リチャード親子
 
 子供とゲームジャーナルの薔薇戦争をやりました。これはもう何度も繰り返されている太平記の焼き直しで、15世紀イギリスで起こった薔薇戦争をテーマにしたゲームです。特に特徴的なのは、ロンドンを支配しているプレイヤーが、敵を戦闘で倒すと1/2の確率でロンドン塔送りにでき、さらにロンドン塔に囚われている貴族を助けて味方にしたり、敵なら処刑したりできる可能性があることです。
 今回は子供がランカスター家、私がヨーク家です。

 幸運にも史実通りいきなり強力なウォリック伯(通称キングメイカー)を味方にしたヨーク公リチャード。そのままサウスミッドランドに前進すると、サマセット伯を蹴散らし、地元のアランデル伯の手を借りてこれを支配します。ただし肝心のウォリック伯は寝返りの危険を避けてウェールズに進み、サマセット伯らはウエストミッドランドに退却しますが、その両方とロンドンのどれも支配に失敗します。
 第2ターン、ヨーク公はロンドンへ突入し、ヘンリー6世夫妻を追い出しますが、ロンドンの支配には失敗。これによりランカスター家は4点を獲得します。しかしヨーク家には長子エドワード4世が登場し、次に期待をつなぎます。
 第3ターンにヨーク家は初めて主導権を取り、ロンドン、ノースミッドランドを支配します。しかし第4ターンにはまた主導権を取られ、エドワード4世は奮戦するも数の差を覆すことができず、ノースミッドランドはランカスター家の手に落ちます。さらに第5ターンもランカスター家は主導権を取り、ヨーク家は攻勢に出ることができず、ついにランカスター家の累計得点は8点と勝利まであと2点に迫ります。
 第6ターン、ようやく2回目の主導権を得たヨーク家は、リチャード4世でノースウエストを攻め落とし、ウォリック伯でノースを支配しますが、ランカスター家もまた孤立していたサウスウエストを攻め落とします。ただランカスター家がカレーの支配に失敗したことで、ぎりぎりヨーク家は敗北を免れました。


 第7ターンも主導権を取ったヨーク家は、ウェールズの敵を追い出して支配し、ようやく1点を獲得します。そしてさらに重要なことに、ヨーク家にはグロスター公リチャード3世が登場し、親子3人の最強態勢が確立します。第8ターンさらに主導権を取ったヨーク家は、領土の拡大こそできなかったものの、ノースウエストに侵入してきたバッキンガム公を、ウォリック伯が討ち取ります。
 第9ターン主導権を取ったランカスター家は、エクセター公指揮の元ついにロンドンへ突入。ヨーク公は王位を失って落ち延びます。しかし彼の子らエドワード4世はウエストミッドランド、リチャード3世はノースミッドランドに侵攻し、ランカスター家の軍を叩き出します。ただどちらの陣営もこのターンの支配には失敗し、結果としてヨーク家はさらに2点稼いで、ランカスター家の累計得点は4まで下がりました。
 第10ターン、再び主導権を取ったランカスター家は、エクセター公でリチャード3世を攻撃。前回の戦いで力を使い果たしていたリチャード3世は、逃げることもかなわず討ち死にしてしまいます。しかしエドワード4世はサウスウエストの、ウォリック伯はウエストミッドランドの支配に成功し、エクセター公はノースミッドランドの支配に失敗したため、ヨーク家は一気に3点を獲得します。
 ここで第11、12ターンと連続で主導権を取ったヨーク家は、エドワード4世でサウスイーストからロンドンへと進み、再びロンドンの主となります。これにより累計得点はヨーク家側に6点となりました。
 しかしそれも束の間。第13ターンには主導権をとったランカスター家が、またエクセター公率いる部隊で総攻撃して、ロンドンはあえなく陥落。父に続いてエドワード4世も落ち延びることになります。そして第14ターン、ロンドンを脱出して逃避行を続けていたエドワード4世は、先の脱出後ヨークシャーで戦力を整えていた父リチャードと再会。主導権を持って親子でノースミッドランドに侵攻します。さらに時を同じくして、ノースウエストで戦力を再建していたウォリック伯も、サウスミッドランドに侵攻し、錯乱していたヘンリー6世を打ち破ります。そしてヨーク家は両方とも支配に成功し、10点に到達。薔薇戦争はヨーク家の勝利で幕を閉じました。


 ランカスター家もかなり勝利に近い所まで行きましたが惜しくも届かず、勝利はウォリック伯、エドワード4世、リチャード3世と最強の人材が揃ったヨーク家のものとなりました。ランカスター家もヘンリー7世を出そうと表のリッチモンド伯を2度3度戦いに出しはしたのですが、うまく倒れてくれませんでした。プレイ時間は4時間程度でした。

 この薔薇戦争は、太平記とその類似ゲームの中では、特別良くできていると思います。太平記のシステムは良いのですが、今までいくつかやったゲームはどれも、バランスが崩れていたり、主導権がちょっと偏るとどうにもならずにすぐ勝負がついたりしていました。
 しかし薔薇戦争では、退却がしやすく一度の決戦で全滅しにくいので、ちょっと主導権が偏ったくらいではすぐに勝負がついたりしません。最初強いランカスター家も、ヨーク家に強い貴族が登場しやすいことでだんだんバランスが揺り戻してきます。ロンドン塔のルールも王権の強さ=ロンドン支配の重要さを表しているとともに、ゲームに趣向を与えてくれます。他にも1回の通行上限を少なくしたことや、敵支配地に退却できること、外国への逃亡、貴族が表裏同時には戦死しないこと、ただの戦死では点数にならないことなど、いろいろ細かい所でうまくバランスが取られていると思います。
 
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