狐を恐れて虎を放つ
 
 今回のSuccessorsは、アンティパトロスとペイトンのY君、ペルディカスとレオナトスのかさいさん、プトレマイオスとリシマコスの杉さん、アンティゴノスとクラテラスの私です。
 第1ターンロードス島に先着した杉さんのリシマコスに対し、私はエウメネスを加えたアンティゴノスで攻撃します。海戦にも勝利し、さらに脱走も使って戦力は9対5となり、勝利を確信した私ですが、何とサイの目は8対11でリシマコスの勝利。
 エウメネスを呼ぶことを優先したため、ヘラクレスも取り損ねた私は、何とかフェニキアは押さえるものの、絶望的な状況です。そんな中央での混乱をいいことに、Y君はカードで戦力を増強し、かさいさんはリディアを奪います。私はかさいさんのペルディカスに有罪宣告し、クラテラスでダマスカスにヘレポリスを置いてターンを終えます。
 そして杉さんは最後の移動でロードス島の攻城を成功させ、次の降伏フェイズでの支配を待つばかりとなります。

 第2ターンVP最小のY君は、自分を最後番にするため、私を最初番に指名します。今を逃せば永遠にチャンスはないと、私は復活したアンティゴノスをカリアに置きます。そして最初のカードはアジア象。エジプト海軍の妨害をすり抜けたアンティゴノスは、1有利なコラムでリシマコスを攻撃し、今度は勝利を収めます。しかもロードスは包囲が完了した瞬間だったので、ただ取りとなります。
 さらにクラテラスのダマスカス攻めは、内部の裏切り者が出て一発で陥落。ヘラクレスの奪取にも成功します。私は第1ターンの不運を一気に吹き飛ばしたかに見えました。

 しかし中央に位置して3人から攻撃を受ける形は、なかなかうまく行きません。戦力で勝っていれば各個撃破の可能性もありますが、シルバーシールドとマケドニアからの正規兵を加えたY君や、もともと強力な上あまり動かず傭兵をためたかさいさんには、太刀打ちできません。私の領土は縮小していきます。
 さらにここで私の勝利を過剰に警戒したY君がとんでもない行動にでます。なんとペルディカスについていた有罪宣告を解除してしまったのです。
「ありえねー選択だ」
と私がいくら諭してもY君の決心は変わりません。狐を恐れるあまり虎を野に放ってしまいました。果たしてこの選択の結末は如何に?

「もーそんなことするから」
と私はオリンピアスを出します。有罪宣告がついたままなら、正当値9のペルディカスに対し、名声+2を持つクラテラスを使えば正当値10になり、ユーサーパーとなっているペルディカスの王室軍団を無効にして攻撃できるはずでした。Y君の心配はあながち間違っていたとは言えませんでした。ただ足の遅いクラテラスでは、例え正当値で勝っても、ペルディカスを捕捉できたかはわかりません。
 企みのついえた狐は、ヘラクレスによる第3ターン勝利の見込みがなくなり、地中海へ逃れるしかなくなります。代わりに正当値が12にもなったかさいさんは、VPはそこそこでもVP+正当値は圧倒的で、何とかしなければ第4ターンの終わりにアレキサンダー4世を擁立して勝ってしまいます。
 しかしこれを阻止すると言って小アジアのかさいさんの領土を奪いはじめたY君はY君で、それまで邪魔されずにヨーロッパを席巻していたため、23VPの自動的勝利目前となります。これを阻止しようにも唯一止められるかさいさんは近くにいません。全てはY君の狙いどおりに運ぶのか?
 ところがかさいさんは、ここでしっかり持っていたキャンペーンで、フリュギアにいたY君の攻城部隊を急襲します。各個撃破されてはたまらないY君は、ここに主力で迎撃して合流し、ペイトン対ペルディカス、戦力は両者振り切り、能力互角の大決戦となります。
 そして注目の中振られたサイは、かさいさんの勝ち。かさいさんは地上に敵無しとなります。実力では歯が立たない他のプレイヤーは、イベントによる阻止を試みるものの、私が背信のサイ振りに失敗し、勝利はかさいさんのものとなりました。もっとも例えサイ振りに成功していたとしても、かさいさんは最後に外交を残しており、覆ることはありませんでした。

 結局Y君は自ら放った虎に食われる結末となりました。
 後になって考えると、私がエジプトを持たない状態でロードスを落としても、なかなかそこからVPを延ばす道がなく、勝利に持っていくのは困難でした。むしろ遠回りに見えても、西と東に分かれたY君の弱みを利用し、メディアを奪って辺境の拠点を確保して、チャンスを待った方が良かったかも知れません。
 結果論でいえば、もしそうしていたらならY君が有罪宣告を解除することもなく、近くの拠点から奇襲的にペルディカスを襲うチャンスがきていたでしょう。

 
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