パナマ危機
 
 シュプレマシーを4人でやりました。戦術やランダムオープン、同時ランダムプレイ等の選択ルール、若干の自作ルールを入れます。基本ルールだけではあまり良いゲームになりません。
 はやるさんがソビエト、かさいさんが中国、たかさんがアメリカ合衆国、私がアフリカ連合です。

 シュプレマシーは現代から未来の世界統一戦争を描くゲームです。世界中に鉱物、石油、穀物の産地があり、それらは兵器の原料、移動・戦闘のための補給になる他、市場に売却して資金を得るために必要になります。兵器開発・生産や資源生産の利権の開発、軍や資源生産の維持費に莫大な資金が必要であり、資金の確保が勝敗に直結します。
 核兵器は1エリアの全軍を消滅させ、そこを侵入不能とする強力なものですが、世界の12エリアが核で破壊されると核の冬となって全員が敗北します。開発に成功しないと作れません。
 レーザー衛星は核兵器を迎撃することができ、地上戦闘も支援できる勝利のためには必須の兵器ですが、非常に高コストで、無理な増産競争をすると国庫が破産してしまいます。これも作るに開発が必要で、なおかつ核よりも開発が困難になっています。
 ステージは資源売却、攻撃、移動、生産、資源購入・試掘の5つから毎ターン3つまで行えます。ランダムオープンでは各大国がランダムに海外領土と初期資源量を決定し、ランダムプレイでは各ステージのプレイ順をランダムに決定します。
 資金が足りない時は銀行から借金ができますが、残高が増えるにつれて利子が雪だるま式に増えていき、利子が払えなくなったら破綻脱落です。最終的に1人だけ残ったプレイヤーが勝利です。

 アメリカ合衆国、ソ連の超大国に、中国が続き、ヨーロッパが混乱の中で力を失っていく中、アフリカがその存在感を高めていた。合衆国は南北アメリカを独占し、中国は東南アジア、オーストラリアを範疇に収めていた。一方ソ連はスペイン、アフリカはスカンジナビアと、互いの喉元に同盟国を持ち、微妙な関係となっていた。
 不安定な状態を解消するため、ソ連とアフリカ連合は互いの同盟国を交換する約束をする。しかしこれには両者がそれを攻撃して降伏するという手順の準備が必要になるため、約束の履行に手間取っていた。
 その間各国は軍備を整え、足りない資源を補うため、新たな資源の産出国を探し、軍を展開していた。それと同時に手持ちの資源を市場に売却し、新たな資金を得る試みが行われていたが、商売上手の中国は他国に先んじて巨額の利益を上げ、それを元手にレーザー衛星の開発に成功した。隣国が軍事バランスをひっくり返す超兵器の開発に成功したことに驚愕したソビエトは、通常兵器の大増強でこれに備える。
 他方パナマに権益を確保したアフリカ連合は、完全に合衆国勢力下のど真ん中での安定した資源供給を守るため、生産が先番となった合衆国の隙をついて、ありったけの資源で大戦力をここに生産した。国境に壁を築くと宣言した合衆国の新大統領によりアメリカとの関係が悪化していたメキシコが、これに加担したことは言うまでもない。

 もうどこも引けない状況の中、火花は散った。まず動いたのはアフリカ連合。パナマ・メキシコに展開していた大軍団は、作りかけの壁を易々と越え合衆国中西部を制圧した。これには中国に続いて開発されたアフリカのレーザー衛星支援が大きな力を発揮した。
 一方資金力の差でレーザー衛星増産競争では中国に勝てないと踏んだソビエトは、核兵器の大増産に踏み切った。これは先に中国が通常兵器を集中配備したのを見て、次の攻撃で先番を取れれば一気にそれを壊滅できると踏んだものである。

 そして緊迫の先手争い。勝ったのはソビエトだった。中国のレーザー衛星では迎撃しきれないほどの核ミサイルが中原を襲う。なだれ込むソ連軍に、中央軍が壊滅した中国軍は抵抗しきれず次々領土を奪われる。しかし侵攻するソ連軍も中国衛星からの攻撃で次第に衝撃力を削がれ、中国は遷都した南京政府で頑として踏みとどまった。

 アフリカ連合はさらに合衆国東海岸まで制圧し、残るはアラスカのみとなる。実はアフリカ連合はここまで市場での販売競争に負け続け、無理な借金と奇襲によってのみ戦争に勝ってきた。しかしここに来てもなお経済競争力の弱さは相変わらずだったが、合衆国本土の大半を制圧したことで資源大国となり、東でも大戦争が起こっていることで相場が高止まりし、市場で一番にならなくても結構な収入が入るようになってきた。これによりさらなる軍備を追加することができ、アメリカ制圧もあと一歩となる。

 一方ソビエトは、増大する人民軍と中国衛星兵器による反撃に持ちこたえられなくなり、ついにソ連軍の籠る山東省以外の全中国をきのこ雲の海に沈めることという苦渋の選択を決断。これにより中国を倒したものの得たものは何もなく、軍拡による膨大な負債だけが残った。一方アフリカ連合はアラスカを落とし合衆国を制圧したが、アメリカは直前の売却で得た多額の現金と衛星兵器をアフリカ連合に残した。その結果軍事経済とも圧倒的となったアフリカ連合に対し、戦争を続ける力さえ無くなったソビエトは屈服することとなった。

 久しぶりにできたシュプレマシーはおもしろかったです。ランダムプレイは一見相場で大勝ちした人がそのまま勝ちそうに見えますが、実はそれが大きな罠だというのがこのゲームの深いところ。
 調子に乗って核兵器を作ると核の冬で全員負けますし、衛星兵器だけ作っても他が核兵器や通常兵器を大増産してくると苦しくなります。衛星兵器生産は鉱物をばか食いするので、通常戦争のための資源が不足するのです。
 結局相場で大勝ちしても、勝利のためにはその利益を独占せず、他のプレイヤーにも果実を分けてやけくそにさせない配慮が必要になります。それが分かるまでやりこまずに、このゲームをクソゲー扱いしてしまうのはもったいないことです。
 
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