本誌リプレイでは勝利判定の時に政治価値2倍は影響しないように書いてありますが、英文のQ&Aでは勝利判定でも2倍となるよう書いてあるので、Q&A通りとします。
 まずアメリカは、フランス軍とスペイン軍でカリブの島々やフロリダを襲撃します。またフランス軍の半分はケベックを攻囲占領します。一方ニューイングランド内では、動員した3ユニットのアメリカ正規兵でボストンを攻囲します。しかし弱いと思ったボストンのイギリス軍は健闘し、アメリカ軍は撃退されてしまいます。

 最後ワシントンは何とかイギリスの支配を減らそうとアメリカに戻って転戦しますが、圧倒的な戦力のイギリス軍相手には大して効果がありません。結局イギリスはケベックを上陸で奪還し、カナダの政治価値が2倍になっていることから、46点の政治価値を獲得してイギリスの軍事的勝利(36点以上で達成)です。


 フランスの参加が大きく遅れたことが、アメリカ最大の敗因でしょう。前回までと違って収入バランスがよりイギリスに傾いているので、早めに独立宣言をしておかないとこういうリスクがあります。またこの状況でも、扇動の引きがもう少しましだったり、イギリス軍の戦力見積もりを誤ってオーバーランされなかったりすれば、アメリカにも十分チャンスはあったので、冒頭のルールでのバランスはかなり良いと思います。
 
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