善なる者
 
 02年秋の長野合宿、初日は昨年からの約束だったサクセサーズをやりました。ターカヌさんとYENさんは初プレイです。
 ターカヌさんがアンティゴノスとレオナトスで、小アジアと機動性の高い将軍を独占します。YENさんはリシュマコスとクラテラスで、高い戦闘能力を持ちますが、離れた2人をどう連携するかが鍵になります。Y君はペルディッカスとペイトンで、東に磐石な構えです。
 そして私はアンティパトルスとプトレマイオス。能力最低の上に、最大の利点であるマケドニアの支配も、エジプトのVPで纂奪者(正当値を失わずに攻撃される)となってしまうため、風前の灯です。おそらく最悪の組み合わせでしょう。

 まずYENさんは、クラテラスでヘラクレスを手に入れ、リシュマコスはそちら方面に移動させて合流を目指します。そしてそれによって空いたトラキアを、小アジアの支配を終えたターカヌさんが侵略します。そしてその先にはマケドニアが。
 さらにYENさんの部隊もエジプトに迫りつつありましたが、両方は守れません。私は急ぎプトレマイオスをマケドニアに呼び、ぎりぎり間に合います。
 ターカヌさんは精鋭シルバーシールドを手に入れていましたが、私もマケドニアの支配による正規兵と、VP最大による追加の傭兵、そして2地方戦力を与えるポリパチョンとの同盟を得ていました。そのため首都ペラに篭る限りは、いかなアンティゴノスといえどもこれを倒すことは困難です。ここで睨み合っていても互いに得るものはないので、ここを休戦ラインとして互いに反対方向に進むことにしました。
 その一方Y君は、正当値最大による正規兵に加え、追加の象部隊を手に入れて、強大化していきます。これに対抗するためターカヌさんの部隊は東へ向かいます。
 ここでYENさんは、「東が危険だからエジプトなんか攻めてる場合じゃないですよ」との私の説得も虚しく、「この戦力で止められるわけじゃないし」とエジプトを陥落させてしまいました。これで私の領土はマケドニアだけになってしまいます。
 Y君の部隊はさらにインド象軍団も加え、象8部隊の超強力部隊となります。しかしターカヌさんも主力の2部隊を隣接させてシリアに置き、ここから先へは通しません。
 その間に私はアテネからロードスと支配を広げ、最大艦隊を手に入れます。そして待望のエウメネスも陣営に加え、将軍の能力も強化されます。またYENさんはキプロスを手に入れ、艦隊戦力で追いかけます。
 この時点でターカヌさんはVP20に達しており、あと3点で自動的勝利です。これを許すわけにはいかないので、Y君はイベントを使ってシリアの支配を崩し、ここに進撃します。地域戦力無しでは不利と見たターカヌさんは、無理をせず撤退します。さらに私もトラキアに侵入し、VPを奪います。
 しかしターカヌさんも反撃に出ます。少数の別動隊を編成し、カッパドキア、アルメニアを迂回してバビロニアへ侵入させます。この謎の移動に裏切りの可能性を感じたY君は、軍を引いて追いかけます。そしてターカヌさんはやはり持っていた裏切りを出して、バビロンにいるアレキサンダー4世を狙いますが、試みは失敗に終わりました。
 このような状況で迎えた第3ターンの終わりに、アフラマツダ&アーリマンにより、私は最終ラウンドのダブルアクションが可能になっていました。ここで残しておいたカードは、フィリップ3世脱出とキャンペーンです。
 現在フィリップ3世はYENさんの陣営に属し、主力と共にダマスカスに居ます。これを奪うため足の速いカサンドロスがロードス島に控えており、キャンペーンを併用して地中海を越え、フィリップ3世を連れ帰る算段です。
 この航海に5対3と劣勢なYENさんの艦隊が迎撃してきます。ところが私の艦隊はこれに破れ、目論見は波間に消えてしまいました。私は大きなチャンスを逃し、失意の内に第4ターンを迎えます。

 第4ターンの初めは、ターカヌさんとY君がVP同点のトップで2人とも纂奪者となり、私とYENさんがそれより1点少ないVPで並ぶという、極めて緊迫した状況で始まります。ただしVPでは均衡しているものの、最大の正当値を持ち、このターンの終わりに終了宣言ができるアレキサンダー4世を擁するY君が、かなり有利な状況です。
 ターカヌさんは別動隊をさらに進撃させてY君の領土を荒らしますが、Y君は都市の財宝を掘り当てて最後に2ラウンド行動できるようになったので、この程度では足りるかどうか判りません。
 そこで私はカサンドロスをリディアに上陸させ、首都サルディスを攻めつつ、そこにいたクレオパトラと結婚させます。さらにヘレスポントスを占領してVPも加え、VP+正当値でトップに立ってY君のこのターンの勝利宣言を防ぎます。
 しかしさすがに「これ以上の侵略は許さん」とターカヌさんの逆鱗に触れてしまったので、サルディスの包囲を解いて講和し、ギリシャの支配に向かいます。けれども独立勢力攻撃は全くはかどらず、ギリシャの制圧が途中のままこのターンの行動を終わります。
 そして最後のY君のダブルアクション、Y君の残しておいたカードは外交と小規模な襲撃でした。外交でヘレスポントスの支配を崩し、 私のVPを4減らしますが、襲撃で減らせる場所は他にありません。もし私が危険を察してマケドニアの中立軍を直前に制圧していなかったら、マケドニアの支配が失われるところでした。
 結局私とY君のVP+正当値は同点となり、2人の勝利となりました。一度の戦闘も行われることなく後継者争いは終結したのです。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。
 
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