要大修整
 
 太陽王の戦争(Vae Victis)をやってみました。このゲームはフランスの太陽王ルイ14世が戦った5つの戦争を各シナリオで行うものです。
 プレイヤーは領地から入る資源ポイントで、部隊や要塞、防衛線の生産、イニシアティブの修正、移動などを行います。また毎年閣僚の戦略方針決定があり、サイの目と生産力から決定される数を上限に、その年に行える大規模戦闘、攻囲、焦土戦術、おとり部隊(相手の攻撃をキャンセル)を選びますが、使い切れずに残るとその分栄光点を失います。
 移動は戦力に応じた資源を払えば何度でも行えて、長距離を移動するほど損耗も大きくなるものの、移動力は無限です。また敵要塞があってもそこを通過するのは自由で、敵がいてさえも指揮官の戦略能力差を修正して1Dで3以上を出せば通過することができます。
 戦闘は両者10戦力以上なら、戦略チットを必要とする3ラウンドの戦闘になり、勝つと栄光点獲得と自軍に有利な外交関係のシフトが起こります。どちらかが10戦力以下なら、チット不要で1ラウンドの小競り合いで、栄光点・シフトはありません。また迎撃や回避もあります。戦闘結果は戦力比、指揮能力、騎兵優勢、砲兵優勢、エリート優勢、防御施設などとサイの目によって決まります。
 攻囲もチットを出して1D回の強襲を攻囲表で行い、戦力比、修正とサイの目で結果を出します。4レベル要塞を1キャンペーンで落とせば、戦闘同様に栄光点と外交関係のシフトがあります。
 移動・戦闘等をやりたいだけやると自分の番(キャンペーン)が終了し、相手は5以下を出すとキャンペーンを行えますが、6を出すといきなりキャンペーン終了です。そしてこのキャンペーン継続をできる目の上限は手番が移るごとに1づつ小さくなっていきます。そしてキャンペーン終了後に、限られた条件で冬季移動を両者試みることができます。
 ゲームの勝利は、栄光点、生産力、同盟国数、目標ゾーンの4つの勝利条件の内3つを満たしたらサドンデス。最終ターンには2つ満たせば妥協の勝利となります。

 それでプレイですが、スペイン継承戦争をやってみたものの、1ターンやっただけでかなり変なので中止しました。
 まずやる前から大きな疑問だったのが戦闘結果表です。戦闘結果はA、B、C、Dの4つの結果があり、この結果と戦力を表に当てはめて最終的な損害を出すようになっているのですが、戦力はどちらの戦力を基にするのか書いてありません。
 最初損害を受けた側の戦力を基にするのかと思ったのですが、そうすると戦力比がどんなに高くても有利にならないどころか、下手をすると戦力が多い方が不利になってしまいます。そこで実損害は相手の戦力を基に計算することにしました。
 ただそうすると攻囲では圧倒的に戦力の少ない籠城側が不利すぎます。そこで攻囲戦では損害を受ける側の戦力を基にすることとしてやりました。

 しかしプレイを初めて見ると、全く謎展開。何度でも移動できて移動力は無限なので、いくらでも敵の奥地に入っていけます。長距離移動による損耗増加も一応ありますが、20戦力ではどんなにたくさん移動しても1戦力しか損耗を受けません。また一応迎撃や通過阻止の試みもできますが、両方に成功しなければ止められません。それは能力が同じならそれぞれ1Dで3以上と2以下で、たとえ止められても、もう一度移動コストを払えばまた移動できるので、なかなか止め切れません。
 その結果今回フランスは連合国後方の要塞の無い所をあらかた支配してしまい、一方プリンツ・オイゲンもまずパリ(イール・ド・フランス)に突入して栄光点を稼ぎ、その後ついでに近くの4レベル要塞を落としてしまいます。実際のこの時代の要塞線は敵の侵入を強力に阻止するようにできており、マールバラ公が巧みな技を駆使して、ようやく1つ2つ落として抜けられるようなものでした。だから全く敵を止められない要塞は現実的とは思えず、コストが高い割に全然役立ちません。
 さらにスペイン継承戦争シナリオでは、目標ゾーンが最初から全てフランス支配の場所にあり、フランスはこれを新たに獲得することができません。するとこの勝利条件は何をしてもフランス敗北から動かしようがないので、目標ゾーンを設定した意味が全くありません。

 結論としてこのゲームは、新しいアイディアもあって見どころはあるのですが、ディベロップが全くなっていません。相当改修しないとダメです。ひとまず以下のように変更して次回やってみます。
・A、B、C、Dの戦闘結果は、野戦では損害を与えた側の戦力を基に、攻囲では損害を受けた側の戦力を基に計算する。
・1回のキャンペーン中に各指揮官は一度しか移動できない。
・損耗の修正後サイの目が6を超えたら、7以上の欄に右のコラムの5、6の欄、そしてさらに右の5、6の欄・・と欄が続いているものとする。
・元々戦略値1以上の指揮官は損耗で−1修正がつくが(チャートでは記載が漏れている)、戦略値3以上の指揮官はさらに−1する。
・敵要塞ゾーンから敵支配ゾーンに移動する場合には、敵指揮官の存否に関わらずイニシアティブチェックが必要で、要塞のレベルをサイの目から引く。
・おとり部隊は、戦術値を使ったイニシアティブチェックに成功しないと効果が無く、失敗するとそのまま捨てられる。
・スペイン継承戦争シナリオでは、目標ゾーンを一部連合側に動かす。場所は要検討。
・要塞や防衛線の建設は1ターン1陣営当たり一度と書いてあるが、例では同時に4つの要塞を作っているので、「1ゾーン当たり」を追加する。
・攻囲が完了した時にしか支配マーカーを配置できると書いてないが、それだと要塞の無い所を支配できないので、移動や戦闘の終了時にも自軍しかいなければ支配できるものとする。
・小競り合いで負けた側は退却を強制される。BGGに書かれていたものだが、これが無いと少ない部隊でも簡単に敵の攻囲を阻止できてしまう。
 
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