魔術師
 
 イベントによってカードが増えても、追加アクションは得られないことが分かってから、初めてのプレイです。サクセサーズはカードドゥリヴァンでは「ない」のです。
 今回は皆が固まった初期配置になり、東から、をかしらさんがペイトンとペルディカス、Y君がクラテラスとアンティゴノス、私がレオナトスとリシマコスとなりました。
 そして最後の杉さんは、プトレマイオスとアンティパトルスになるわけですが、はっきり言ってこの組み合わせは最悪です。統合されたレオナトス、リシマコスに、マケドニアを奪われる危険性が極めて高いのです。



マケドニア戦役

 アンティパトルスはユーサーパーなので、これを攻めても威信を失うことはない。2つの軍はすぐに合流してマケドニアになだれ込める位置にある。さらに手の中には、フィリップ3世、オリンピア、脱走とすばらしい切り札が揃っている。マケドニアは落ちたも同然だ。
 第1ラウンドに私はまずフィリップ3世で威信を上げる。これでアンティパトルスの王室軍団は使えなくなる。
 そしてレオナトスをリシマコスの元へ移動。次のラウンドにオリンピアを加えれば、たとえ雄弁の才を持たれていたとしても、王室軍団が生き返ることはない。そして指揮官を最強のリシマコスに切り替え、途中の守備隊を除去して退路を確保しながら進み、止めに脱走を仕掛けるのだ。多少増援が入ったとしても脱走兵が増えるだけ。完璧な計画!
 しかしアンティパトルスを操るのは、長年付き合い、私を知りつくしている杉さんだった。番が来るとすかさず
「絶対何か良いカードを持っているはずだ!」
とアフリマツダ&アーリマンを迷わず私に使う。そして当然のように「脱走」を引き当てた。
 第1ラウンドに即攻撃していれば・・。確率的には最善を尽くしたつもりだったが、人を読むのが足りなかった。
 第2ラウンド、脱走が最小で済むことに期待して侵入してみる。しかしやはり脱走は多く、攻撃を中止する。しかも杉さんはさらに象1部隊を加えてしまった。
「もうだめだ。あきらめよう。」
「帰れ。帰れ。」
 しかしそんなセリフはポーズだけである。第3ラウンド、ペラに疫病!
「油断も隙もない。」
「このインフルエンザは象にも感染するーー!」

「した」
 アンティパトルスは、驚異の疫病で登場したばかりの象を含めて大量の兵を失った。このせめぎ合い、こちらが少し上だったようだ。戦闘能力でも戦力でも1ずつ上回り、ペラの会戦に突入する。
 ところがサイの目は8対9。引き分けに終わってしまう。何故だ?そればかりか杉さんはさらにエウメネスを加え、能力も戦力も増強される。
「今度こそもうだめだ。あきらめた。」
私は国境まで下がり、徴兵を始めた。
 もちろん本気であきらめるつもりはない。この位置関係では、マケドニアを取る以外に道はないのだ。しかし第2ターンの増援で、杉さんは最大VPによる2傭兵が余計に入るので、戦力差はさらに開く。手元のカードで使えそうなのは、マケドニアの支配を崩せるトレイターくらいだ。
 様子をみながら、第3ラウンドにをかしらさんから、アフラマツダでカードを引いてみる。
「インフルエンザの突然変異」
ペラにはまた疫病が流行した。
「本当に油断も隙もない。」
 トレイターの手引きで最終ラウンドに再度侵攻した我々は、戦闘能力互角、戦力で1勝る。サイの目、「9!」、向こうは?
「10」
また引き分けだ。弱い。
 第3ターンの増援を受けたペラは再び攻略困難になった。
「いい加減に帰れ。」
「いいや、脱走!」
「まーったくもう油断も隙も、クレタ人の嘘!」
「あれ?じゃ、今までの事は水に流して。」
「てめー。」
虚々実々のマケドニア戦役は、杉さんが奇跡的な防衛を果たして終わった。


西へ

 同じころ東方では、セレウコスを加えたをかしらさんが戦力を蓄えていた。第2ターンに大王の葬儀を済ませると、西に向かって進撃が始まる。
 これに立ちはだかるのは、沿岸沿いに支配を広げるY君のアンティゴノスである。をかしらさんの接近に対し、支配拡大の為に分散している軍の集結を始めた。
 しかしをかしらさんの前進は速く、先にシリアに侵入されてしまう。そのためやむなくキリキアで待ち受けるが、移動力不足で配置が万全ではない。クラテラスを前衛に置き、敵に攻撃された時は、後方にいるアンティゴノスを迎撃で合流させる形なのだが、これは1/3で失敗してしまう。
 をかしらさんはこの隙を逃さず、キャンペーンでこれを強襲する。はたしてアンティゴノスは不意をつかれて迎撃に失敗し、Y君の不安は現実のものとなってしまう。クラテラスは傭兵と王室軍団から成る弱小部隊で、をかしらさんの大戦力には歯が立たないばかりか、威信でも劣っているため、王室軍団は主を見限ってペルディカスのもとに走ってしまった。
 王室軍団を吸収してコラムを振り切る大戦力となったをかしらさんは、さらに通常移動で退路の無いアンティゴノスを袋の鼠にする。アンティゴノスの持つヘラクレスを捕らえれば、このターン終わりに勝利宣言できるのは確実だ。
 しかし窮鼠は猫を噛む。何とアンティゴノスはその恐るべき采配で、戦闘を引き分けに持ち込み、かろうじて脱出に成功してしまったのだ。
 とは言え、をかしらさんにはアレキサンダー4世もいる。彼を止められるものは今や無く、勝利はもはや時間の問題と思われた。魔法でも使わない限り。


 
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