天と地の均衡
この休みにWeb and Starshipのグランドシナリオを最後までプレイすることができました。メンバーは、このゲーム2回目のY君がテラン、十数年前に何回かやったきりのあきよしさんがグインハイファール、私がペリーンです。
それからプレイには参加しなかったものの、じゃんさんが英語版を持って来てくれて、縮小する宇宙の謎が解けました。またプレイ中に、戦略研究に書いたテランによるオリオンへのウェブ植民は、距離の勘違いで実はできないことが判りました。これらについては戦略研究室を修正しました。
長年続いたペリーンとグインハイファールの睨み合いに、今転機が訪れようとしている。それは2つの種族が、その間にある一つの小さな惑星「地球」からのラジオシグナルを受信したことに始まる。
初期の状況では、グインハイファールだけがまだ未熟な地球を攻撃できる態勢にある。それを材料にペリーンは地球と交渉を始めた。
「将来ペリーンとテランの植民競争の的になるであろうLFT661は、テランに譲ろう。代わりに我々ペリーンのシグマドラコニスへの植民を補助してもらいたい。そうすればさらに第3ターンまでのグインハイファールの攻撃に対して、戦闘・脅迫の両面で支援しよう。」
テランは熟慮の末、他に地球を守る術もないと、その提案を受け入れた。
ペリーンとテランの結び付きにより、グインハイファールは早期のテラン打倒が不可能となる。代わりにグインハイファールは戦力を大幅に削減し、それによって生じた余剰経済力を使って、大規模な植民を開始した。ペリーンもやはり軍備を削減して追随するが、移動力の差から多くの星系ではグインハイファールが先んじてしまう。
その結果地球より水平180度方面の星系群は、最上部のBD+33とミューヘラクレスを除いて、全てグインハイファールが植民する。しかし地球真上方面ではテランの協力により、ペリーンも61シグニ、シグマドラコニス、カイドラコニス、BD+56,イータカシオペアと支配を広げることができた。
一方テランは、地球真上方面でのさらなるペリーンの植民の支援をちらつかせて、地球より水平45度方面で、CD−13、BD+6、BD+4ばかりか、隙をついてガンマレポリスまで植民してしまう。しかも好況や鉱脈惑星の発見などもあり、小さいながらもテランの成長は順調だった。
そして各勢力の植民も終わりに近づき、軍備の拡張が始まりかけた第8ターン、突如各地にペリーンの探査船が現れた。5ヶ所に現れた計8隻の探査船は、一部を撃墜されながらも、グインハイファールの根拠地への中間点CD−3613、地球上方の重要星系ミューカシオペア、BD+63、テランの喉元アルファケンタウリにウェブネクサスを設置する。初の戦争発生である。
ペリーンは二正面戦争を避けてグインハイファールだけに宣戦し、力の無いテランは中立を保った。全てを守ろうとすれば全てを失うと判断したグインハイファールは、最も経済価値の高いミューカシオペアに地上軍を集中する。それによりペリーンは他の星系を無血占領するが、グインハイファールが予備を投入して各地で反撃を開始すると、徐々に状況は悪化する。地の種族特有の粘りを見せて各地で頑強に持ちこたえるが、戦力差はいかんともしがたく、結局BD+63を返してペリーンがCDー3613の支配権を得るという条件で、講和が成立した。
その後第10ターンにも再び7隻の探査船が現れるが、迎撃を受けて十分な数の探査船が着陸できなかったため、ペリーンは開戦を断念した。
そして続く第11ターン、探査船4隻がテランの星系に現れ、イプシロンエリダニとアルファケンタウリに着陸する。しかし再配置の様子から、戦っても十分な利益が得られないと判断したペリーンは、宣戦を見送った。するとここでグインハイファールが、ペリーンの配置が対地球寄りになっているのを見て、ペリーンに宣戦してきた。しかしグインハイファールもテランに対して無防備な配置をしていたので、テランはペリーン側に付く。
グインハイファールは可能な予備を全て使って、辺境星系のBD+33(ペリーン領)やBD+6(テラン領)を奪う。しかし今や天地を凌ぐ能力を得たテランのウェブシップ艦隊に、次々と主要星系の無血占領を許し、最後には重要基地イプシロンインディまで奪われる。結局テランはイプシロンインディ、ペリーンは便乗してゼータテュカナエを獲得し、テランは経済力+4、ペリーンは+2、グインハイファール−6となった。しかもイプシロンインディ基地を失ったグインハイファールは、根拠地が集中する地球下方に補給が通じなくなり、極めて厳しい状況である。栄華を誇った天の種族に審判の時が近づく。
運命の第12ターン、各種族は不可避の次の戦争に向けて、軍拡を急ぐ。そしてテランは天を制するべく最終攻撃を発動した。便乗を防ぐため、宣戦はグインハイファールとペリーンの両方に行われたが、探査船の着いていないペリーンは全く手出しできない。
もはや予備も無く、分散して弱体なグインハイファール侵入艦隊に、テランの2個大規模艦隊が襲いかかる。中規模艦隊は一撃で決定的損害を受け、地上軍ともども退却する。テランは天の制覇を確信した。
しかし衰えたりとはいえグインハイファールは、テランより遥かに長い時間を天で過ごしてきた種族。テランの付け焼き刃に切り返す秘策を用意していた。
まず各地に分散して弱体に見えたグインハイファール中規模艦隊は、輸送鑑を伴ってテランの守りの薄いあちこちの星系を攻撃する。そして秘策の真骨頂が始まる。
テランはグインハイファールの無防備な根拠地星系を占領するため、そこにウェブシップを送り込んでいた。しかしグインハイファールの補給範囲外の領域だったため、油断して護衛を付けていなかったのだ。はるばる最辺境より駆けつけたグインハファールの2個中規模艦隊が、補給切れ覚悟で一気に突入する。まさにゼウスのいかずち。バベルの塔のごとくウェブシップは一撃で砕け散り、テランは天への足場を失った。
もはや輸送手段を持たないテランは、攻めることも守ることもままならない。これ以上の損失を避けるため、テランは占領した星系の割譲を申し出、戦争を終結させた。グインハイファールはタウセティ、CD−13で合計9経済力を奪う大勝利である。天の種族は息を吹き返した。
第13ターンは探査船も到着せず、テランとグインハイファールも前の戦争による疲弊で戦力不足のため、戦争は起こらなかった。
そして最終ターン。過去最大の9隻の探査船が現れ、テランとグインハイファールの重要星系LFT1747、ラオエリダニ、デルタパボニス、イプシロンエリダニ、アルファケンタウリに降り立つ。
現在の勝利得点はグインハイファール89、テラン86、ペリーン85で、全員が勝利段階2である。まずペリーンの宣戦は、広い範囲を守りながらこれ以上領土を拡大するのは難しいとして、見送られた。そしてグインハイファールも、得る領土より失う領土の方が多くなるだろうと考え、沈黙を守った。
最後はテランの番である。攻撃すれば領土は増やせそうだが、勝利段階3には3種族で最も遠く、9経済力を増やさなければならない。ペリーンにはまだほとんど手付かずの予備もあるので、勝利を得るのは困難なばかりか、誤って3経済力以上失ったりすれば、単独勝利段階1となってしまう。テランは迷った末に平和への道を選んだ。
天の種族、地の種族、そして天地の力を合わせ持ち、それを凌駕した地球。彼らは三者引き分けの中、停戦協定に調印し、安らぎの時へと帰還していった。宇宙の無限の歴史の中の、ほんの一瞬のできごとである。
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