さ迷い人たち
 
Y君の捨てたカードをよく見ると
「フィリップ3世監視から抜け出す」
「終わってないぞ」
Y君は背信同様近くに軍がいないと使えないものと勘違いしていた。フィリップは私の陣営から抜け出し、勝利判定の瞬間ポイントが2下がる。勝利には1ポイント足りなくなった。ロードスを取り損ねて希望の無い状況からひねり出した唯一のチャンスも、これで水泡に帰した。
 第4ターン、普通にやってはもはや勝ち目のない私は、シリアにオーバースタックして最大コラムの戦力を集める。付近の敵に手あたりしだいに襲いかかろうという乱暴な戦略だ。しかし足の遅いクラテラスではそう簡単にいかない
 当然近くにいたエウメネスはバビロニアまで後退し、届く範囲に敵はいなくなる。このままでは兵力が損耗するばかり。ここで私はキャンペーンを出し、メディアにいたペルディカスを襲う。ここには私を避けて逃がしておいた王室軍団がいる。勝てば全部私のものになる。
 しかし杉さんは敢えて回避しない。それはシルバーシールドの寝返りを持っていたからだった。それでも戦力差は圧倒的で、私は王室軍団とアレクサンダー4世を手に入れるが、結果として戦力は増えず、足の遅いクラテラスが東に取り残された形となり、状況は好転していない。
 その間にY君はVP最大となるが、あきよしさんはそちらに向かわず、皆が止めるのを振り切って、少ない戦力をさらに2つに分けてエジプトとギリシャの両方に向かおうとする。エジプト侵攻軍はデメトリウスと傭兵3戦力しかない。これはトレイターを使ってエジプトを攻め、奇襲的に自動的勝利を得ることを狙ったものだったが、地域戦力のつくエジプト守備軍3傭兵に、この戦力ではやはり足りない。結局エジプト攻略には、プトレマイオスの本隊を呼ぶことになる。
 しかしあきよしさんはあきらめず、再びギリシャを目指す。そして素早く攻略を進め、ターンの終わりには、次に番が回ってくれば自動的勝利という所まで持っていく。制海権を握られているY君は海を渡れないので、直接対応は間に合わない。
 ここで最後番の杉さんが残していたのは、ギリシャの自由。ギリシャの守備隊を飛ばすだけなので、普通なら自分の番でまた置けばいいだけだ。しかし最終ラウンドに出したので、次にY君に先番を取らせれば、先に支配を置ける。
 これであきよしさんの野望も絶たれた。私は再びエジプトに戻り、エジプト支配は崩される。あきよしさんは最終的にギリシャを支配するものの、順調に領土を広げていたY君が1点差で勝利を手に入れた。
 この戦いで多くの者が国を失ってさ迷い、そして死んだ。初めからの都を守り通せたものは、ペルディカス一人しかいなかった。  
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