真の敵は常に一人
 
 第4ターンに入りY君がアテネ艦隊を手に入れたことで、かさいさんは最大艦隊を失い、私のフェニキア侵攻も進んで、かさいさんの脅威は落ちつきます。逆に私はバビロン陥落でできた旧杉さん領の空き地に支配を延ばし、アレキサンダー4世によるこのターン終わりの勝利の可能性がでてきました。
 しかしこのメンバー、そんな甘くはいかないだろうなと思っていたら案の定、Y君が奇想天外な大技をかけてきました。まずマケドニアから海上移動を始め、それに自ら海上の嵐カードをかけ、さらにそれに対して自らクレタ人の嘘つきをかけて、副次効果で自らのキリキア人海賊を消し、それによってかさいさんに再び最大艦隊を与えることによって、私が最大VP+正当値になるのを防ぐという、捨て身の技です。
 そして失意の私にさらなる危機が迫ります。自動的勝利の可能性を失った杉さん主力が、新たな可能性を目指してカパドキアを抜け、アルメニアに進出したのです。目標はもちろん私のメディアです。これを放置してメディアを失えば、私に勝ちはありません。しかし相手は私の主力から6MPも離れており、それも機動力に勝るレオナトスです。ただでさえ追い付けないし、例え追い付いたとしても回避されてしまいます。もしそれをメディアまで追いかけることになれば、今度はかさいさんの拡張を許すことになり、やはり私は勝てません。
 さてその時私の手に残っていたカードは2枚。そう、それこそこの時のために残しておいた、「キャンペーン」と、回避を無効にする「欺まんと奇襲」です。これにより私は奇跡的な強襲を果たします。
 しかしなんと杉さんもこのわずかな危険に備え、最後のカードとして切札「反抗」を残していました。これで杉さんは私の正規兵を1つ奪って、戦闘能力3のレオナトスに正規兵5、王室軍団4(計18戦力)+象3となり、私は戦闘能力4のリシマコスに正規兵5、シルバーシールド2(計16戦力)+象5と、僅差になります。ところがここで私が引いた補充カードは、なんとアンティエレファンデヴァイス。これが決め手となり、杉さんの撃破に成功します。
 しかしほっと息をついたのも束の間、ターンの最後に今度はペルシスで反乱が起こり、私はここの支配を失ってしまいます。ここで起きる確率は1/36だというのに。

 そして迎えた最終ターン、私は難しい判断を迫られます。部隊は皆前線に出払っており、今からペルシスに引き返しても、ゲーム終了に間に合うかどうかわかりませんし、前線の戦力も不足します。現地の守備隊に増援を加えて対処する手もありますが、戦力がぎりぎりになるので、目が悪いと鎮圧しきれない危険がありますし、杉さんとの戦闘で消耗したリシマコスの軍に補充ができなくなります。あるいは反乱を放置する手もありますが、この2VPが勝敗を分けることになるかもしれません。
 いろいろ考えた結果、増援はリシマコス隊に入れ、ダマスカス攻略を終えたばかりのエウメネス隊から、3傭兵をユデア攻略のために残し、エウメネスと4傭兵だけでペルシスに向かわせることにしました。
 今や勝負はほぼ私とかさいさんの争いとなっています。そして最終一つ前の私のラウンドには、ぎりぎりエウメネスが間に合い、ペルシスとユデアを両方支配することに成功して、私は20VPとなりました。一方かさいさんは現在エジプト、島国、カリア、最大艦隊の19VPで、そして今まさにフリュギアを落として逆転しようとしています。
 かさいさんに制海権を握られている私にとって、この状況を打開するには、リシマコスの主力でアンティゴノスの待ち受けるフリュギアに突入するしかありません。
 ここでアンティゴノスはすぐには迎撃せず、自分のラウンドにフリュギアの支配を確保し、地元兵力を加えてから攻撃します。それでもなお象5部隊を持つ私の方が有利ですが、ここでやはりかさいさんの最後の一枚は、狙い澄ました「脱走」。しかし私の最後の一枚もやはり万全を期した「クレタ人の嘘つき」で、脱走を無効にし、勝負はついたかに見えました。
 ところがいざ象の戦力決定の段で、象は次々に暴走し、5部隊もの象が1戦力にしかならず、わずか1コラム差となってしまいます。戦闘能力は互いに4。そして決戦のサイは私が最低の8で、かさいさんが9。・・引き分け?ということは・・・、リシマコスはかろうじてそこに踏みとどまり、フリュギアの支配を崩して、ぎりぎり1VP差で私の勝ちです。ターン始めの判断をどれ一つ誤っても、この勝利はありませんでした。

 
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