Xhenor
最近話題のフランスゲーム、Azure wish editionのXhenorです。最初売られているのを見た時は、タイトルしか判りませんでしたが、フランス語の紹介ページをウェブ翻訳で英語に直して読み、買ってみることにしたものです。
これは非常におもしろいです。今までにない独特なルールに溢れています。プレイ時間は8時間程度でした。
まず特徴的なのはダイスを使わないことです。戦闘も、攻撃力となるForce、耐久力となるEsprit、そして使った呪文等によって結果が決まります。また各フェイズごとに誰が何番目にやるかを、全て大統領が決めるのもおもしろいところです。
勝利条件には、一定以上のエリアを支配する軍事的勝利と、大統領に一定回数選出される政治的勝利があり、最初にどちらかを達成した人が勝ちです。
一見別々に見える2つの勝利条件ですが、大統領になると部族(部隊)の持てるユニット数が増えたり、高速部族を作れたりして軍事的勝利にも役立ちます。また大統領になるにはVoix(Voice、投票権になる)が必要ですが、領土を拡大してVoixを産出するエリアを獲得することが重要となり、互いに密接な関係を持っています。
それぞれのエリアは、Force、Esprit、Voixか、他の資源の代わりになり(ただし安くなってしまうが)敵部族の買収に使えるOr(Gold)の、どれかを産出します。マップ上には20の王国があり、各王国は都市1つと町3つの4エリアから成ります。ある王国の都市を支配しているプレイヤーは、その王国の敵部族のいない町も支配します。
部族を率いる司令官が3種類あり、Gorkは1移動力、2移動力のFissahは2回以上大統領にならないと雇えず、Morgulは動けない代わりに戦闘で強くなっています。さらにこの他に5ターンに1度競売し直しになり、特殊な性質を持つミュータント部隊があります。
さらにこの世界には4つの法(呪文を使うな、呪いをかけるな、大統領の王国に入るな、大統領は他のプレイヤーの国に入るな)があり、これを破るとその罪の重さに応じた期間消去(投獄)されます。消去されている間は大統領になれず、さらにあまり罪を重ねると、部族が動けなくなったり、最後にはゲームから脱落してしまいます。しかしあるターンに犯した罪は、大統領選挙の開票まで刑の執行が猶予され、もし大統領に選ばれると全てチャラになります。
そしてさらにゲームに大きなインパクトと緊張感を与えるのが適格条項で、一定ターン以内に大統領に1度もなっていないと(2回目の判定ターンでは2度)、Xhenorの支配者としての資格無しとみなされ、ゲームから除外されます。そして彼の領土は競売に掛けられ、その結果で軍事的(と言えるのか?)勝利が達成されることも十分起こりえます。
このゲームでは、大統領選挙を始めとするビッティング(競売)の戦略、タイミング、配分、読みとブラフが非常に重要です。ビッティングは全て、負けても払ったものは戻ってきません。そのためよく考えないと、致命的な(戦闘の敗北より痛い)損害を受けるかもしれません。
日本製のマルチウォーゲームには全くろくなのがないし、アメリカ製のも最近目新しいのが無いと思っていた方には、値段も比較的安く、フランスの新風を感じることのできるおすすめ品です。
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